幽霊屋敷+殺人+孤独でタフなヒロインが定番のゴシック・スリラー代表作家Simone St. Jamesの新作 The Book of Cold Cases

作者:Simone St. James
Publisher ‏ : ‎ Berkley
発売日:March 15, 2022
Hardcover ‏ : ‎ 352 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0440000211
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0440000211
対象年齢:一般(PG12+)
読みやすさ:7
ジャンル:ゴシックスリラー
キーワード、テーマ:幽霊屋敷、超常現象、連続殺人、家族の秘密、孤独でタフなヒロイン、true crime (犯罪ドキュメンタリー)

離婚して子供も友人もいないSheaは、病院の受付の仕事を終えると自宅に戻るだけの孤独な生活を送っている。けれども、彼女にはtrue crime(実際に起こった犯罪を分析、ルポするドキュメンタリーやポッドキャストなど。北米で非常に人気があるジャンル)のブロガーとしての別のアイデンティティがあった。

ある日、Sheaは病院の待合室にいた女性に見覚えがあることに気づいた。それは、40年前に連続殺人の容疑者としてメディアが「Lady Killer」とニックネームをつけたBeth Greerだった。メディアは若くて裕福なBethとセクシーで冷酷な殺人者のイメージを重ねあわせて大きく報じた。結果的に証拠不十分で無罪になったのだが、真実が明らかになることはなかった。

Sheaがtrue crimeに興味を持つようになったのは、子供の頃に自分自身が誘拐犯罪の被害者になった経験があったからだ。それが心的トラウマになっており、今でもSheaは車に乗ることができない。

Sheaが断られる覚悟でBethに取材を申し込んだところ、意外なことに承諾された。Bethは父親が殺された大きな屋敷にいまだに住んでおり、SheaがBethから話を聴くためにその屋敷を訪問したところ、不気味な現象が起こった…。

Ann Radcliffeから始まってDaphne du Maurierなどに引き継がれたGothic Thrillerは、幽霊や超常現象とミステリ/スリラーが混じった小説のジャンルである。そのジャンルの現代の代表作家のひとりがSimone St. Jamesだ。ゴシック・スリラー好きの私は彼女の作品をすべて読んでいるので、いつも最新刊を楽しみにしている。今回の作品は英語圏で非常に人気があるtrue crimeのブログやポッドキャストのブームが反映されていて、現代小説としても興味深い。いつものように、少しだがロマンスもある。これまでの最高作品であるThe Broken Girlsには及ばないが、それでも息抜きの娯楽作品として十分楽しめた。

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