ブッカー賞ロングリスト候補になった風変わりな犯罪小説 My Sister, the Serial Killer

作者:Oyinkan Braithwaite
ハードカバー: 240ページ
出版社: Doubleday (2018/11/20)
言語: 英語
ISBN-10: 0385544235
ISBN-13: 978-0385544238
発売日: 2018/11/20
適正年齢:PG15+(大人向け)
難易度:中級+
ジャンル:文芸小説/犯罪小説
キーワード:連続殺人、ブラックユーモア
文芸賞:2019年ブッカー賞ロングリスト候補、Los Angeles Times Book Prize for Mystery/Thriller (2018), Women’s Prize for Fiction Nominee (2019)

近年、ナイジェリアの女性作家の活躍が目立つのだが、2019年のブッカー賞のロングリストに入ったOyinkan Braithwaiteもそのひとりだ。文芸賞の候補になっただけでなく、アメリカでもベストセラーに入り、商業的成功を収めていいる。

このMy Sister, the Serial Killerは、タイトルから連想できるように、連続殺人を犯す妹について姉が語るスタイルの犯罪小説だ。

病院で優秀な看護師として勤務するKoredeにはAyoolaという妹がいる。家族に心身の暴力を振るう父が亡くなった後は、母と妹の面倒もみている責任感ある家族の大黒柱だ。だが、Koredeを頼りにしている周囲の者は、彼女の外見や単刀直入な態度を批判することしかしない。母は美しいAyoolaが良い結婚をすることを夢見ているのだが、Ayoolaは重大な欠陥を抱えている。それは、恋人をすぐに殺してしまうことだ。そして、殺してから死体の処理に困って姉に助けを求める。

妹はいつも「自己防衛だ」と言い訳するのだが、姉はそれを疑うようになっていた。そして、妹は反省するどころか、Koredeが勤務する病院に美しく着飾って現れ、姉が密かに思いを寄せてきた医師を誘惑する。Koredeは、自分が尊敬してきた医師がいとも簡単に女の外見に騙されることに失望するが、彼が妹に殺されることは防ぎたいと思う……。

My Sister, the Serial Killerは、各章が短く、それぞれの文も短くて、詩のようだ。連続殺人というダークなテーマでありながら奇妙なブラックユーモアもあるし、ナイジェリアの日常生活や常識のようなものが垣間見えるのも面白い。

しかし、すべての物語に説明が必要だとは言わないが、この小説での妹の言動への説明は少なすぎる。説明がないことが意図的であればかまわないのだが、そうは感じなかった。姉と妹の愛にしても、父と子供たちの関係にしても、女性の表層に騙される男性の浅はかさにしても、作者は深く掘り下げることをしない。そこに、非常にもどかしさを感じた。

短くて、読了しやすいので、その点ではお勧めだが、読みのがしても後悔はない小説だと思った。

2件のコメント

  1. つい最近読んだところです。話題作で期待していたのですが、ちょっと拍子抜けしたので評価は三ツ星。父親の死への関与(ネタバレ?)が姉妹を結び付けたのだと思いますが、その辺りもサラッと流されてしまった感じで残念でした。今は、同じく(男性ですが)ナイジェリア人作家 Chigozie Obioma の『An Orchestra of Minorities』を読んでいるところです。まだ半分ぐらいしか読んでいないのですが、イグボ人の宇宙観に引き込まれています。

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渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott にコメントする コメントをキャンセル

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