73年間ハッピーな結婚を維持した96歳ブロガーの人生指南ベストセラー Fall in Love for Life

著者:Barbara Cooper

ハードカバー(208ページ)/キンドル版あり

出版社:Chronicle Books

出版日: 2013年1月1日

回想録/エッセイ

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著者のBarbara Cooperはエジプト生まれのユダヤ系アメリカ移民で、20歳のときにカリフォルニアで知り合った5歳年上のHarryと結婚し、2010年にHarryが98歳で亡くなるまで73年の幸福な結婚生活を送りました。

Barbara (愛称はなんとCutie!)とHarry は、ただの長寿カップルではありませんでした。あまりにも仲良しの二人に感化された孫ふたりのすすめでブログを書きはじめ、愛や人間関係に悩む全世界の人々にアドバイスを与えるようになったのです。このブログは大人気になり、Harryの死後、ふたたび孫たちのヘルプで、Barbaraは本を書きました。

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末期がんの母と息子の、ふたりきりの読書会 The End of Your Life Bookclub

Will Schwable

ハードカバー: 352ページ

出版社: Knopf
(2012/10/2)

ISBN-10: 0307594033

ISBN-13: 978-0307594037

発売日:
2012/10/2

回想録/エッセイ

2012年「これを読まずして年は越せないで賞」候補作(渡辺推薦)

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ジャーナリスト、文筆家、編集者という経歴を持つWill
Schwableの母Mary Annは、男女の格差が激しかった時代にハーバード大学とラドクリフ大学(当時はまだ統合されていなかった)の入学選考事務局長(Dean
of Admissions)を務め、引退後はパキスタンやアフガニスタンを飛び回って難民問題に取り組み、アフガニスタンに図書館を作るために奔走した女性だった。

世界各地で疾病をしょいこんでも休まずエネルギッシュに活動していたMary
Annだが、73歳のときにかかった肝炎がなかなか回復せず、ようやく原因が判明したときには、膵臓がんは末期になっていた。

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グレイトフル・デッドと脳神経科学 An Anthropologist On Mars

Oliver Sacks
ペーパーバック: 327ページ
出版社: Vintage
(1995/2/7)

脳神経科学・医学/エッセイ/ノンフィクション

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「An Anthropologist On Mars 」は 16年前に出版され、「火星の人類学者--脳神経科医と7人の奇妙な患者 」として邦訳されたものが既に絶版になっているが、7つのエッセイのひとつ「The Last Hippie」が映画化されたので、新たにご紹介しようと思う。

1950年代にニューヨーク市の中流階級の家庭で育ったグレッグは、音楽の才能がある利発な子どもだったが、ティーンになるとヴレッジに通い、ヒッピームーブメントの影響を強く受けて政府や権威に反抗的になっていた。

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ビジョンと脳の不思議な関係 The Mind’s Eye

Oliver Sacks
288 pages(ハードカバー)
Knopf(2010年10月26日発売)
ISBN-10: 0307272087

ノンフィクション/神経科学/エッセイ

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神経学者として興味深い症例について多くのエッセイを書いて来たオリバー・サックス博士の最新刊は、ビジョンと脳に関するいくつかのエッセイを集めたものである。

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人生の敗者復活戦への希望が生まれる旅行記 Eat Pray Love

Elizabeth Gilbert
352ページ(ソフトカバー)
Penguin
2006年初版
エッセイ/回想録/旅行記

AERA English 10月号で推薦している作品のひとつ。

困難な離婚とその直後の辛い恋愛で心身ともにボロボロになった著者のElizabeth Gilbertが、スピリチュアリティと 幸福を求めて3つの国を旅する旅行記。
ようやく夫が離婚を承諾し本のアドバンス(前払い)を得たElizabethは、まず最初にイタリアを訪問する。彼女がイタリア語を勉強したかった理由はひとつ。それが美しい言語だからだ。精神的苦悩でやせ細っていたElizabethだが、食べること(Eat)を含めたイタリアの生活を満喫することで、人生を楽しむ心と体重を取り戻す。その後、彼女はインドに渡り、ヒンドゥー教の僧院(アシュラム)で瞑想を学ぶ(Pray)。そして、最後に訪れたバリ島で、思いがけない愛(Love)を見つける。

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タフな少年時代を独自のユーモアで語る児童作家ダールの自伝 Boy

Roald Dahl
1984年初版
自伝/ユーモア

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Charlie and the Chocolate Factory、James and the Giant Peach などの児童書で有名な英国の作家Roald Dahlの子供時代を語る自伝。

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自分自身をモルモットにした奇想天外体験ユーモアエッセイーThe Guinea Pig Diaries

A. J. Jacobs
256ページ
Simon & Schuster
2009/9/8発売
エッセイ/ユーモア

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しばらく文芸小説が続いたので、このあたりで軽い読み物をご紹介します。
ユーモアにもいろいろありますが、私が一番好きなのは頭が良い方が書いた「のほほん」としたものです。子供のころ遠藤周作が狐狸庵として書いた作品のファンだったと言えば、年配の方はご想像がつくのではないかと思います。

この Guinea Pig Diariesはアメリカ人が書いたものですが、頭が良い方の「のほほん」ユーモアということで狐狸庵先生の作品と共通したところがあります。作者のA. J. JacobsはEsquireという男性雑誌のシニア・エディターで、彼がそこに連載しているユーモアエッセイのターゲットは男性です。けれども、女性が読んでも「男の人ってふだんこういうこと考えてるのね」と楽しめるユーモアです。

これまでにもEncyclopædia Britannica(ブリタニカ百科事典)を全部読んだ体験エッセイThe Know-It-All: One Man’s Humble Quest to Become the Smartest Person in the Worldとか、1年間聖書の教えどおりに生活した体験を綴ったThe Year of Living Biblically: One Man’s Humble Quest to Follow the Bible as Literally as Possibleなど、奇抜なアイディアをネタにしてきたJacobsです。周囲の人々からの「あれをやったらどうか?」という余計なお世話的提案は途絶えないようです。それがまた変なアイディアばかり。今回のGuinea Pig Diariesは、「My Life as and Experiment」という副題のとおり、自分をモルモットにして変てこなアイディアのあれこれを実験してみた体験エッセイです。

まず最初の実験は「My Life as a Beautiful Woman」。
「美女としての私の人生」というタイトルに読者はすぐに変な想像をするでしょう。それを知らずに断言しますが、全部外れです。
Jacobs夫婦が雇ったベビーシッターはすごい美女なのですが、ボーイフレンドがいません。この美しいベビーシッターのためにJacobsは米国で流行のオンラインデートを手配するのですが、そのうち彼は本人よりものめり込んでしまいます。美女になりきって押し寄せる求愛メールに返答するJacobsがだんだん「美人って損」の心理にひたってくるところが抱腹絶倒です。

The Truth About Nakedness」もなかなかの傑作です。JacobsはEsquireの企画で女優のメアリー=ルイーズ・パーカーに寄稿してもらう編集担当になり、写真つきの「ヌードモデル体験」を書いてもらう承諾を取りつけました。男性雑誌ですからホームランものの企画です。ところがパーカーはある条件を出してきました。Jacobsもヌード撮影し、彼女が写真を選ぶというのです。反対してくれるかと思った妻も、上司も大賛成。かくして、Jacobsははからずもヌードモデル体験をすることになってしまいました。撮影中に彼の頭をよぎる不安や強迫的観念がまた傑作です。5月のBood Expo Americaで会った著者のJacobsをつい想像して、吹き出してしまいました。
サイン会ですから会話はちょっと交わしただけですが、本から伝わるイメージどおり少年がそのまま大人になった感じの男性でした。

読みやすさ ★★★☆☆

文法的には非常に読みやすい類いです。それだけだと★4つですが、外国訛りをそのまま書いたところとか、時事やポップカルチャーの知識がないと面白くないところがあるので★3つにしました。

9つの短いエッセイが含まれていますので、面白そうな話題から読み始めることができます。また、面白くないものは飛ばして次を読むこともできます。完読の満足を得られるので、長編に挑戦するのをためらう方におすすめです。

●アダルト度 ★★☆☆☆

セックスとかヌードとかの取り扱い方は、思春期の少年のジョークみたいな感じです。男性雑誌に連載されていたエッセイですがマイルドなものです。

●A. J. Jacobsのその他の作品

The Know-It-All: One Man’s Humble Quest to Become the Smartest Person in the World

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The Year of Living Biblically: One Man’s Humble Quest to Follow the Bible as Literally as Possible

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心暖まる獣医物語のクラシック—「All Creatures Great and Small 」

二十数年前、ロンドン郊外でホームスティすることになった。ホストは30代のキュートなカップルだった。妻のジャネットは60年代に有名だったポップ歌手のLuluに似ていることが自慢のフレンドリーな女性で、強いコックニー訛りがある夫のジョンからはシャイな優しさが感じられた。3人の子供と2匹の猫は初対面のときから私になつき、一人にさせてくれないほどだった。

ジャネットとジョンの家の中には独立したアパートメントがあり、そこにはジャネットの母親ルースが住んでいた。 中流階級出身らしく上品なルースの髪はまだ60代だというのに真っ白で、笑顔になっても眉間の深い縦じわは消えなかった。ふだん若い夫婦の生活に干渉しないルースと会話を交わすようになったきっかけは、皮肉なことにジャネットの家出だった。そのころには私もジャネットに多くの恋人がいることは知っていたが、まさかそのうちの一人と駆け落ちするとは予想もしていなかった。動揺し混乱する家族の中で、ただひとり黙々と日常作業をこなし続けたのがルースだった。夫の死後ひとりで花屋を経営しつつジャネットを育てたルースは、20年も前から娘の非行には慣れていたのだ。彼女の眉間の縦じわと真っ白な髪の理由が、このときなんとなくわかったような気がした。

家族の危機をきっかけに、ルースは頻繁に私をアパートメントに招待してくれるようになった。手作りのグースベリーパイやルーバーブパイと一緒に、ルースはRoyal Albert Old Country Roses のティーセットでもてなしてくれた。ルースのティーは、ジャネットがマグに直接ティーバッグを入れるものにくらべて格別美味しく感じたものである。

私が自分の家族を持って買いそろえたのは、Royal Albert Old Country Rosesのティーセットだ。あのティータイムで洗脳されてしまったのだ。それ以外にも私がルースに洗脳された英国の産物がJames Herriotである。

ルースが私に打ち明けたのは「作家になる」という夢だった。James Herriotの本を私に手渡し「彼のような本を書きたい」と恥ずかしそうに告白してくれた。死んでしまった彼女の「賢く、品位があり、そして忠実」なボクサー犬を主人公にした回想録的小説を書くつもりで書き留めている手帳も見せてくれた。

James Herriot ( 本名James Wight。1995年死去)はヨークシャーに住む獣医で、当時英国人で彼の書いた回想録と小説のハイブリッドのシリーズを知らない者はいないようだった。けれども、そのころあまり英文の本を読まなかった私は、ルースの紹介がなければAll Creature Great and Smallには巡り合わなかったかもしれない。

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James Herriotの物語に出てくるのは、仕事の後にパブでビールを飲む程度の娯楽しかないヨークシャーの農村に住む人々と、彼らが育てる動物たちである。Jamesが獣医になったのは1940年代でもちろんテレビなんかない。聖書以外の本を読まず、戦争を別としてヨークシャーの片隅の小さな世界から一歩も足を踏み出さずに一生を終えてしまう人々のほうが多い場所に、Jamesは若いよそ者の獣医として住みつく。
よそ者に懐疑的なヨークシャー人やつっけんどんな農民を相手にする毎日は心身ともに疲れるものだっただろうが、Herriotはその体験をユーモアと愛情たっぷりに描いている。彼の職場のボスであるジークフリートはワガママで癖があるが愛さずにはいられない人物だし、彼の弟のトリスタンも人生の落伍者だが笑いを誘う。人物だけでなく、動物にも役者が揃っている。なんせヨークシャーの農村だから治療する相手に可愛いペットはほとんどいない。当然牛や羊のほうが多い。夜中に牛や羊の出産で起こされ、凍えるヨークシャーの牛小屋でシャツ一枚になって牛の胎児を引っ張りだす作業は読んでいるだけで骨まで凍える。けれどもたまには甘やかされたお金持ちのペットから豪華なプレゼントが届くこともある。フィッシュ・アンド・チップスしか食べないので太り過ぎの犬の逸話とか、人前でもつい笑い転げたり、ほろりと涙ぐむ逸話がいっぱい詰まっている。

とくに記憶に焼き付いているのは”The Card Over the Bed” という逸話だ。
動物好きの無一文の老女のベッドの頭上には手書きで「God is Near」というカードボードの標識が掲げられていた。額縁に入ったちゃんとしたものではない。ただのカードボードである。信心深い彼女が案じていたのは彼女が愛する犬たちと死後に再会できないということである。なぜかというと、教会や聖職者から「動物には魂がない」と彼女は聞かされてきたからだ。老犬が息をひきとった後、老女はJamesに彼女の犬や猫たちが彼女と一緒に天国に行くと思うかどうか、正直な意見を求める。
そのときにJamesは迷わずこう答える。

"If having a soul means being able to feel love and loyalty and gratitude, then animals are better off than a lot of humans. You’ve nothing to worry about there.(愛や忠誠心、感謝を感じることができるのが「魂がある」ということならば、動物には多くの人間よりも魂があります。心配することはありませんよ)"

そしてその翌週に老女は天国に旅立つ。

ルースのおかげでHerriotの大ファンになった私はシリーズを全部読み尽くし、夫をファンにし、その後娘もファンにした。そこで、今日はもっと多くの人に広めようと企んでいる。

古い本だからこそ新しいHerriotの本は、心が寒くなっている方には特におすすめしたい。

●読みやすさ ★★★☆☆

ヨークシャーの田舎の人々の会話は、慣れるまで読みづらいと思います。でもそれは作者のHerriotも感じたことです。All Creature Great and Smallの最初のエピソードにその様子が描かれています。でも、(たとえばAyeがYesの意味だとか)慣れるとだんだんわかってきます。
それ以外は、オールドファッションで簡潔な英語で、難解ではありません。最初読みにくく感じるのがノーマルだと思ってください。★★くらいに感じても、慣れればだんだん簡単に感じてきます。

●アダルト度 ☆☆☆☆☆

私は娘が幼稚園のときから笑える話を選んでベッドタイムに読んでいました。幼稚園からおすすめできる内容の本です。

孤島に1冊だけ本を持ってゆけるとしたら……スティーブン・キングのエッセイ−On Writing

Stephen King
マスマーケット版(320ページ)
2000年10月初版
回想録/エッセイ

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実を言いますと、私はホラーとバイオレンスが苦手なんです。
そういうのを観たり読んだりすると1週間くらい眠れません。
そんな私が若いころ観て「二度とホラーは観ない」と心に誓った映画が「キャリー」でした。墓場で手がニュッと出てくるあのシーン、今思い出しても「キャー」っと叫びたくなります。
「キャリー(Carrie)」は、スティーブン・キングが現在の地位を確立するきっかけになった作品でもあります。基本的にホラーを読まない主義の私ですが、キングの作品は(そのたび後悔しつつ)けっこう読んでいます。若かりし頃は理由を深く考えたことがなかったのですが、On Writingを読んだとき、頭の中の霧が晴れたように理解できました。私はキングのストーリーテラーとしての魔力に操られていたのです。

On Writingは題名のとおり「書く」ことに関するエッセイです。
といっても 邦訳版のタイトル「小説作法」から連想できるような「小説の書き方」を説くハウツー本ではありません。
キング自身が書いているように、ものを書くのは金持ちになるためでも有名になるためでもモテるためでもありません。それを読んだ人の人生を豊かにし、自分自身の人生を豊かにし、なによりも幸福になるための行為なんです。この本の大部分は、彼がそれを学んだ過程と、読者がそれをもっとうまく実現できる方法を解説するものです。
だから、このエッセイは、(キングを知りたい人への)回想録であり、(物書きになりたい人への)アドバイス本であり、そして(幸福を求める人への)哲学書でもあるのです。

「孤島に1冊だけ本を持ってゆけるとしたら…」という例の質問への私の回答は今のところOn Writingです。というのは、これほど面白くて生きていることに感謝したくなる本はめったにないからです。何度読んでも新鮮なうえに、読んだ後に「書きたい」というインスピレーションも与えてくれます。ゆえに掟破りですが、紙と鉛筆もできたら孤島に持って行かせてください。

キングのOn Writingは三つのセクションに別れていて、最初は1997年くらいまでの回想記、次が物書きを目指す者へのアドバイス、そして最後が1999年の交通事故後に書き加えた回想記です。

1. C.V. (履歴書)

夫に捨てられたシングマザーの母に育てられた極貧の子供時代からアルコールと薬物中毒から抜け出すまでの回想記です。
異常性格としか思えないベビーシッターにクロゼットに閉じ込められ、無謀な兄の理科の実験の片棒をかついで近所に停電をもたらし、森の中で排便したとき兄の指導に従ってツタウルシ(poison ivy)でお尻をふいて苦悶の日々を送り、恐怖映画の盗作小説を同級生に販売して教師から「こんなくだらないものを書いて才能の無駄遣いをするな」とこきおろされ、実在の教師をモデルにしたパロディを書いて厳格な教師から目の敵にされ、そしてせっかく大学を卒業したのに教職に就けずウジ虫がわく病院の汚染シーツを洗い続け、出版社からの大量の拒否の手紙にも負けず書き続けたキングがついにキャリーで成功を果たす回想記は、何度読んでも笑えるし、泣けます。
特に胸に響くのは母親と妻への真摯な感謝と愛情の表現です。これを読むたびに心がぽかぽかと暖かくなり、「周囲の人々に優しくして前向きに生きよう!」という気分にさせてくれます。

2. Tool Box (道具箱)

良い文章を書くためのアドバイスです。とはいえ、そこはキングのこと、普通のアドバイスではありません。悪文の例といい、動詞の受容態や形容動詞への鋭い批判といい、簡潔で無駄のない表現が良文と信じている私には、うなずくことしきり。賢く見せようとしているのか、学者さんにはキングが批判する悪文が実に多いのですよね。1センテンスが延々と半ページ続き、最終的に何が言いたいのか不明になってしまう文。それから、わざと誰も使わないような難解な単語ばかり好んで使う癖。他にもっと誰でも知っている適切な単語があるというのに…。そういうのを苦労して訳した経験があるので、次のような箇所には拍手喝采です。

The word is only a representation of the meaning: even at its best, writing almost always falls short of full meaning. Given that, why in God’s name would you want to make things worse by choosing a word which is only cousin to the one you really want to use?

3. On Living: A Postscript(生きることについて)

最後のセクションは、1999年の交通事故の後に書かれたものです。実はOn Writingの原稿は書きかけのまま1年半ほど放置されていて、キングはしばらく続ける気持ちになれなかったようなのです。けれども、体中ボロボロに壊れて死にかけたキングは、この作品を書き上げることで精神と肉体の復帰を果たしたのです。

●読みやすさ ★★★☆☆

文章の簡潔さとわかりやすさでは★4つですが、スラングと固有名詞が多く、アメリカのポップカルチャーや文芸にある程度通じていないと何を話しているのかピンとこないことが多いのではないかと思います。

でも、小説ではないので、一度に数ページずつでも楽しめる本です。

簡潔でわかりやすい文を賞賛するキングです。ゆっくりと噛み締めて読めば、決して難しい本ではありません。

邦訳も出ていますが、読者評価を読むと訳がKing自身の飾り気のない語り口とはかけはなれているようです。彼の語り口が魅力の本ですし、良文と悪文の例
などは翻訳では意味が通じません。ですから、ぜひ英語で読んでいただきたいと思います(英語に自信のない方は日本語を読んで意味を理解してからでもいいで
すから)。

●最後にふたたびOn Writingの応援演説

未来に希望を感じない若者や人生に疲れている方は、啓蒙本なんか読まないで、ぜひキングのOn Writingを読んでいただきたいと思います。
書くことに対する幼いときからのキングの情熱を読んでいると、他者が決めた成功の定義を追い求めることのむなしさを感じます。キャリーで成功しなかったとしても、きっとキングなりの幸福をみつけただろうと信じさせてくれる本です。
私は最近久々に手にとったのですが、「夫や娘に優しくして、自分の信じることを続けて、何よりも楽しく生きよう!」といったポジティブな気分が蘇りました。

余談ですが、私は彼が前書きに書いているThe Rock Bottom Remainders の再結成コンサートを、2002年のBEAで観ました。もちろん私のことですからステージの真ん前を確保。事故後初めて演奏するKingの他に、メンバーはDave Barry, Mitch Albom, Roy Blount Jr., Kathi Goldmark, Greg Iles, Barbara Kingsolver, James McBride, Ridley Pearson, Amy Tan, Scott Turowという顔ぶれでした。健康そうなKingのほかにScott Turowのカラフルなカツラ、Amy Tanのミニスカートにフィッシュネットというのが特に印象的でした。音楽のレベルは(別の意味で)「す、す、すごい…」というものでしたが、本人たちはめちゃくちゃ楽しそう。平均年齢が私より上の観客層もそれにつられて踊りまくっていました。

米国でもっともスマートな雑誌-The New Yorker

Cover_newyorker_190_2 インテリでスタイリッシュであることを自覚し、誇りにしている(ここが大切)しているアメリカ人が読むのがThe New Yorker。ニューヨーク周辺に住む人だけでなく、全国に読者は分布しています。

また、この雑誌が取り扱う本は、ニューヨークタイムズ紙ベストセラーと異なり、人前で見せびらかせること間違いなしのインテリジェントでスタイリッシュな文芸小説やアート本。ここ出身のベストセラー作家は数え切れないほどです。

このThe New Yorkerの最新版Digital Editionを、日本にいながら無料で読む試し読みの機会があります。申し込みから4週間、毎週月曜にemailで最新号がやってきます。

雑誌は文法が簡単でひとつの記事が短く、けれども語彙が多いので、沢山読むとどんどんボキャブラリが増えます。オンラインで読みにくいのであれば印刷することもできますし、とっても嬉しいサンプルです。ぜひこの機会に、The New Yorker Free Digital Previewを試してみてください。(私は不思議なことに、4 issuesだけでなくずっと受け取ってますが、文句は言ってませんconfident