Category: 超上級
Atlas Shrugged
著者:Ayn Rand 1957年初刊 ジャンル:フィクション/純文学 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アメリカ人と関わる機会がある人なら一度は読むべき本 ロシアからの移民のAyn Randがこの小説を使って布教したかったのは、「合理的な利己主義こそが真の道徳の基準であり、利他主義・博愛主義は極めて非道徳的」だという考え方である。ノーム・チョムスキーが「現代の知識人のなかで最も邪悪なひとり」と呼んだのも納得できる。 この本が出版された1950年代は社会主義・共産主義への反感が強い時代だった。ソビエト連邦の脅威にパラノイアを抱くアメリカには利他主義を批判するこの本を受け入れやすい土壌があったのだ。 最近まで共和党は経済的なエリートの党であった。彼らは「貧しい者は、努力をしないからである。努力して裕福になったわれわれが怠け者の面倒を見ることを強要される福祉対策が社会主義だ。それを支持する民主党を勝たせるとアメリカ合衆国は終わりだ」と信じる。裕福な共和党員の子はこれ以外の見解を知らずに育ち、大学では同じような友人を選ぶ。 だが、社会で異なる思想や経済的背景を持つ優れた人物と出会う機会があった者は、自分の体験からRandの倫理観の欠陥を読みとることができるようになる。学生時代に感動したのに20年後に読んで「ひどい」と感じる者がいるのは、体験が思想を変えたからだろう。 チョムスキー的知識人は強い嫌悪感を覚えるであろうし、グリーンスパン的知識人は強い魅力を感じるだろう。 思想の左右は別として、アメリカ人と触れる機会のある人は読む価値があると私は思う。Randの本に対する相手の反応で、どういう人物かを推測できるからである。これは有用なリトマス紙だ。 ●読みやすさ ★☆☆☆☆…
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Here Be Dragons
作者:Sharon Kay Penman 1985年初刊 ジャンル:歴史(13世紀ウェールズ)/歴史ロマンス http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312382456&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 13世紀ウェールズの偉大なる英雄とその妻の劇的な人生 13世紀のウェールズ(Wales)は内部で分裂し、英国からの度重なる侵略にそれぞれが応戦しながらも、統一することができなかった。英国の鋭利で冷酷な統率者の国王John(ジョン)は、ウェールズとの政治的な絆を作るために非嫡出の娘Joanna(ジョアナ)を北ウェールズの王子Llewelyn(ルウェリン)の妻として与える。 フランスで育ち、若くして年上のLlewelynの妻になったJoannaは、最初のうちよそ者として孤立し苦しむが、カリスマのあるLlewelynを愛するようになり、政治的にも夫を助けるパートナーとなる。 しかし、英国王Johnは何度もWalesへの侵略を試み、父のジョンへの強い愛と忠誠心を持つJoannaは父と夫のどちらも選ぶことができずに葛藤する。
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私が愛するファンタジー! The Name of the Wind
著者:Patrick Rothfuss 2007年初刊 ジャンル:SF/ファンタジー/フィクション/魔法・魔術 さびれた村の宿屋「Waystone Inn」の店主に身をやつしているKote(コート)は、実は「王殺し」として悪名高い、伝説の魔法使いKvothe(クォーテ)だった。彼の真相を知るのは弟子のBastだけだったが、平和な村に不気味な出来事が起きはじめ、それに引き続いて伝記作家がKvotheを追って宿屋に現れる。 最初は伝記作家の申し入れを拒否していたKvotheだが、すべて彼の言葉のまま記すという約束のもとに彼の半生を語り始める。「The Name of the Wind」は、彼が3日にわたって語る半生の第1日目の部分である。 天才的な頭脳と音楽の才能に恵まれていたKvotheは、幼いときに謎のChandrianに両親を殺され、ホームレスとして生存のためだけに戦う。そこからようやく抜け出し、「University」に最年少で入学することに成功したが、才能があるゆえに敵を作り、体制を重んじない頑固で潔癖な性格のために何度も危機に陥る。 音楽を愛し、好きな女性に告白できず、弱者には優しい少年が、最もパワフルな魔法使いになり、悪名高い「王殺し」として伝説化し、ついに魔力を失うまでの波乱の人生を描く超大作。 ハリー・ポッターと比較する者も多いが、この作品は作者のRothfussが20年かけて書き上げたものであり、ハリー・ポッターから影響を受けたと思える部分はない。また正義感が強いという意味ではハリーと似ているものの、Kvotheは自分のサバイバルのためや嫌な奴への復讐のためであれば平然とルールを無視する欠陥がある。天才的な能力を持ちながらも、好きな女性の前では典型的に「自信のない少年」になってしまう人間的なヒーローに、読者はかえって親近感を覚え、魅了されることだろう。 「Quill…