17世紀英国を舞台に錬金術師の弟子が暗い組織と闘う読み応えある児童書 The Blackthorn Key

著者:Kevin Sands(デビュー作家)
ハードカバー: 384ページ
出版社: Aladdin
対象: 9 – 12歳
ISBN-10: 1481446517
発売日: 2015/9/1
適正年齢:PG9(小学校高学年から中学生向け)
難易度:中級
ジャンル:児童書/歴史小説/冒険ファンタジー
キーワード:17世紀英国、チャールズ二世、錬金術、調薬、ピューリタン革命、爆薬

クロムウェルによるピューリタン革命で亡命していたチャールズ二世が即位した17世紀英国が舞台。

apothecary(薬剤師)のBlackthornに引き取られて弟子入りした孤児のChristopherは、好奇心が旺盛すぎて時おりトラブルを起こしていたが、知的な師は優しく、親友にも恵まれ、孤児院時代の辛い生活とは比べ物にならないほど幸せになっていた。

だが、謎のカルト集団がロンドン中の薬剤師を次々に殺していき、師のBlackthornも何か秘密を抱えているようだ。不安を抱えながらも子供らしく今の瞬間を楽しんでいたChristopherだが、突然英国の将来を揺るがす大きな出来事に巻き込まれてしまう。

英国のピューリタン革命時代の英国、apothecary(調薬), alchemy(錬金術)といった興味深い史実が盛り込まれ、しかも小学校高学年から中学生にぴったりの暗号解読やミステリー、冒険が混じっていてまったく飽きることがない。

Blackthornという師の人となりや倫理観も児童書にしては複雑に作ってあり、Christopherが難関を乗り越えて人間として成長するのもよい。ピュアな友情も、この年代向けの児童書には重要な部分だと思う。

著者のSandsは研究者でもあるらしく、(当時の英国のスペリングは統一されていなかったので、その点だけは読みやすいように現代のものにしているということだが)、本書に載っているapothecary, alchemyはすべて歴史に忠実である。この年代の子どもたちは、alchemyのシンボルに興味を持つにちがいない。

大人でも楽しめる内容で、しかも比較的簡単に読了できるので多読専用の本に飽きている人にもお薦め。

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