Category: ★★★(高校英語を終了したレベル)
自傷癖があるヒロインが主人公のミステリー-Sharp Objects
Gillian Flynn 2006年9月初版 ミステリー/心理サスペンス シカゴの三流新聞の記者Camille Preakerは、心理的なトラウマから自傷で精神病院に入院していたこともある。トラウマの原因が存在する故郷のWind Gap(ミズーリ州)には長い間帰省したことがなかったが、その町で少女の連続殺人が起こる。殺害された少女たちの遺体からは歯が引き抜かれていた。インサイダーとしてのスクープを狙う編集者に取材に行くように命じられたCamilleは自分の精神状態が不安定になることに怯えながらも故郷に戻り、長年避けてきた母と異父妹のAmmaに再会する。
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フランス人女性から学ぶ素敵な男を見つける術-French Women Don’t Sleep Alone
muse & marketplace特集第8回でご紹介するのは、French Women Don’t Sleep Alone(フランス人女性は一人では寝ない)という、思わせぶりなタイトルの恋愛指南書を書いたJamie Cat Callanです。 「スリムに撮ってね~」とお願いされて撮った写真は手ブレで使い物にならないので、彼女のサイトから写真をお借りしました。視力が悪くなってからというものの、それには直接関係ないはずの手ぶれ写真が多くなって困ります。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0806530693&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0806530693&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アメリカでは、結婚相手を見つけたい独身者向けの「Speed Dating」なるものがあります。多くの独身者が一堂に集まり、7分か8分ごとに相手を変える、忙しいデートです。もともとはユダヤ人コミュニティ専門だったのですが、このごろは誰でも参加するようになっています。たった7分くらいで交わす会話は、どうしても「どんな仕事をしているのか?」「収入はいくら?」といったまるで仕事の面接のようになってしまいます。 French…
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児童書界の重鎮-Lois Lowry
muse & marketplace特集第7回は、Battle of the (Kids’) Booksの決勝戦の審判、Lois Lowryです。(二つの特集が重なるなんて素敵な偶然だと思いません?)Lois Lowryは、ヤングアダルト向け児童書としてより優れたSFとみなされているThe Giverの作者で、これまで数え切れないほど多くの作品を書いています。また、彼女はmuseのボランティア講師の常連でもあり、作家志望者に児童書のコツを指導しています。 今日は多くのLowryの作品の中から2つの異なる未来を描いたSFをご紹介します。 1.The Giver 理想郷の近未来では、すべてが同じであり平等である。色の差もなく、土地や天候にもバラエティはなく、人々の感情にも起伏はない。”Council of…
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ハリー・ポッターファンにおすすめ-Percy Jackson & the Olympiansシリーズ
そろそろ男の子向けのヤングアダルト本のご紹介を。この分野ははSF、 ファンタジー、冒険ものが多く、9-12歳向けの児童書とヤングアダルトの区分がつけにくいようです。同じ本でも異なる町の図書館で児童書扱いされていたり、YA扱いされていたりとばらばらです。また大人の読者が多いのにYA扱いされているものや、その逆もあります。今日ご紹介するPercy Jackson & the Olympiansシリーズもそんな本のひとつです。ハリー・ポッターのように小学生から高校生くらいまで幅広い年齢層の少年に大人気で、すでに映画化(米国では2010年2月に上映予定)が進んでいます。シリーズ完結編の5巻が今年5月に発売されますので、今からスタートすれば上映までに全部読みきることができるでしょう。 Percy Jacksonの父は彼が生まれる前に姿を消し、優しくて完璧な母親はなぜかろくでなしの男と結婚している。ADHD(注意欠陥・多動性障害)と学習障害がある彼は問題を起こしては転校を繰り返し、ついに問題児が集まる寄宿制の学校に入学して親友と尊敬するラテン語の教師に出会う。しかし、ここでも問題を起こして退学になる。実はPercyがADHDでしかも学校を転々としていたのにはちゃんとした理由があった。Percyは、ギリシャ神話の神と人間との間に生まれたdemigodだったのだ。 作者Rick Riordanの息子にはADHDと学習障害があり、幼いころにその子が深い興味を抱いたのがギリシャ神話だった。ギリシャ神話の神にはADHDなところがある。その神と人間の間に生まれたdemigod(半神半人、ギリシャ神話に出てくるヘラクレスのようなヒーロー)にADHDがあるのは当然で、しかもそれは利点なのだ。そんな発想で息子のために物語を語り聞かせたのがPercy Jackson & the Olympiansシリーズのきっかけだった。 demigodが集まるCamp…
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心温まる青春小説―The Truth About Forever
Sarah Dessen2004年青春小説/ヤングアダルト http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0142406252&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0142406252&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 高校生のMacyは成績も品行も良い優等生で外からは何の問題も抱えていないように見えるが、父親が突然死してから深い悲しみを胸の奥底に潜めている。「完璧」なボーイフレンドのJasonは、Macyの心の支えになるよりも自分のために彼女がどう役立つかしか考えていない。だが、それをMacy本人が気づいている様子はなく、彼の傲慢ぶりを崇拝し、自分を卑下しているところさえある。"Brain Camp"(有名大学への入学が有利になるとみなされる優秀な生徒が集まる泊りがけの夏期コース)に行くJasonは自分が重要視している図書館でのアルバイトの職をMacyに引き継がせるが、それは彼女にとって精神的な拷問に近かった。かわりにMacyは人手が足りず、彼女を必要としている仕出し屋でアルバイトを始める。この仕出し屋でバイトをしているのは、これまで優等生のMacyが付き合ったことのない問題児ばかりだった。彼らのおかげでMacyは肩の力を抜き、生活を楽しみ始める。特に、ハンサムなWesは危険な外見とは異なる別の部分を持っていて、Macyが胸の奥底にしまってきた悲しみと罪悪感、自信のなさに直面するのを助けてくれる。 登場人物がそれぞれ生き生きとしており、ユーモアにあふれ、ロマンチックで心温まる青春小説である。また、父を失った悲しみと罪悪感、ボーイフレンドにコントロールされやすい少女の心理をリアルに表現しているところも優れた点である。親に守られてきた平和な世界が崩れる現実とその現実でいかに自分を見出して人生の選択をするのか、という課題を扱うこの作品はいつものDessenの青春小説より深みのある読後感を与えてくれる。 ●ここが魅力!著者のSarah Dessenは、初恋や家族問題などに揺れ動く思春期の少女の心情を描くのが得意な青春小説の大御所です。代表作をいくつか読みましたが、その中で私がもっとも優れていると感じたのがこのThe Truth About Foreverです。Jasonという優等生の少年にマインドコントロールされて自分を卑下しているMacyは、たぶん女性であれば心あたりがあるでしょう。 軽すぎず、重すぎず、思春期の女の子にぴったりですが、大人が読んでも十分楽しめる作品です。 ●読みやすさ ★★★★☆★★★と★★★★の中間で、Twilight程度のレベル。女子高校生の1人称で語られ、造語や俗語がほとんどないのも読みやすい理由です。 ●アダルト度 ★★☆☆☆ロマンスが含まれた青春小説ですが、ヤングアダルト分野では性的表現がキス程度と非常にマイルドなほうです。(Twilightと異なり)中学生から安心して読ませることができるレベルです。…
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楽しく読めて感動する-The Curious Incident of the Dog in the Night-time
Mark Haddon2003年ヤングアダルト/現代小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1400032717&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0099450259&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 非常に有名な本なので今さら私が書く必要はないのですが、より多くの方に読んでいただきたいのであえて載せました。 15歳の自閉症の少年Christopher Booneは、数学では並外れた能力があるものの、他人の表情を読み取ったり、感情のニュアンスを理解することができない。そのうえに色に関する強迫観念もある。(本人にとっては)論理的だが融通のきかない思考回路しかできないChristopherが他人と心を通わせることは難しい。そんな彼が深夜に隣人のプードル犬が何者かに殺されているのを発見し、大好きなシャーロック・ホームズにならい、犯人を突き止めることにする。だが、犬の殺害事件を追ううちにChristopherは両親の仲が壊れていることを学び、ロンドンに住む母親と暮らすために自閉症にとっては大冒険である馴染みのない世界に足を踏み出す。ミステリーというより、Christopherという自閉症の少年の世界をリアルに、そしてユーモアを持って描いた、YAというよりも大人向けの優れた文芸小説である。 ●ここが魅力!自閉症という重いテーマを扱いながらも、ユーモアに満ちた、面白い娯楽作品です。Christopherの言動は他人からは不可解なものですが、本人にとっては非常に論理的なのです。数学好きでニュアンスが理解できない彼の思考回路は常人とかけ離れていて、それゆえにチャーミングで可笑しいのですが、面白いだけでなくChristopherや彼の父親に深い同情と愛情を覚える感動的な作品です。章が素数であったり、数学の問題が沢山出てきたり、思考を説明するイラストがあったり、読書体験そのものを楽しめる工夫がちりばめられています。 ●読みやすさ ★★★☆☆★★★と★★★★の中間で、非常に読みやすい本です。分からない単語があっても辞書を引かずに読み続けて十分理解できるでしょう。 ●アダルト度 ★☆☆☆☆「Do you mean that they were…
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懐かしさがこみあげるクラシック-Daddy Long Legs
今日は、YAのクラシックを。 音楽のように、ある作品が過去のある時期の思い出に重なり、タイトルを耳にするだけで懐かしく、そして切なくなることってありますよね。私にとってはDaddy Long Legsがそんな本です。今日、偶然このタイトルにぶつかって、子どものころ胸をときめかせた感覚が蘇りました。赤毛のアンのように、「いっしょうけんめい勉強して、心優しく、前向きで、けれどもユーモアのセンスがあって、他人とはちょっと違う女性になったら、いつか素敵な人が現れて愛してくれる」と夢見させてくれた本です。今の子にもこういうロマンスを読んで育ってほしい、なんて思うのは年寄りになった証拠でしょうか。 著作権が消滅していますので、無料で読むことができます。アニメや日本語版でしかDaddy Long Legsを知らない方にぜひ原語で読んでいただきたい作品です。チャーミングなJerusha Abbotの語り口につい引き込まれてしまうでしょう。今読み返しても、ドキドキするエンディングです。 ヤングアダルトから大人向けに書かれた本ですが、小学生にもおすすめできます(私は小学校高学年のときに虜になりました)。 ●読みやすさ ★★★☆☆ 現代の口調とほとんど変わらず、しかも現代のようなスラングがないので、★4つに近い読みやすさです。 オンラインで読むのが面倒な方は、コンピューターにダウンロードしてごゆっくりどうぞ。 daddy_long_legs.pdfをダウンロード 本のほうが好きな方には、続編の「Dear Enemy」も入っているこちらをおすすめします。…
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Twilightファンにおすすめ-「City of Bones」(The Mortal Instruments シリーズ第一部)
著者:Cassandra Clare発売日:2007年3月ジャンル:ヤングアダルト/ファンタジー/パラノーマルロマンス Twilightの次に何を読もうか迷っているファンタジーファンにおすすめ http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416955070&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 女子高校生のClary は、幼馴なじみで親友のSimonと行ったナイトクラブで男女3人のティーンが少年を殺す場面に立ち会うが、Simonには彼らが見えない。魔物を退治するシャドーハンターだと名乗るJaceにClaryは詩の朗読会で再び出会う。見えないはずのシャドーハンターが見えるClaryにシャドーハンターの血が流れていることを推察したJaceは、シャドーハンターの大使館のようなInstituteに連れてゆくという。そこに母親のJocelynから携帯に「家に戻ってはいけない」という取り乱した電話がかかり、Claryが家に駆け戻ると母は姿を消していて魔物に襲われる。解毒をしないと1時間で死ぬとJaceに告げられたClaryはInstituteに行き、どうやら自分には母が知らせていない秘密の過去があるらしいことを学ぶ。ClaryとSimonは、ニューヨーク市の闇でくりひろげられているシャドーハンター対魔界の生物たちの戦いにまきこまれてゆく。 ●ここが魅力!先日お話したように、著者のClareはハリー・ポッターと指輪物語のFan Fic(二次創作)作家としてファンがつくほど有名になり、それで作家として発掘されたといういきさつがあります。ファンタジーとしては、「Harry Potter」や「The Lord of the Rings」のように根底に深い哲学があるわけではなく、「The Name of…