60年代のオーストラリアのハックルベリー・フィン Jasper Jones

ペーパーバック: 320ページ

出版社: Ember

ISBN-10: 0375866272

ISBN-13: 978-0375866272

発売日: 2011/4/05

YA(ヤングアダルト)/文芸小説/1960年代のオーストラリア

2011年ALAプリンツ賞最終候補作

2012年「これを読まずして年は越せないで賞」候補作(ちょこさん推薦)

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1965年のオーストラリアの小さな炭坑町に住む13歳のCharlieは、読書好きの、ふつうの少年である。だが、ある夜寝室に現れたJasper Jonesにより、彼の”ふつうの子供時代”は終わりをつげる。


まだティーンエイジャーなのにならず者として知られているJasper Jonesが、なんとCharlieに助けを求めているのである。大人ですら一目を置くほど悪名高いJasperからから頼られる誇らしさと好奇心につられて、Charlieは面倒に巻き込まれるとわかっていながらも彼の後についてゆく。

そこでJasperが見せたショッキングな秘密は、これまでCharlieが当然のものとして受けとめていた安全な世界をすっかり破壊してしまうものだった。

この世界に潜んでいる残酷な秘密の重みを知ってしまったCharlieは、家庭の不和、人種差別される親友、初恋を、これまでにはない怒りや憂い、迷いでとらえるようになる。

 

●ここが魅力!

最初に読んだときには、面白かったものの、正直言って「好き!」という強い感情がわきあがりませんでした。

けれども、読後にじわじわと好きになり、二度目に読んで「良い作品だ」と頷きました。

なぜ最初に「好き」という感情が生まれなかったのかというと、無意識のうちに心理ミステリーや児童書としての「ある種の期待」をしていたからだと思うのです。それらのカテゴリーでしたら、納得できない部分はありましたので。また、タイトルになっているジャスパーに対して少々裏切られたように感じたのも事実です。

けれども、この作品を振り返り、そういう読み方をしていた私のほうが間違っていたことが分かりました。ジャスパーは、60年代オーストラリアの「ハックルベリー・フィン」であり、本作品はCharlieという少年が子供時代を捨てて大人になることの切なさ描いた成長物語なのです。

 

この作品には辛い部分が沢山ありますが、チャーリーと親友のジェフリーのやりとりは笑えます。

ベトナム移民としてひどい差別をされながらもユーモアのセンスで対処するジェフリーは、登場人物の中で最も輝かしい宝石です。特にクリケットのシーンは「じ〜ん」とします。

2011年に刊行された作品ですが、去年入れそこねてしまったので、今年の候補作にします。オーストラリア在住の審査員、ちょこさんの推薦です。

 

●読みやすさ 普通からやや読みやすい

最初のうち、ちょっと状況が分かりにくいかもしれませんが、そこさえ超えれば読みやすくなってきます。

 

●おすすめの年齢 中学校高学年(13歳くらい)以上

性的な話題もありますが、登場人物と同年代の子供を想定して書かれた本ですから、13歳以上におすすめです。

内容が複雑なので、大人が十分楽しめる本です。

3 thoughts on “60年代のオーストラリアのハックルベリー・フィン Jasper Jones

  1. ああ、ハックルベリー・フィン、そうですね、そう言われてみれば、そういう要素はありますね。
    この本は去年だったか長女の英語の課題図書だったのを家族皆で読んだんですが、最初から「アラバマ物語」のオマージュという読み方をしていたので、そういう見方しかできませんでした。^^;

  2. Johnnycakeさま
    なるほど。「アラバマ物語」にも共通するところはありますね。
    読み方次第で、感じ方も違う本かもしれません。
    私は、中学生の視線でそのまま読めばよかったなあ、と後で思いました。

  3. 好きな女優さんがイライザ役で出演するということでこの作品を知り,映画を見る前にと思い読んでみました。クリケットのルールを知らないのでそこだけは分かりにくかったですが,それ以外はとても読みやすく面白かったです。夏休みに読むにはピッタリの,少年の一夏の冒険と成長の物語を,童心に帰って楽しめました。怒涛のように畳みかける終盤の展開が凄かった。真夏のクリスマスとか体験してみたい。

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