親元を離れる前に娘に読ませたい本ーGirls Fight Back!

Erin Weed
184ページ(ペーパーバック)
Boulder Press
2006年9月1日発売

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Erin Weedの友人Shannonが連続殺人犯に殺されたのは彼女がたった22歳のときでした。テレビ局に勤めていたErinはこの悲劇をきっかけに仕事をやめて若い女性を対象にした自己防衛のクラスを教え始めます。Shannonが始めたGirls Fight Backという自己防衛の講演とクラスはたちまち有名になり、現在は企業や学校から招かれて講演や自己防衛の教室を行う大規模なプロダクションに成長しました。

Erinのビジネス面での成功を著書World Wide Rave
に書いた私の夫が娘に読ませるためにもらってきたのがこの「Girls Fight Back!」です。

本書の内容:

アメリカの大学はどの程度安全か?
  これはアメリカの大学に子供を送る親にはありがたい情報です。日本とは全然違いますから。

自分の直感を信じる
 このチャプターは全世界共通です。「なんか変」と感じたら即座に安全を確保する行動を取る、というのはわかっているようで難しいものです。常識ですが、これを読むことで実際にそういう場面になったときに行動が取れるかもしれません。親としては娘に一番よく読んで欲しい部分です。

“bad victim”になることの薦め
 加害者がターゲットにする「よい被害者」のタイプがあります。Erinはその逆のタイプ「bad victim」になるよう勧めています。

レイプについて
 加害者には見知らぬ相手と知っている相手のどちらが多いか、といった統計から、どうすれば予防できるのか、もしレイプされたらどうするべきかといったところまで言及しています。

自分の砦を守る
 侵入を防ぐために、自分の住んでいる寮やアパートの砦(ドアや窓)を守る方法を説明しています。

その他:
   春休みの過ごし方、インターネットでの安全、自己防衛クラス、社会を変えるために自分でできること、などを説明した章があります。

●感想

この本は、これから大学あるいは就職で一人暮らしになる若い女性への「自己防衛初心者コース」です。たった184ページですぐに読めるのと、自分が危険に直面する可能性を考えさせてくれるのが、(若い娘を持つ親にとって) この本の最大の魅力です。
危険なシチュエーションをあらかじめ知ることだけでも、多くの犯罪から自分の身を守ることができます。そういう意味で読みやすいErinの本はおすすめです。

ただし、「どうやって身を守るのか」という具体論になると、物足りなさを感じずにはいられません。また、若い女性が犠牲者になる原因で最も多いのはドメスティック・バイオレンスです。その部分のページ数が少ないのも残念です。

●Girls Fight Back!と併せて読ませたい本

See Sally Kick
Fred Vogt
200ページ(ペーパーバック)
2006年11月初版
Outskirts Press

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Fred Vogtは娘たちが大好きな優しいお父さん。そんなお父さんが、娘たちの安全を守りたくて書いたのがこのSee Sally Kick。
薄い本でありながら、とても包括的。

●ここが魅力!

Fredにおおいに共感を覚えるのは、「危険なシチュエーションを避ける」という予防を強調しているところです。「娘を守りたい」というお父さんのファナティックさと「男性の視点」が加わっているところがFredの本の長所です。だから女性が「危険に身を晒すシチュエーション」はほぼ網羅されていると言っていいでしょう。若い女性だけでなく、誰にでも参考になります。

もう一つの長所は自己防衛のテクニックを写真入りで解説しているところです。
もちろん読むだけでは役に立ちませんが、襲われることを想像しておくだけで、実際の場で動けるようになるかもしれませんし、パートナーを作って練習すれば、さらに効果があるでしょう。

どちらにしても、自己防衛で最も重要なのは、「闘う技術」ではなく、「危険なシチュエーションを避ける」という予防です。どちらの本もそれを強調していますので、海外に子供を送る方、あるいは自分が海外に行く方にはぜひ読んでいただきたいと思います。

●読みやすさ ★★★★☆

どちらも簡潔で読みやすい本です。
全部一気に読む必要はありませんし、重要な部分(予防)だけ読むということもできます。

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