殺人事件と『華麗なるギャツビー』…華麗で危ういジャズエイジを描いたノンフィクション『Careless People』

著者:Sarah Churchwell

ハードカバー: 432ページ

出版社: Penguin Press HC

ISBN-10: 1594204748

発売日: 2014/1/23

適正年齢:PG15(高校生以上)

難易度:上級レベル(難しい単語や表現はあるが、ストレートな英語なので日本人には読みやすいだろう)

ジャンル:ノンフィクション/伝記

キーワード:F.スコット・フィッツジェラルド、ゼルダ、ジャズエイジ、殺人事件、時代考察、『偉大なるギャツビー』

 

F.スコット・フィッツジェラルドや『グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)』に関する本は数え切れないほどある。だから、もう必要ないと思っている人もいるだろうが、来年1月発売のこの新刊は、これまで彼らのことを良く知らなかった人や、学術的な分析には興味がない人など、これまで以上に広い読者層を魅了しそうだ。

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日系人強制収容の歴史を次世代に教える児童書 Best Friends Forever

著者:Beverly
Patt

ハードカバー 92ページ

出版社:Amazon
Children's Publishing

出版日:2010年4月


サブジャンル:歴史小説/日系人強制収容所/スクラップブック/友情/心温まる本

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1941年12月の真珠湾攻撃に引き続く開戦で、アメリカでの反日感情は高まっていた。日系人の忠誠心は母国の日本にあると信じる者は多く、1942年、ついに西海岸に住む日系アメリカ人はワシントン州の強制収容所に送り込まれる。

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子どもに原爆の歴史を伝える書 Bomb

著者:Steve Sheinkin

ペーパーバック 272ページ

出版社:Flash Point

出版日:2012年9月

ジャンル:児童書(小学校高学年から中学生)/ノンフィクション/歴史/戦争

2012年 全米図書賞最終候補、2012年ワシントンポスト紙 最優秀児童書、2013年ニューベリー賞オナー賞受賞作

 

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第二次世界大戦が遠い記憶になってしまっているアメリカでは、若者も子どもも「原爆」についてほとんど知らない。

以前ご紹介した「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの話を伝える本は、多くの小学校で紹介されているようだが、第二次世界大戦や原爆の歴史について学校で学ぶ機会はほとんどないのだ。

本書はアメリカの小学校高学年から中学生を対象に「原爆」に関する歴史を教えるノンフィクションである。第二次世界大戦中のドイツ、ソ連、日本、アメリカの国際関係、戦争に至った経過、原爆開発競争、原爆を開発した科学者と落としたパイロットの後悔、トルーマン大統領の政治的な計算、原爆の秘密を盗もうとするソ連の策略など包括的に描いている。

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Lost in Shangri-La(本棚発掘シリーズ)

著者:Mitchell
Zuckoff

ペーパーバック 432ページ

出版社:Harper
Perennial

出版日:2011年5月

ジャンル:ノンフィクション/歴史/ルポ/文化人類学/第二次世界大戦

 

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第二次世界大戦が終戦を迎えようとしていた1945年、ニューギニアのHollandiaに駐在していた軍人たちは手持ち無沙汰になっていた。退屈していた若い軍人たちは、パイロットが無人と思われていたジャングルの中に偶然発見した楽園のようなBaliem Valleyを上空から見物する遠足を計画する。しかし、婦人陸軍部隊に属する9人の女性を含むアメリカ陸軍のメンバー24人が乗った飛行機は墜落し、生き残った3人は人食い部族がいることで知られるジャングルのまっただなかに取り残される。

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Guns, Germs, and Steel(本棚発掘シリーズ)

著者:Jared Diamond

ペーパーバック(480ページ)

出版社:Norton & Company

発売日:1997年

ノンフィクション/歴史

ピューリッツアー賞受賞作(1998年)

本棚発掘シリーズ


旅が好きで、これまで50カ国近い異国を訪問している私は、それぞれの国の風習、考え方、生き方にとても興味があります。「なぜ、こうなったのだろう?」と考えるのも好きです。

そのうちに自然に気づくのは、アメリカ、オーストラリア、アフリカでヨーロッパ人が先住民を征服して文明を壊滅させてきたのに、その逆のケースがないということです。これについては、いろいろな説がこれまでにもありましたが、いずれにも問題があります。皆が納得できるような説はないのですが、ヨーロッパ人のほうが人種として優れているという偏見に満ちた説は未だに優勢です。

それを覆すほど説得力ある「地理的な要因」を説明したのが1997年に刊行された本書です。

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アウシュヴィッツ強制収容所の三冊の回想録

先日、ポーランドでの仕事の後、アウシュヴィッツ強制収容所を訪問してきました。
そこで、私が読んだ三冊の本をご紹介しようと思います。

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アメリカの禁酒法がコンパクトに分かるティーン向けの歴史書 Bootleg

Karen Blumenthal
ハードカバー: 154ページ
出版社: Flash Point
対象: ヤングアダルト
ISBN-10: 159643449X
ISBN-13: 978-1596434493
発売日: 2011/5/24
ヤングアダルト(中学生から高校生対象)/歴史書/禁酒法
2012年Battle of the Kids' Books候補作

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1919年から33年まで存在したアメリカ合衆国の禁酒法は、日本人にとっては非常に不可解な法律である。
銃のように一瞬にして大量の人間を殺せる武器は建国以来一度として禁じられていないのに、お酒を作ることも売ることも禁じられていた時代があったのだ。今でも21才まで飲酒が禁じられているが、従軍できる年齢になってもまだ飲酒が合法ではないとは不思議すぎる。

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短時間でアメリア・イヤハートを知ることができる伝記―Amelia Lost

ハードカバー: 128ページ
出版社: Schwartz & Wade
ISBN-10: 0375841989
ISBN-13: 978-0375841989
発売日: 2011/2/8
小学校高学年から中学生/伝記

1927年のリンドバーグの快挙に続き、28年に女性初の大西洋横断飛行を成し遂げたAmelia Earhart(アメリア・イヤハート、発音はエアハートに近い)のことをまったく知らない人はいないだろう。
少し詳しい人であれば、世界一周飛行の途中の太平洋上で消息を絶ったということは知っているだろうが、どんな女性だったのか知っている人はあまりいないだろう。

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信心深い妻エマへの愛と科学との間で悩んだダーウィンの人間らしさ Charles and Emma

Deborah Heiligman
272ページ
Henry Holt Book
2008/12/23
歴史ノンフィクション/伝記/中学生から高校生向け/ヤングアダルト

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チャールズ・ダーウィンが生まれたのは1809年、そして彼が種の起原(On the Origin of Species)を出版したのは1859年11月でした。昨年2009年はダーウィンの誕生200年と種の起原出版150周年を記念した多くの展示や出版が相次ぎました。

Charles and Emmaもそういった本の一つですが、妻のエマとの関係を通じてチャールズ・ダーウィンの人となりを描いているところが精彩を放っています。副題に「Darwin’s Leap of Faith」とあるように、進化論とキリスト教との間で彼が体験した葛藤も本書の重要なテーマです。

チャールズは科学者の典型で何事にも論理的なアプローチする癖があったようです。結婚もその例外ではなく、チャールズは後世有名になった結婚リスト(下記の写真)を作っています。紙の左上にMarry、右上にNot
Marryと書いてありますよね。それぞれの下にあるのが結婚のメリットとデメリットを箇条書きにしたものです。

DarwinArchive_CUL-DAR210.8.2_001

Not Marryの例のひとつは”Freedom to go where one liked”です。結婚すると「ビーグル号」での航海のような冒険ができなくなることを悩んでいるのですね。これは現代の男性にも通じるリストですが、決して尊大さの現れではなく、彼の論理的思考を象徴している微笑ましいエピソードです。

チャールズとエマは 仲が良い従兄妹同士でしたが、チャールズは論理的(かつ突拍子もない)思考によりエマと結婚するのが最も良いことだという結論に達するまで彼女と結婚することなんか考えていませんでした。決めたとなると、論理的な行動はプロポーズです。ところが、プロポーズした側と受けた側の反応が傑作です。私がつい吹き出した部分ですから、ぜひ実際に読んでいただきたいと思います。大真面目に結婚のメリット・デメリットリストを作ったくせに、婚約してからエマにメロメロに恋し、結婚後は当時の男性としては非常に珍しい愛妻家で子煩悩なお父さんになってしまったというのは、偉大な科学者の意外な実像です。

この本はチャールズとエマの特別な関係に焦点をあてています。ウエッジウッド創業者の孫である2人は非常にリベラルで知的な家庭(Wedgwood家は奴隷制度に反対だった)で育ち、エマは女性としては当時稀な読書家でした。彼女には自分の教育を活かして何かを成し遂げたい、という野心はありませんでしたが、チャールズはエマの才能を尊敬し、出版前に必ず自分の書物に対する意見を求めています。時代の先を行く頭脳を持った科学者が妻の意見を重視したことからもエマの知性がうかがわれます。それだけでなく、「種の起原」の出版に関するチャールズの葛藤にはエマの信仰心が大きな部分を占めています。信仰を重視しない論理的な父に育てられたチャールズはキリスト教の教えに対して疑問を抱いてきましたが、愛する妻のエマは敬虔なクリスチャンです。エマは、キリスト教を信じないチャールズが死後自分とは別の場所(無神論者は地獄に行くという教えだった)に行ってしまい二度と会えなくなることを悩み、何度もチャールズを説得しようとします。チャールズはそんな妻を厭わしく思うどころか、エマの信仰心に反するような「種の起原」を彼女の視点で何度も見直しています。この2人の関係は、男性から見ても女性から見ても羨ましく思えること間違いなしです。

児童書とはいえ中学生から高校生が対象のしっかりしたノンフィクションなので、日本人の大人が読むのにはぴったりの作品です。

National Book Award 最終候補作

Printz賞受賞作

YALSA-ALA賞 ヤングアダルトノンフィクション部門 受賞作

●読みやすさ ★★★☆☆

通常米国の伝記作品はやたら長くて、忍耐力が要ります。けれども(一応)児童書の本作品は、大人が楽しめる読み応えある内容ですが、ページ数が少なくて容易に読み切ることができます。それゆえ、日本人の大人におすすめの伝記です。

●アダルト度 ★☆☆☆☆

ちょっとしたラブシーンらしきものとそれをチャールズが分析してるところがありますが、小学校高学年から読んでも大丈夫でしょう。

●科学ドキュメンタリー番組NOVAによる史実に基づいたダーウィンとエマの物語

ピクチャ 8

無料ビデオ Darwin’s Darkest Hour(地域により観られないかもしれませんが、米国内であれば全編無料で観ることができます)
ダーウィンに関するNOVAのサイト:ダーウィンと進化論に関するいろいろな参考資料も読むことができます。

白鯨のモデルになった実際の悲劇Essexの真相-In the Heart of the Sea: The Tragedy of the Whaleship Essex

Nathaniel Philbrick
2001年8月初版
320ページ
Penguin USA
ノンフィクション/歴史

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アメリカ大陸で最も東にあるナンタケット島は、一時期、捕鯨の中心地として世界で最も裕福な島だった。しかし、過剰捕獲と鯨油の需要の減少で捕鯨ビジネスは凋落の兆しをみせるようになっていた。そのような時代背景の1820年、捕鯨船Essexは太平洋の真ん中で巨大な鯨に襲われて沈没する。
物語の中心はそれからである。生き残った20人の船員は3台の簡単な作りの船に乗り込んで、それぞれチリを目指して航海する。しかし、93日後無事に救助されたのはたった8人だった。Essex沈没からの93日間に起こったのは、飢え、脱水、死、そして全員の飢え死にを避けるために犠牲者を選ぶ、という想像を絶する恐ろしい体験だった。
メルヴィルのMoby Dick(白鯨)のモデルになった悲劇だが、白鯨よりも読みやすく、印象深い本である。

●ここが魅力!
17年前からナンタケット島に家を所有しており、いつかそこを舞台にした小説を書きたいと思っていたので、9年前にナンタケット在住の歴史作家Nathaniel Philbrickが悲劇の捕鯨船Essexのノンフィクションを書いたとき即座に入手しました。ちょうど島では展示会もしていて、地図、船と船員の写真なども見ることができ、さらに現実感を覚えてぞっとしたことを覚えています。
そのような視覚的な援助がなくても、読み始めると「いったい何が起こったのか?」という興味で次々とページをめくりたくなります。特に、船員たちが人肉を食べるに至った経過はノンフィクションとは思えないくらいで、後々までその場面が心に焼きつきます。自分も追い詰められたからこんなことをするのか?と自問せざるを得ない話です。
またアメリカでも特殊なナンタケット島の歴史を知ることができ、歴史書としても優れています。

●読みやすさ ★★☆☆☆
シンプルな文ですが、地名や固有名詞、なじみのないナンタケット島の歴史、捕鯨の歴史などをまず読み取らなくてはならないので、最初のうちは特に入り込みにくいでしょう。また、速読すると意味がわからなくなります。注意を払わなくてはならないので読むのには小説よりも時間がかかるでしょう。けれども、小説の白鯨よりもずっと読みやすい本です。また、メルヴィルはナンタケット島のことを書いていますが、島を一度も訪問したことがないのですよ。ですから、捕鯨の歴史に興味がある方はこちらをおすすめします。