Month: February 2009

Kindle 2のレビュー

10月7日追記:世界のどこでも電子書籍を購入できる国際版のKindleが発売されました。 ようやくやってきましたKindle 2!ざっとテストしただけですが、オリジナルのKindleでのイラつく欠陥を改善しようとした努力がはっきりと感じられるニューバージョンです。価格は同じですから、クリスマス前に売り切れで入手できなかった方はラッキーだったわけです。さて、まだちょっと試したばかりですが、改良点について私が感じたことをいくつか書き留めておきます。 1.本体の両サイドにある「Next Page」や「Prev Page」などを誤って押すことがないデザイン。 私にとってはこれが一番の改良点です。オリジナルのKindleは、本体を手で持つたびにNext Pageを押してしまうようなデザインで、意図しないのにページがどんどん飛んでしまうという最大の欠陥がありました。Kindle 2は横からは押せないデザインになっていますから、本物の本のようにつかんでも大丈夫。多くのKindleユーザーにとって、最も嬉しい改良のようです。 2. 文字の鮮明さが増した。 「あまり差を感じない」と評価している人もいるようですが、私はけっこうはっきりとした差を感じました。読みやすく、目が疲れにくい感じです。(古いカメラなので画像が不鮮明ですが、実物はどちらももっと鮮明です) 3.ページめくりが速くなった。 これもAmazon.comには「あまり差を感じない」というレビューがありますが、私ははっきりとした差を感じました。分厚い本になればなるほどページをめくる速度は遅くなります(これはAmazon.comのカスタマーサービスに苦情を言ったときに確認しました)。ですから8百ページくらいある本で20%ページめくりが速くなるのは、けっこう重要な差なのです。 4.キーボードが使いやすくなった。 間違って別のキーを押すアクシデントが起こりにくいデザインになっています。これもKindleで直接本を購入するときには役立ちます。 5.Text to Speechの機能  実際にテストしてみたところ鼓膜がパクパクして癇に障るので長続きしませんでしたが、機能があるのは嬉しいです。私は機械音に対して特別センシティブなので、他の方は大丈夫かもしれません。ただし音量が低いので、聞きながらトレッドミルをするとしたらイヤホンを着用する必要があると思います。…

Kindle2がせっかく着いたのに...

税金申告のための書類を弁護士事務所に届けて戻ってみると、玄関のドアノブにFedExからのお知らせがぶら下がっているではありませんか。500メートルくらい先からそれが見えたとき、「しまった、Kindle2だ!」と青ざめ、思わず車をUターンして町中FedExの車を探して走り回ろうかと思いました。でも彼のルートを知らないので情緒不安定なオバサン的行動は取るまい、とやめました。 昨日Amazon.comからKindle2発送のお知らせがあったとき、Prime memberだから「明日着くかな?」とちょっと期待し、「きっと受領サインが必要だから出かける前にドアにサインつきのメモを貼っておこう」と思ったのに、更年期障害か今朝になったらすっかり忘れていたのでした。これだから歳はとりたくない 今夜7時にはFedExのセンターに戻っているようですが、そこに取りに行くと往復でたぶん2時間近くかかるでしょう。そこまでして数時間早く手に入れるべきかどうか、明日まで我慢するべきか、それともFedExのトラックを探しに車を走らせるべきか、悶々と悩んでいるところです。どちらにしても24時間後には手にしていると思いますので、木曜までにはレビューをここに載せる予定です。

FanFic―アメリカの二次創作の世界

ある本にぞっこん惚れ込むと読み終えてもなかなかその世界から離れなれない、それは全世界共通のファン心理です。それがこうじて二次創作をする、というのも普遍なファン心理です。アメリカには、そんなファンたちが集まってお互いの二次創作(こちらではFan FictionまたはFan Fic)を読みあうサイトがあります。アニメやテレビ番組のカテゴリーもありますが、やっぱり本の二次創作が一番多いようです。これは最も有名なサイトです。 投稿数を見ると、ファンが最も執着心を覚える本がすぐに分かります。投稿数が一番多いのはHarry Potterで、現時点で約40万です。そして二位のTwilightはそれよりもぐっと下がって6万6千、三位のThe Lord of the Ringsは4万2千です。万単位になっているのはこれら3作だけですから、それからもこれら三シリーズの人気のすごさを感じます。 面白いのは、Fan Ficから誕生する作家がいるということです。ヤングアダルト向けのファンタジー「City of Bones(The Mortal Instruments…

オンライン無料購読-歴史ファンタジーThe Patriot Witch

私が暮らしているのは、日本では村上春樹さんの「レキシントンの幽霊」の舞台として、アメリカでは「独立戦争勃発の地」として有名なマサチューセッツ州レキシントン町です。C.C. FinlayのThe Patriot Witchは独立戦争の時代のレキシントンを舞台にした歴史ファンタジーということで、個人的に興味を抱いています。出版社はランダムハウスに属するSFとファンタジー専門のDel Ray。ランダムハウスはアマゾンのkindleでの無料キャンペーンなど他社に比べるとオンラインでのマーケティングに力を注いでいる出版社です。(注:本ブログは法に触れる無料e-bookやそれらを奨励するサイトはご紹介しませんので、よろしくご了承お願いいたします。ご紹介するのは、著者または出版社のキャンペーンとして無料になっているもの、あるいは著作権が消失したものです。キャンペーンが終了するとこのページでも読めなくなりますので、ご了承ください) The Patriot Witch by C. C. Finlayhttp://d.scribd.com/ScribdViewer.swf?document_id=12344410&access_key=key-chrqhwud4z43lvk41q9&page=1&version=1&viewMode=list Publish at Scribd…

販売用ではない本のお話し-Uncorrected ProofとAdvance Reader’s Copy

アメリカでは、日本には存在しないUncorrected ProofとかAdvance Reader’s Copyと呼ばれる形の本があります。 これらは、出版の前の段階で作られた販売用ではない本のことです。評論家に渡して書評を書いてもらったり、マーケティングのために使われたりするもので、印刷の時期、装幀、数はそれぞれ異なります。通常の印刷よりも数が少ないためにけっこうコストがかかり、(有名作家のサイン入りなど)本によっては販売されたものよりもコレクションの価値が上がることもたまにあります。 Uncorrected Proofと呼ばれるのはまだ校正が初期の段階で以下のような感じが多いです。 ブックフェアなど大きな催しに間に合うようにとりあえず「今の段階」で作るというものですね。5月に催されるブックエキスポ・アメリカでは、11月出版予定の作品がすでにこんな形で姿を表したりします。まだ校正されていないものですし、表紙もないので、コスト的には次にご紹介するものより廉価です。沢山タイポとかが見つかりますし、これから内容がずいぶん変わることもあります。  次は出版が近いもので、表紙もできているものです。通常Advanced Reader's Copyと呼ばれるのはこのようなものです。ハードカバーのデザインがついたソフトカバーのような感じですね。たいていの作品はソフトカバーになるとデザインが変わるので、そういう意味では「レアもの」です。少数しか印刷しないので、1冊につきハードカバーよりもコストがかかります。コストがかかりますから、こんなに綺麗に作られている本は、出版社が力を入れているものだとすぐに分かります。 2012年追記:電子書籍が普及してきたので、コストがあまりかからない電子書籍でARCを配布するNetGalleyが流行っています。最近はブロガーの影響力が尊重されていますので、NetGalleyでARCを読む人も増えてきました。けれども、その出版社の利益にならないと判断されるとリクエストしても拒否されますので、ご留意ください。 こんなふうに裏側に本の情報とマーケティング戦略などが書かれています。 他にもいろいろな呼び方があり、Uncorrected Advanced…

全世界に激賞を広めるルールを教える書-World Wide Rave

本ブログでご紹介した「マーケティングとPRの実践ネット戦略 」の著者David Meerman Scott(私の夫です)の5冊めにして最新作の「World Wide Rave」がWiley社から発売されました。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0470395001&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0470395001&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 「Dummiesシリーズ」でおなじみのWiley社の春季いちおしビジネス本です。World Wide Raveというタイトルは、World Wide Wave(インターネットのwww.)と一字違い。静かな水面に小石を投げるように、ひとりが発信したメッセージ、アイディア、プロダクトがネット上で多くの人のRave(激賞)となって広がってゆくことを表現した(彼がある日と考え付いた)造語です。 この本には、WWRを引き起こすための6つのルールとこのルールに従ってマーケティングに成功した企業や個人の事例、そしてそこから学ぶマーケティングの心得が載っています。 私が個人的に「なるほど!」と思って実行した心得がp125のThink…

不況の時代だから売れるベストセラー

これからの不況の時代に売れる分野は、たぶん「経済」と現実逃避のための「娯楽作品」でしょう。ということで、現在よく売れている経済関係の本ですが、それらは以下の二つの分野に分かれます。 A:現在と未来の国内外の経済状況を理解するための本B:個人の経済状況を改善するハウツー本 まずは、 A:現在と未来の国内外の経済状況を理解するための本 1.Melt Down http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1596985879&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 先日ご紹介したこの本は、22日現在でアマゾン27位。この分野で最も売れている本です。読者評価も現在のところこの分野では最も良いようです。 2.When Giants Fall  http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=047031043X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 これもMelt Downと同じく2月9日に発売されたもの。米国というジャイアンツが崩壊するとどうなるか、という未来を予測する内容。作者はイギリスHSBC、ソロスファンド、オランダABNアムロ銀行、ドイツドレスナー銀行、アメリカJPモルガン・チェースなどで25年間勤務した投資専門家のマイケル・パンズナー。現在の金融崩壊が起こる前に著書Financial Armageddon(翻訳版「金融ハルマゲドン」)でそれを予告したことで知られています。けれども、両書とも、読者は狭い情報から結論を導きだしていることや表層的な分析を批判しているようです。Melt Downほど良い反応は得ていません。…

Educating Peter-簡単にワインを学ぶ本

作者:Lettie Teaque出版日:2007年3月カテゴリー:ノンフィクション/ワイン お金をかけずにワイン通のフリができるようになる本 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0743286782&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 本当のワイン通になろうと思ったら、ビンテージワインを含めて有名なワインを全部飲んでおく必要がありますし、何度も飲み比べる経験を積まなければなりません。ですから相当お金がかかります。ワインに凝るようになると貯金ができない、というのは私の義弟の過去20年の行いからも事実です。そのようなわけで通を目指すつもりは毛頭ない私ですが、レストランでワインを注文するときなどに恥をかかない程度の知識はほしいと思ってきました。アメリカのレストランで恥をかくことはほとんどありませんが、フランスを旅行したときには高級レストランのウエイターの値踏みするような視線がちょっとつらかったです。「お金をかけずに最低限度のワインの知識を得るためにはどうしたらよいのか?」という私の悩みに答えてくれたのが「Food & Wine」誌のワイン担当編集者のLettie TeaqueによるEducating Peterです。Teaqueに会ったのは、私の夫の大学の同窓会でのこと(こちらは家族で参加するのですよ)。彼女の友人でローリングストーン誌の映画評論家であるPeter Traversは私のように「10ドルくらいで美味しい赤ワインを教えてちょうだい」程度のワイン通で、「このワインはまずい」とか「このカバルネはメルロみたいな味だ」といった大雑把なワイン評価しかできなかったとのこと。この本は、その無知なPeterにワインを教えるために書いたというので手にしたところ、そのとおりに簡潔で読みやすい本でした。 この本を読んだからといってワイン通になることはできませんが、レストランでワインを注文するときに(無知なときと同じワインを注文するにしても)堂々と胸を張ってできるような気がしてきました。また、即座に役立った情報は「良いワインは古くなるほど良くなるけれど、私がお店で買う程度のワインの場合は数ヶ月以内に飲まないと駄目になる」、ということです。それを読んで大慌てで何年も大事に取っておいた40ドルのワインを開けたところ、やっぱり駄目になっていました。トホホ。。。これからはすぐに飲むようにします。それと、各国のワインの紹介も簡単で覚えやすく、旅行のときには必ず予習をして地方のワインを試そうと思いました。 ●ここが魅力!ワイン通には恥ずかしくて質問できないような基礎の基礎を学べるところです。高みを目指していないこと、そして実際に役立つ知識だということも魅力です。それから最後にFinal Exam(修了試験)があります。これに合格したら、あなたもワイン通! ●読みやすさ ★★★☆☆非常に読みやすい本です。難しい単語はすべてワインに関する固有名詞か表現です。