パラノーマル・サスペンスのロマンス小説から警察小説ジャンルに路線変更してファン層を広げたベテラン女性作家の3部作 A Bad Day for Sunshine

作者:Darynda Jones
シリーズ名:Sunshine Vicram三部作 (A Good Day for Chardonnay, A Hard Day for a Hangover)
Publisher ‏ : ‎ St. Martin’s Press
発売日:April 7, 2020
Hardcover ‏ : ‎ 400 pages
ISBN-10 : ‏ :1250149444
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1250149442
適正年齢:成人
セックスシーン描写レベル:3
読みやすさ:7
ジャンル:娯楽小説、コージー・ミステリ、警察小説、ロマンチックコメディ
キーワード、テーマ:ニューメキシコの小さな町、警察、犯罪一家、ロマンス、ユーモア

アメリカ西部のニューメキシコの小さな観光の町が舞台。
17歳の時に誘拐されたヒロインのSunshineは、脳挫傷で記憶を失い、父親のアイデンティティが不明の娘を産んだ。その過去から離れるために故郷のDel Solを離れて刑事になり、シングルマザーとして自立していた。けれども、自分が知らないところでDel SOlの町の保安官に選出されてしまい、15年ぶりに故郷に戻ることになった…。

娘と孫を溺愛しているが呆れる行動を取る両親、子どもの頃からイタズラを一緒にやってきた大親友でイケメンの補佐官、自分で謎を解こうとして事件にまきこまれる娘、ヒロインが10歳の頃から恋している犯罪家族の息子…と、癖がある登場人物が揃っている。小さな町とカラフルな登場人物の設定はコージーミステリだが、ロマンチックコメディの要素と、少しばかり超常現象も含まれている娯楽小説。

Jonesは「フルタイムの死神でパートタイムの私立探偵」がヒロインのパラノーマル・ロマンチック・サスペンス「Charley Davidsonシリーズ」で知られている人気作家である。以前はほぼ100%が女性ファンだったが、今回は男性読者も多い。今回はロマンスは含まれているものの、ユーモアやドタバタ劇のほうが多い娯楽小説であり、「ユーモア警察小説」のイメージを押し出しているからだろう。有名なミステリ作家のLee Childの推薦文も男性読者を引き寄せるのに役立っていると思う。

バカバカしい展開はかなりあるけれど、真面目に捉え過ぎなければ、笑いを楽しめる。主要登場人物の外見についての描写や筋書きには不要なホット(スパイシー?}なシーンには辟易するのだけれど、ロマンス小説作家としてのサービス精神が抜けないのだろう。

ところで、最近は新たにミステリや歴史小説のジャンルを手がけて大ベストセラーを出すベテランのロマンス作家が増えている。登場人物を興味深くて魅力的に描かないとロマンス小説は売れない。そういった作品を数多く書くことに慣れているロマンス作家が他のジャンルに路線変更して大ブレイクするのは不思議ではない。それを実感させてくれる三部作だ。

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