親の期待にこたえられない子どもが居場所をみつける児童書 Here in the Real World

作者:Sara Pennypacker
Hardcover : 320 pages
ISBN-13 : 978-0062698957
Publisher : Balzer + Bray
発売日:February 4, 2020
適正年齢:小学校高学年から中学生
難易度:5/10
ジャンル:児童書/現代小説
キーワード/テーマ:子どもが持つ疎外感、友情、社会的正義

Ware(ウェア)は空想にふけるのが大好きな11歳の少年だ。スポーツ好きの父親とテキパキ仕事ができる母親は、スポーツに興味がなくて一人遊びが好きな息子を理解できない。両親が共働きなので、夏休みは祖母の家で過ごすことになっていた。森で空想のひとり遊びができる夏休みをWareは待ち遠しく思っていたのだが、祖母の怪我で家にとどまることになった。11歳半なのだから自分の面倒くらいは見られると主張したが、母は息子が「意義がある社会的な交流」をするためにレクリエーション・キャンプ(子どものための夏休み教室)に申し込んだ。

自分より年下の小学生を対象にしたキャンプに行きたくないWareは、初日にキャンプを離れて近くの荒れ地を散策することにした。その途中、廃墟になっている教会の跡地で庭仕事をしている少女Jolene(ジョリーン)と出会った。「現実主義者」を自称するJoleneは、そこに城を作ろうとしている夢想家のWareをあざ笑う。性格は異なるし、互いに苛立つことも多いが、教会の跡地を逃げ場にしているところは共通していた。

2人にとって重要な逃げ場であった土地が商業的な用途のために売り払われると知り、Wareは大人が牛耳る「現実社会」と戦ってJoleneが大切にしている庭の植物と土地を守る決意をした。けれども、子どもにできることは限られている。そのうえ、キャンプに行っていなかったことが両親にバレてしまった……。

Sara Pennypackerは、「ふつう」のカテゴリに入ることができない子どもや動物を描くのが得意な作家だ。この小説でもそれがテーマになっているが、いまひとつインパクトが弱いと感じた。
というのは、2020年アメリカの「現実」では、WareやJolineが抱えている「疎外感」はあまりにも軽いものだから。いや、1960年代に日本の田舎の小学校で私が抱えていた疎外感よりも軽いように感じた。彼らの「辛さ」に共感できなかったので、それを乗り越える達成感もなかったのが残念だった。

好きな作家だが、今回に限っては「やや期待はずれ」であった。

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