エノラ・ホームズのシリーズが11年ぶりに再開 Enola Holmes and the Black Barouche

作者:Nancy Springer
シリーズ名:Enola Holmes #7
Publisher ‏ : ‎ Wednesday Books
刊行日:August 31, 2021
Hardcover ‏ : ‎ 272 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 1250822955
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1250822956
対象年齢:Middle grade/YA 中学生から高校生
読みやすさ:6
ジャンル:ミステリ
キーワード、テーマ:シャーロック・ホームズ、エノラ・ホームズ

Sherlock Holmesの妹が活躍するEnola Holmesシリーズは、もともとは小学校高学年から中学生が対象のmiddle gradeのミステリだった。それがNetflixでシリーズ化され、原作の人気も復活した。

元のシリーズは2010年に刊行された第6巻が最終巻で、一応完結していた。けれども、Netflixでの人気をきっかけにシリーズを継続することになったようだ。11年ぶりに第7巻が刊行された。

第7巻は6巻から1年後でEnolaは1つ年上になっている(とはいえ、Netflixの設定よりもまだ1歳若い)。そして、Netflixで美形の青年になっているMarquess(Viscount Tewkesbury)が再び登場する。”Tewky”は原作ではまだ13歳くらいの筈なのだが、ここではNetflixのファンを意識してか1年前よりずっと背が高くなり、青年貴族的になっている。

Sherlockの愚痴のようなまえがきで始まる第7巻は、EnolaとSherlockが伯爵夫人の死亡の謎を解くために協力する。伯爵と結婚した双子の姉が死亡したという通知を受け取った女性Letitiaは、姉はまだ生きていると信じている。伯爵は妻の死の詳細も説明しないし、葬式すらしなかったというのだ。真相を究明して姉を救いたい女性はSherlockに調査を依頼しに来るが、うつ状態になっているSherlockは反応しない。そこで兄に代わってEnolaがLetitiaの話を聞き、調査を引き受ける。この事件の刺激でSherlockはうつ状態から抜け出し、Dr. Watson, Viscount Tewkesbury(Tewky)と一緒に死んだ筈の伯爵夫人を救い出す冒険に加わる。だが、兄妹はそれぞれ自分の才能を相手より高く評価しており、別行動を取って相手を驚かせる傾向がある……。

一応終わったシリーズが再開するときには、ファンは期待と不安を同時に抱く。またキャラクターに会えるのは嬉しいが、これまで抱いていたイメージが壊れてしまうこともあるからだ。エノラ・ホームズに関してもそうだったのだが、7巻を読んでみたらそんな心配は無用だった。第一巻からミソジニー丸出しだったSherlockは少し「進化」していたが、それでもまだ妹の才能については「女にしては賢い」としぶしぶ認める程度だ。そんな兄と社会通念を無視して行動し、名探偵のSherlockを出し抜くEnolaの魅力はこの巻でも薄れてはいない。

これからもこのシリーズは続きそうだが、そこではもっとTewkyが活躍してくれることを個人的に期待している。

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