Category: ゴシックロマンス

Silent in the Graveのロマンスに決着がつく第3巻-Silence on the Moore

Deanna Raybourn2009年3月歴史ミステリー/ロマンス(でもハーレークイン式のロマンスではありません) http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0778326144&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0778326144&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 BrisbaneはヨークシャーGrimsgraveにある旧家の館を買い取り、改装を助けるというJuliaの姉Portiaの申し出を受け入れるがJuliaは連れてくるなと強調する。その後、Portiaの訪問すら断るBrisbaneの手紙が届き、彼の精神状態を案じたJuliaたちはヨークシャーに向かう。

Silent in the Graveの続編- Silent in the Sanctuary

Deanna Raybourn2008年1月歴史ミステリー/ゴシックロマンス(ハーレクイン的ロマンスではありません) 暗いミステリーにユーモアが加わった第2巻 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0778326039&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0778326039&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 「Silent in the Grave」で健康をそこねたJuliaはイタリアの兄二人のもとで養生をしていたが、マーチ家の主である父からクリスマスに英国に呼び戻される。Juliaの父の屋敷は昔の修道院で修道僧の幽霊が出るという噂がある。家族だけのはずのパーティなのに、着いてみると年老いた叔母、貧乏な従妹とその婚約者など多くの人が招かれて滞在していた。そのうえ、探偵のNicholas Brisbaneが婚約者同伴で招かれていたことにJuliaは衝撃を受ける。プライドの高いJuliaは嫉妬心を決して見せないように振舞う。 宝石の盗難、幽霊の出没、加えて殺人が起こり、陰で何かを企む父はJuliaとBrisbaneに真相究明を依頼する。BrisbaneはしぶしぶJuliaとチームを組むが、情報をすべてJuliaには明け渡さない。前作では周囲の者から気の弱い無垢な女性として扱われBrisbaneに一方的に振り回されていたJuliaだが、本作では自信がある(しかも頑固でプライドの高い)自立した女性として行動し始める。ジプシーの血のせいかすぐにカッときて機嫌が悪くなるBrisbaneに対し、どんな場面でも上流階級の女性らしい上品でニュアンスに満ちた、(従ってその場の緊急性にそぐわない)落ち着き払った返答をするJuliaがミステリーにユーモアを加えている。アマチュアのJuliaがかかわるべきものではないというマッチョな態度を変えないBrisbaneに泡を食わせ、貴族女性としてのルールをどんどん破るJuliaは、第1巻よりもずっと魅力的である。 ●ここが魅力!謎解きだけでなく、英国ビクトリア時代の貴族の生活を楽しめます。登場人物が脇役もカラフルに描かれていて、それもこの作者の魅力です。ことに、ジプシーとスコットランド貴族の間に生まれた私立探偵Nicholas Brisbaneの不機嫌なヒーローぶりと未亡人になってから生き生きとしはじめたJuliaとのやりとりがゴシックの雰囲気たっぷりのミステリーにユーモアある良い味を加えています。今回は少々ロマンスの雰囲気が高まります(でもロマンスブックではありませんからご了承を)。 ●読みやすさ ★★★☆☆★★と★★★の中間です。現代に書かれたものでミステリーなのでさほど難しくはありませんが、特に会話の部分などが当時の雰囲気を保つために読みにくくなっています。当時流行った言い回しと単語が出てきますので、ピンと来ないかもしれませんが、学校でクラシックから入った方にはかえってわかりやすいかもしれません。いったん読み始めると、どんどん引き込まれて読みにくさは減ることでしょう。 ●アダルト度…

ダークでロマンチックな歴史ミステリー-Silent in the Grave

Deanna Raybourn2007年12月初刊ミステリー/歴史スリラー/ゴシック・ロマンス アガサ・クリスティ賞受賞作品 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0778325245&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0778325245&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ヴィクトリア時代の英国貴族社会が舞台。Juliaの夫Sir Edward Grayが謎の死を遂げ、夫が生前に調査を依頼した私立探偵のNicholas Brisbaneが現れて誰かが夫を脅迫していたことを伝える。 BrisbaneはJuliaに疑いを抱いているのか、出会ったときから敵意のこもった態度を取る(第3巻でこの理由が判明する)。これまで妻として、娘として、おとなしく言いなりになってきたJuliaは過去の自分と決別し、自分の意見を持ちはじめる。 Brisbaneのかたくなな反対を無視してみずから謎解きに加わり、男娼専門の売春宿、よそ者には危険なジプシーのキャンプ、など上流階級の女性にはご法度のヴィクトリア時代の暗いロンドンを徘徊するうちに、幼なじみとしてすべてを知っているつもりだった夫の真の姿が明らかになってくる。 変わり者が集まったJuliaの家族、忠実な執事、癖のあるメイド、ジプシー集団、など登場人物がカラフルに描かれ、それだけでも十分楽しめる読み応えある歴史ミステリーシリーズの第一巻。   ●ここが魅力! 他の歴史ミステリーより登場人物のキャラクターに魅力があります。…

私が恋したラブストーリー-In the Country of the Young

著者:Lisa Carey出版日:2000年10月純文学/パラノーマル/ゴシックロマンス 孤独なアーティストと少女の幽霊の切なく美しいラブストーリー http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0060937742&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060937742&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 今日は私の誕生日なので、とっておきの私のお気に入りをご紹介します。 舞台はメイン州の沖に浮かぶ小島。ボストン生まれの中年のアーティストOisin MacDaraは、愛する双子の妹Nieveが15歳のときに自殺して以来、誰とも心を通わせずに孤独に暮らしてきた。アイルランド系のOisinは生まれつき霊を見ることができるsecond sightを持っていたのだが、Nieveが死んでからはその能力を失っていた。けれどもOisinは、いつかNieveの霊が戻ることを信じて待っていた。霊が蘇るというSpirit NightにOisinのもとを訪れたのはNieveの霊ではなく、150年前に船の難破で死んだ7歳の少女Aislingだった。Aislingの霊も、そのときに見失った兄を求めていたのだ。生きたくて生きることのできなかったAislingは人間の少女として蘇るが、まるで生き急ぐかのように急速に成長してゆく。とまどいながらもAislingの世話をし始めたOisinは、初めて妹以外の人間に対する愛情を知るようになる。アイルランドの迷信と伝説が織り込まれた、切なく、美しいラブストーリー。悲恋でも救いがある結末が長く心に残る。 この本に出会ったのは、ボストンで行われたブックフェアでのことでした。Uncorrected Proofにサインしてもらうときに初めて会った作者のCareyは、彼女の作品によく登場する少女たちのように感受性が強くて繊細な感じの若い女性でした。評論家から高い評価を受け、出版社もキャンペーンに力を入れ、読者の評価が高かったにもかかわらず、なぜか商業的にはさほど成功を収めなかった作品です。邦訳されていれば絶対に好きになる人がいたと私は思うのですが。 ●ここが魅力!ともかく、文章が素敵です。匂いや色、肌の暖かさ、それだけでなく空気に含まれた水の粒子まで見えるような、すばらしい表現力と微妙な心理表現に、読み終えるのがもったいなくなります。たとえいつかは死ぬとしても、生まれてきて、いろいろな人と出会い、そしていろいろな愛を体験することのすばらしさに気づかせてくれる、そんな美しいラブストーリーです。 ●読みやすさ ★★☆☆☆非常に詩的な美しい文章ですが、ストーリーを追うのは難しいかと思います。ただし、この本は一行ずつ味わいながら読むべき本ですから、そのつもりで読めば楽しめると思います。いったん慣れると、読み終えるのがもったいなくて、わざとスローダウンしたくなるでしょう。 ●アダルト度 ★★★☆☆セックスシーンはありますが、ヤングアダルト程度の表現です。自殺も扱っていますし、中・高校生以上向けでしょう。…

Jane Eyre

作者:Charlotte Brontë 1847年刊 ジャンル:英国文学/クラシック/ロマンス/ゴシックロマンス http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141441143&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 孤児のJaneは叔母や従兄から虐待され、10歳で慈善施設の学校Lowoodに送り込まれる。Lowoodで慢性的な餓えと学校の管理者による不条理な抑圧に耐える8年を過ごしたJaneは、外の世界を夢見て家庭教師の個人広告を新聞に載せる。 Janeが見つけたのは、Thornfield屋敷の主Mr. Rochesterが元愛人のフランス人オペラ歌手から引き取った少女の家庭教師の職だった。Mr. RochesterはJaneの2倍ほど年上で容貌は醜く毒舌だ。しかもときおり暗い気分になり他人を寄せ付けない。けれども、JaneとRochesterは互いだけが理解し合える知性や真摯さに惹かれる。 友情が恋愛感情に変わる兆しが見えたとき、心をかき乱す出来事が次々と起こる。夜中に不気味な笑い声が響き、誰かが眠るRochesterのベッドに火をつける。そしてJaneに秘密を打ち明けないRochesterは他の女性と結婚することをほのめかす。 ●読みやすさ ★★☆☆☆ まず、クラシックは現代の小説に比べて読みにくい、ということをご承知ください。 けれども、これはクラシックな文芸作品のなかでは、もっとも読みやすい小説のひとつです。第一人称であることと、物語があちこちに飛ばないことが読みやすさに繋がっています。 “presentiment”, “effervesce”といった18世紀、19世紀特有の表現にときどき出くわすのとフランス語やドイツ語の会話が英語で説明されていないことに戸惑うかもしれませんが、だいたいの意味が想像できれば飛ばしても大丈夫です。…