作者:Liz Nugent
ペーパーバック: 320ページ
出版社: Penguin Ireland
ISBN-10: 0241965640 (Irish version)
ISBN-10: 1501167758 (US version)
発売日: 2015/7/20(Ireland)/ 2017/8/22 (USA)
適正年令:PG15
難易度:上級
ジャンル:心理サスペンス/嫌ミス
キーワード:異なる登場人物の視点、ドメスティック・バイオレンス、嘘、秘密、過去
オリバーは、ある夜、突然冷静さを失い、妻がボロ布のようになるまで暴力をふるった。
洗練された身のこなしとカリスマ性で知られるオリバーは、シリーズがブロードウェイの演劇になるほど成功している児童書作家だ。妻のアリスは、夫の児童書のイラストを描き、ワイン通でグルメの夫を満足させるために料理も学んでいた。その日のディナーも、オリバーの洗練した舌を満足させるものだったのに、あることがオリバーを切れさせた。
それは何だったのか?
オリバーと長年不倫を続けている隣人、アリスがオリバーと出会う前につきあっていた幼なじみの男性、オリバーの学校時代の友人……といった異なる視点で、オリバーが長年隠してきた秘密と、事件の理由に迫っていく心理サスペンス。
アイルランドで2015年に刊行されてベストセラーになり、2017年にアメリカでも発売されることになった(8月22日刊行予定)。
タイトルは、UK版「Unravelling Oliver」とUS版「Unraveling Oliver」と綴りが異なる。このあたり、ちょっと面白いトリビアだ。
アイルランドの本がアメリカで発売されるのは日本の読者が想像するよりもハードルが高いのだが、この作品がアメリカの編集者の目にとまったのも理解できる。最初のページから読者を引き込んで離さないページ・ターナーなのだ。
オリバーの過去が明らかになるにつれ、事件のきっかけも理解できるようになってくる。それを知りたくて1日で読み終えてしまったのだが、その夜にやるせない読後感で悪夢を見たのは失敗だった。
この小説は読んでいないのですが、昨日同じ作者の第2作目の『Lying in Wait』を読み終えたところです。こちらも嫌ミスのページ・ターナーで、おもしろかった(というと語弊がありますが・・・)ので、このデビュー作も読んでみたいです。読んだらまた感想を書きます。
作者からツイッターで、「英語で読んだんですか?」という質問があって、「邦訳されていないから英語で読むしかないでしょ?」と思ったのですが、笑って英語でこたえておきました。
けっこうチェックしている作者がいるのが面白いです。
イヤミス面白いですけれど、連続だと疲れますよねw
『Lying in Wait』はぞっとするような嫌ミスでしたが、本書は本当にやるせないですね。オリバーの思考の身勝手さや悪行の数々には同情の余地がありませんが、彼の過去の境遇は悲しすぎます。ラストもちょっと切なかったです。
ほんと、誰も救われない感じですよね。心に余裕がないときに読むとしんどいw