児童書界の重鎮-Lois Lowry

Lois_lowry muse & marketplace特集第7回は、Battle of the (Kids’) Booksの決勝戦の審判、Lois Lowryです。(二つの特集が重なるなんて素敵な偶然だと思いません?)
Lois Lowryは、ヤングアダルト向け児童書としてより優れたSFとみなされているThe Giverの作者で、これまで数え切れないほど多くの作品を書いています。また、彼女はmuseのボランティア講師の常連でもあり、作家志望者に児童書のコツを指導しています。

今日は多くのLowryの作品の中から2つの異なる未来を描いたSFをご紹介します。

1.The Giver

理想郷の近未来では、すべてが同じであり平等である。色の差もなく、土地や天候にもバラエティはなく、人々の感情にも起伏はない。”Council of elders”が人々に職を任命し、結婚相手も決める。子供たちは”birthmothers” から生まれて、希望する夫婦に与えられる。選択の自由はないが、何の心配もない「理想的」な社会である。理解できない感情が生まれると、すぐに薬を飲むのでそれもおさまる。
この社会では子供が12歳になると適正に沿って職が与えられる。Jonasが与えられた職は、歴史を伝道する「Receiver of Memory」という役割だった。Jonas はThe Giverという指導者から、愛や喜び、悲しみ、苦しみ、など知らなかった感情も学び、ある決意をする。

多くの小学校や中学校が授業などで使っているようで、私の周囲ではどの子(親)も知っている作品。未来の理想郷を描いたSFなのでジョージ・オゥエルの1984年、あるいはレイ・ブラッドベリのFahrenheit 451とよく比較され、「最も感動した作品」という者も少なくない。学校では「理想的な社会とは何か?」というディスカッションに使われる。
読者に考えさせるための効果を狙ったのかもしれないが終わり方が唐突であり、それが残念である。

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2.The Gathering Blue

The Giverとは逆の文明が破壊された未来。
Ruinという歴史的出来事により人類は原始的な社会に戻っている。この未来社会では、社会に貢献できない者は抹殺されるのが慣例となっている。少女Kiraは生まれつき足に障害があり、本来であれば新生児のときに殺されている筈だったのだが、母が彼女を守って生き延び、紡ぎで才能を発揮するようになる。だが、父は彼女が生まれる前に狩りのさなかに野獣に襲われて死に、ついに母も病で亡くなった後、村の女たちは力仕事ができないKiraを村から追放して野獣の餌食にしようとたくらむ。
Kiraは村の紡ぎの才能を認められて生き延びることができたが、ようやく手に入れた平穏な生活の陰には驚く真実が隠されていた。
これも「理想的な社会とは何か?」と問いかける作品で、終わりがやや唐突なのもThe Giverとの共通点。

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●読みやすさ ★★★★☆
カテゴリーはヤングアダルト向けですが、小学校高学年から中学生が対象です。どちらも200ページちょっとで、読了しやすいと思います。

●アダルト度 ★☆☆☆☆
ヤングアダルトのカテゴリーに入れられていますが、実際には小学校高学年で読む子が多いようです。いずれも「理想的な社会とは?」と問いかける作品なので小学校低学年ではあまり楽しめないと思います。特にThe Giverのほうは、愛とか出産というテーマも扱っていますので、小学校高学年以上。

1 thought on “児童書界の重鎮-Lois Lowry

  1. 4冊目、The Giverを読み終えました。想像以上に骨太な作品で、いたるところに考えさせるポイントがあり、立ち止まり立ち止まり読みました。今も考え続けています。3部作全部読みたい!(marie__100)

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