Author: 渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott

エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)など。 最新刊は、『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房) 翻訳書には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 最新の翻訳書はレベッカ・ソルニットの『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店) 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク日本語版|FINDERS 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

邦訳されてほしい本

Those Who Save Us 著者:Jenna Blum 2004年初刊 ジャンル:純文学/歴史(第二次大戦-ドイツ) 平和になっても自分を罰し続ける哀しい生存者たち http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0156031663&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 十五年ほど前、香港に住んでいるときに欧米からの駐在員が多いカントリークラブで「出身地対抗テニス大会」に参加したことがある。そのとき、ドイツチームが得点するたびにブーイングが起こり、失敗するたびに拍手が起こるのに気づいた。そのときに思い出したのは、英国に住んでいるときに知人が戦争の記録映画を見て「ドイツ人は残酷な民族だ」と憎々しげにつぶやいたことだった。 欧州は、ドイツの過去を完全に許すことができないのだろう。 アメリカ合衆国でも、ユダヤ人生存者とその子孫がドイツ人の犯した罪を公に糾弾できるのに対して、ドイツ人生存者やその子孫は自分たちの立場を弁護できない。ナチスの将校として平然と多くのユダヤ人を殺害した者もいるだろうし、ユダヤ人を売り飛ばした者もいるだろう。だが、ユダヤ人を愛した者や命がけで救おうとした者もいたのだ。それでもドイツ人であるかぎり、一様に彼らは民族の罪を背負わされ、罪悪感に無言を強いられる。 第二次大戦で同じく「悪者」となった日本人も、本や映画で何度も糾弾されてきた。「Those Who…

次期医務総監候補の書いた本-今後売れそうな本

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0446698180&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 次期大統領のバラク・オバマがCNNの医療担当レポーターで神経外科科医師のサンジェイ・グプタ(Sanjay Gupta)氏を医務総監(Surgeon General )に起用するつもりであることが報道された。グプタ氏は両親がインドから移民したインド系アメリカ人であり、大統領夫人時代のヒラリー・クリントンのアドバイザーだったこともある。 通常医務総監という地位はあまり注目されないものだが、39歳という若さとハンサムな容貌、エネルギーに満ちたカリスマ性で人気があるグプタが就任すれば、この地位そのものが注目されるであろうと見られている。 彼が2007年4月に出したこの本には、沖縄人の長寿についても書かれている。もし彼が医務総監に就任すれば、ニュース性があるために日本でも興味を抱く者が出てくるだろう。

ローラ・ブッシュが回想録の契約を結ぶ

現大統領夫人のローラ・ブッシュが出版社のSimon & Schuster(サイモン・アンド・シャスター)社と回想録の契約を結んだことが明らかになった。ただし、MSNBCテレビの情報によると、advance(アドバンス:契約時の印税前払い分)は、たったの1.6 millionドル(約1億6千万円)で、ヒラリー・クリントンの8 million(約8億円)のadvanceとは比較にならないほど低い。 「さほど売れないだろう」と判断した出版社たちの関心が低く、値がつりあがらなかったようだ。

「あの本読んだ?」- おばさんの読書プレッシャー

20年くらい前までは、来日したアメリカ人が「日本人はホームレスでも新聞を読む!」と驚くくらい日本人は活字中毒でした。最近日本人はあまり本を読まなくなったと聞いていますが、アメリカ人の読書熱はかえって高まっているようなきらいがあります。 特に、おばさんたちの間で、ハンドバッグや洋服ではなく、「あの本読んだ?」と互いの読書パワーを比べるプレッシャーが広まっているようなのです。 夫と結婚した当時には本を読んでいる姿を見たことがなかった姑までもが、会うたびに、「あの本読んだ?」と本についてたずねるようになり、そのうち私よりも先に純文学ベストセラーを読破するようになりました。どうやら、友達からのプレッシャーで本を読む癖がついたようなのです。 活字中毒を誇りにしてきた私は、屈辱を覚えながら、彼女の読み終えた古本を受け取るのです。 「あの本」の代表作は、最近では「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society 」、「Loving Frank: A…

Still Alice

作者:Lisa Genova 2009年1月6日発売 ジャンル:科学・医療・健康/フィクション Still Alice http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1439102813&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ハーバード大学の心理学教授Alice Howlandは、職場では同僚や学生から尊敬され、私生活でも愛する家族に恵まれていた。だが50歳の誕生日を目前にして、これまで経験したことのなかった物忘れが増え、ジョギングの途中で帰り道がわからなくなる。病院で、予期しなかった「早期発症型家族性アルツハイマー病」の診断を受けたAliceは、自殺という選択肢を考慮しつつもなるべく長い間「自分らしさ」を保とうと努力する。 子供たちは、最初はショックを受けたもののどんなに変化しても母親であるAliceをそのまま受けいれようとする。しかし、妻の鋭利さに長年無意識のうちに頼ってきた夫のJohnはそれができない。彼は自分のやり方で対処しようとするが、それは必ずしもAliceの求めることではない。 作者のLisa Genovaは、大学で生体心理学を学び、ハーバード大学で神経科学の博士号を得た科学者である。この分野にもともと詳しいだけではなく、患者を扱う専門医を取材し、Dementia Advocacy & Support…

これから出る注目の本(フィクション編)

Still Alice 作者:Lisa Genova 2009年1月6日発売 Still Alice http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1439102813&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 50歳の若さでアルツハイマー病の診断を受けた女性の視点から描いた小説 ハーバード大学の心理学教授Alice Howlandは、職場では同僚や学生から尊敬され、私生活でも愛する家族に恵まれていた。だが50歳の誕生日を目前にしてこれまで経験したことのなかった物忘れが増え、ジョギングの途中で帰り道がわからなくなる。予期しなかった「早期発症型家族性アルツハイマー病」の診断を受けたAliceは、自殺という選択肢を考慮しつつもなるべく長い間「自分らしさ」を保とうと努力する。 子供たちは、最初はショックを受けたものの母親のAliceの変化をそのまま受けいれようとする。しかし、妻の鋭利さに長年無意識のうちに頼ってきた夫のJohnはそれができない。彼は自分のやり方で対処しようとするが、それは必ずしもAliceの求めることではない。 作者のLisa Genovaは、大学で生体心理学を学び、ハーバード大学で神経科学の博士号を得た科学者である。この分野にもともと詳しいだけではなく、患者を扱う専門医を取材し、Dementia Advocacy…

普通の少女ベラとバンパイアの少年エドワードのロマンスに全米の少女が憧れた「Twilight」シリーズの作者Stephenie Meyerによる初めてのSF – The Host

Stephenie Meyer 2008年6月初刊 ジャンル:SF/スリラー/パラノーマル/ロマンス

アメリカ人がわが子に必ず読ませるクラシック

日本人がどんなに英語が上手になっても、パーティなどで誰かが「Sam I am」と言ったときにひとりだけ何のことかわからず笑いに取り残されることがある。それは、アメリカ人なら誰でも知っているDr. Seussの絵本を読まずに育ったからだ。 ここでご紹介するのは、会話でよく引用される代表的な絵本の一部である。親子で英語を学ぶのにも適している。 詳しくはそれぞれのページをどうぞ。 Goodnight Moon Runaway Bunny Richard Scarry book シリーズ Dr.Seuss…