ゴーストストーリーが混じったノスタルジックなキングのミステリ『Joyland』

著者:Stephen King

ペーパーバック: 288ページ

出版社: Hard Case Crime

ISBN-10: 1781162646

発売日: 2013/6/4

適正年齢:PG15(高校生以上)、描写は露骨ではないが性的コンテンツあり

難易度:上級レベル(英語ネイティブの普通レベル)

ジャンル:ミステリ/ホラー

キーワード:青春物語、ロマンス、涙ぐむ、スリルがある、ノスタルジック

 


 

初老の男Devin Jonesは、ノースカロライナで過ごした21歳の夏を振り返る。ニューハンプシャー大学の学生だったDevには相思相愛のガールフレンドがいたが、彼女の提案で大学の夏休みを別々の場所で過ごすことになる。ノースカロライナにある遊園地(カーニバル)の「Joyland」で職を得たDevは、面接した占い師からガールフレンドが彼の過去の存在であり、未来に2人の子どもに会うと告げられる。ひとりは赤い帽子をかぶった少女で、もうひとりは犬を連れた少年だという。そして、ひとりは救えるが、もうひとりは救うことができないと。

(さらに…)

失った記憶に隠された子ども時代の出来事 The Ocean at the End of the Lane

著者:Neil Gaiman

ハードカバー: 192 ページ

出版社:William Morrow

発売日:June 18, 2013

難易度:上級レベル(ネイティブ英語スピーカーの普通レベル)

適正年齢:PG15(高校生以上)
ジャンル:ファンタジー(超常現象)/ホラー/成長物語
(今回から、『洋書ベスト500』の体裁にあわせた表示に変えます)

http://rcm-na.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS1=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=0062255657
http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS1=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=0062255657

葬式で故郷に戻った中年の主人公は、解体されてしまった子ども時代の家の近くで、ある農家に引寄せられる。

道の行き止まりにある池の隣りにあるその家には不思議な家族が住んでいて、彼が子どもの頃に遊びに行ったものだった。懐かしさにその家を尋ねた彼は、40年前、自分が7歳の少年だったときに起こったことを突然思い出す。

誰でも、親や兄弟から「こんなことがあったよね」と言われて、「そんなことがあったのか!」と驚いた経験があるだろう。そして、「そんなに大事なことを、なぜ忘れていたのだろう?」と訝しく思う。著者のゲイマンにもそんな体験があり、そこから生まれたのが本書である。

(さらに…)

女子高生が出会った幽霊は何者なのか? Anya’s Ghost

Vera Brosgol
ペーパーバック: 221ページ
出版社: First Second
ISBN-10: 1596435526
ISBN-13: 978-1596435520
発売日: 2011/6/7
ヤングアダルト/グラフィックノベル(アメリカ式の漫画)/青春小説
2012年Battle of the Kids’ Books 候補作

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=1596435526 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=1596435526

幼いときにロシアからアメリカに移民したAnyaは、お金持ちの白人が多い私立高校にとけこめずにいる。母親の友だちの息子が同級生にいるけれど、英語がちゃんと話せず苛められているその子と仲良くすると、自分までが苛められるから無視している。
学校生活に不満がいっぱいのAnyaは、うっかり落ちた井戸で少女の幽霊に会う。

(さらに…)

わかる人にはわかるエンディングが絶妙のゴシックミステリー—The Little Stranger

Sarah Waters
480 ページ(ハードカバー)
Riverhead Hardcover; First Edition edition
2009年4月30日発売
ゴシックミステリー/ホラー(やや)/文芸小説/2009年ブッカー賞候補作

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1594488800
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1594488800

二度の世界大戦を経て英国の階級社会は崩壊し、社会民主主義国家に急変しつつあった。


独身の中年医師Faradayは、10歳のときにメイドの母に連れられて大地主Ayres家の屋敷Hundreds Hallを訪れたことがある。それから30年後、住み込みのメイドを診るために屋敷に往診したFaradayは、家庭医として家族を訪問するようになる。

過去には豪華な建築物だったHundreds Hallは激しく老朽化していた。それだけでなく、メイドのBettyが最初の往診で訴えたように、まるで邪悪な存在が家を破壊しようとしているようなのだ。未亡人のAyres夫人、娘のCaroline、息子のRoderickたちはFaradayに頼るようになるが、彼は医師らしく幽霊説を頭から否定して解決策を提供する。だが、幽霊に怯えるAyres一家の異常な言動をストレスによる精神的な病と診断するFaraday自身も、しだいにHundreds Hallの邪悪な気配を感じるようになる。

Hundreds Hallに取り憑き住人たちを襲うThe Little Strangerとは、姉弟が生まれる前に死んだ長女の幽霊なのか、それとも家そのものの霊なのか、またはまったく 異なる存在なのか……。

The Little Strangerの正体が途中から見えてくる人には最後まで読まなくてもわかるし、見えない人には最後まで読んでもわからない。そんなエンディングがかえって粋なゴシックミステリーだ。

●ここが魅力!

今年のThe Man Booker Prizeの候補作の中では、Hilary MantelのWolf Hall
とSarah WatersのThe Little Strangerの2作が本命視されています。オンラインカジノではWolf Hallが本命ですが、 ダントツ売れているのはThe Little Strangerです。
Wolf Hallをまだ読んでいないので比較はできませんが、The Little Strangerはなかなかの読み応えでした。

英国の古いお屋敷で超常現象が次々と起こるという筋書きは使い古された感があります。けれどもSarah Watersは、まるで古い時代に書かれた作品のように押さえた筆使いで朽ちてゆく屋敷の雰囲気と社会の急速な変化に戸惑う人々の葛藤を巧みに描いており、古くて新しい微妙な世界を作り上げています。邪悪な存在であるThe Little Strangerのやり口が変貌してくるにつれて怖さもじわじわと増してきます。

超常現象を扱ったゴシックロマンですが、チープなゴシックロマンと異なるのは、魅力的な登場人物や胸躍るロマンスの故意ともいえる不在です。孤独で実直な医師Faradayの、憐憫、嫌悪、欺瞞、羨望を覆い隠した語り口は巧妙で、人間の深層心理を描いた心理ミステリー/文芸小説としても楽しめます。

エンディングについてここではばらせないbleahので、ディスカッションしたいかたは、ぜひメールをくださいね。

●読みやすさ ★★☆☆☆

オールドファッションな雰囲気の本ですが、文章は古めかしくなく、さほど難しい単語や言い回しは使っていません。そういう意味ではスラングが多い現代の本よりも読みやすいでしょう。

ただし、プロットを追う類いのではなく、心理的なサスペンスや雰囲気を楽しむ本です。これまでにある程度の本を読みこなしていないと、この本の良さを感じるのは難しいでしょうし、エンディングが理解できないと思います。ネイティブの読者でも読みのがす人がけっこういるようですから。そういう意味で★2つです。

●アダルト度 ★☆☆☆☆

ラブシーン的な箇所は1カ所のみでそれも非常にマイルドなシチュエーションです。

●「英国の古いお屋敷に潜む謎」に弱い方へのおすすめ作品

The Thirteenth tales

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0743298039
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0743298039

The Forgotten Garden

The House at Riverton

墓場を舞台にした少年の成長と自分探しのファンタジーーThe Graveyard Book

Neil Gaiman
320ページ
HarperCollins
2008年9月30日発売
児童書(9−12歳対象)/SF/ファンタジー

2009年Newbery Medal(ニューベリー賞)、Hugo Award(ヒューゴ賞)受賞作。
2009年 World Fantasy Award (世界幻想文学大賞)候補作
(発表は未だ)

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0060530928
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0060530928

墓場の近くにある家で夜中に一家がJackという男に惨殺される。だが、よちよち歩きの赤ん坊だけが墓場に迷い込んで難を逃れる。
その墓場に住んでいる死者(The DeadであってGhostではない)のミセスOwenは赤ん坊に惚れ込んで自分が育てると言い張る。墓場の住人の多くは最初のうち死者が生きている赤ん坊を育てることに反対するが、死者でも生者でもない謎の存在のSilasが後見人になるということで合意し、その男の子をNobody Owenと名付けて育てる。

墓場の住人たちはBod(Nobodyのニックネーム)に 墓場の外の世界は危険だから一歩も出ないように 命じる。彼らは自分たちにできる限りの教育(アルファベットだけでなく、闇にとけ込んで見えなくなる術とか、他人の夢の中に現れる術とか)をBodに与えるが、成長するにつれ少年は墓場の外の世界や友達、冒険を求めるようになる。そのためにいろいろなトラブルに巻き込まれるが、そうやってBodも彼を愛する墓場の住人たちも(生きている)少年が成長することの意味を学んでゆく。

幼いBodは墓場でScarletという少女と出会い友情を育むが彼女の両親の引っ越しで別れ別れになる。約10年後に戻ってきたScarletと再会したことが、Bodの両親の殺害の真相を知り、それを企てた者たちとの戦いのきっかけになる。

●ここが魅力!

この世に属さない者たちや暗い地下の世界が通常の世界と隣り合わせに存在し、ホラーとユーモアが共存するところがNeil Gaimanの特長です。死者が生きている赤ん坊を育てるThe Graveyard Bookも、実にGaimanらしい物語といえます。
Bodを守るSilasやBodが友情を求めるScarletなどのユニークな登場人物たちもGaimanらしく、そういう意味では予想を裏切るような意外性はないものの、少年の成長物語として楽しめ、ビタースイートなエンディングにも好感が持てます。

●読みやすさ ★★★★☆
何百年も前に生きていた死者たちの会話が古い言い回しだったり、教養がないため文法がわざと間違っていたりします。いちいちそれらに気をとられないようにすれば、あとは文法もボキャブラリーも簡単です。
またGaiman独自、というかイギリスの児童作家に特有の文章のリズムにも慣れる必要があるかもしれません。
最初の章を乗り越えれば、後はスムーズになるでしょう。

●アダルト度 ★★☆☆☆
家族が殺されることや腐った死体を食べるGhoul(最初に食べた死体にちなんでニックネームがつけられている)、地下に潜む不気味な存在、など幼い子には悪夢を与える可能性があります。悪夢を見るタイプの子には要注意です。
ラブシーンなどはなし。

●おすすめのNeil Gaimanの作品

1. Stardust

映画とはちょっと異なる内容です。YA向けですが童話的なクエストもの。でも突然Hotなラブシーンが現れてびっくり。子供に読んであげるときはそこだけ飛ばすとよいでしょう。

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0061689246
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0061689246

2.Coraline

映画化もされた児童書(9−12歳)。

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0061649694
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0061649694

3. Neverwhere

大人向けのファンタジー。The Graveyard Bookにちょっと似たところがありますが、もっと詳細が多く、彼の代表作のひとつです。

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0060557818
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0060557818

オースティンのゾンビ版-Pride and Prejudice and Zombies

Jane Austen と Seth Grahame-Smith

2009年4月4日

パロディ/ゾンビ/クラシック

発売前からAmazon.comで売り切れ状態のゴアで爆笑のパロディ

Quirkというインディ出版社からの小品がこれほど売れているのは、まさにインターネットの「クチコミ」パワーです。私が存在を知ったのも、The Name of the Windの作者Patrick Rothfussの2月のブログでした。発売前からAmazon.comでは売切れていて、仕方がないので(Amazon.comの2倍の値段なのだけれど)Barns & Nobleに出かけることにしました。

次は私とB & Nの中年女性店員(声にふてぶてしさが滲み出ているから)との電話での会話です。

私「行く前に在庫があることを確認したいのですが、Pride and Prejudice and Zombies あります?」
B & N「Pride and Prejudiceなら…(あるに決まっているでしょうが、という態度)」
私「(それをさえぎって)じゃなくて、Pride and Prejudice and Zombiesです」
B & N「Pride and Prejudice, and…. What?」
私「(ちょっと恥じ入りながら小声で)Zombies
B & N「(耳が遠い老人に話しかけるように大声で)What?
私「(耳が遠い老人に答えるように大声で)Zombies!
B & N「ZebraのZで始まり、O, M, B, I, E, Sと綴るZombies?」
私「(開き直り落ち着き払った態度で)そう、そのZombies」
B & N(しばし無言になる)
B & N「あるかどうか、調べてきます」

こうして入手し、深夜まで読んで読了したPride and Prejudice and Zombiesの内容。

ゾンビになる疫病が蔓延している英国では、それらunmentionablesと闘うために東洋の武術を身につけることが尊敬される紳士の条件であった。特に京都の忍者の術が上流階級の間では尊敬されていたが、貧乏で変わり者(そして日本嫌い)のMeryton村のMr. Bennetは五人の娘を中国に送り少林寺拳法と剣術を身につけさせていた。ロンドンの上流階級に属す独身のMr. BingleyがMeryton村に別荘を買い、彼を歓迎するためのBall(舞踏会)でMr. DarcyはElizabeth Bennetを侮辱する(かの有名な場面です)。その直後に舞踏会はゾンビの襲撃に遭い、見事な闘いの術を披露したElizabethにMr. Darcyは惹かれるものを感じる。
上品で奥ゆかしいオースティンのロマンスとグロで下品でバイオレントなゾンビものを合わせたところがこの作品の最大の魅力である。すべての章が原作と一致するように書かれていて、会話もほぼオースティンそのもの。それゆえつい吹き出す場面がある。女性ファンが多いオースティンの作品を男性が書き直すとどうなるのか、というところも興味深い。女性が書いた二次創作(スピンオフ)ではMr. Darcyが「こんな男いるわけない」という女々しい感じになりがちだが、この作品で若い男性が描くヒロインのElizabethを分析するのも面白い。
Amazon.comでのアメリカ人読者の評価は高いが、私はMixed Bag だと思う。

この作品について私が感じたGoodとBadを挙げてみよう。

Good:

  • 原作をちょっと変えただけで突如下品になるジョーク。例えば21ページ(下線部分に注目のこと。分かる人は分かるはず)

Mr. Darcy approached them soon afterwards. Elizabeth turned to him and said, “Did you not think, Mr. Darcy, that I expressed myself uncommonly well just now, when I was teasing Colonel Forster to give us a ball at Meryton?”
“With great energy; but balls are always a subject which makes a lady energetic.”
“It depends on who’s throwing them, Mr. Darcy.”
“Well,” said Miss Lucas, her faced suddenly flushed, “I am going to open the instrument, Eliza, and you know what to follows.”

  • グロい場面でもElizabethとMr. Darcyがオースティンらしい上品な会話を交わす可笑しさ。
  • 気骨あるElizabethのキャラ。
  • 女性用の本によくある読書クラブ用の「A Reader’s Discussion Guide」のパロディで自嘲しているところ。

Bad:

  • 同じジョークが繰り返される(Vomit, balls, etc.,)。最初面白くても、だんだん飽きる。
  • 原作に忠実な進行はちっともかまわないのだが、ゾンビや忍者との戦いの部分がただの繰り返しに感じる。もっと意外性が欲しい。
  • 人物表現が薄い。もっと複雑で魅力的な個性がほしいところ。

読まずに「品がわるい」、「侮辱だ」と批判するオースティンファンがいるようだが、それはお門違いだと思う。私はオースティンファンだが、嘔吐や脳みそが飛び散るパロディが、主人公の性格をめちゃくちゃに変えたハーレークイン式ロマンスよりも侮辱だとは思わない。主人公の性格に注目すれば、女性が書いた多くの二次創作よりも原作に近いかもしれない(私はどっちも違うと思うが)。
大学の授業で、原作とあわせてこの作品とハーレークイン式ロマンス版オースティンを比較すると面白いのではないかと思う。原作は本ブログのここをどうぞ。

●読みやすさ ★☆☆☆☆
Pride and Prejudiceと同程度。加えて、この可笑しさを理解するためには原作を読んでおく必要があります。

●アダルト度 ★☆☆☆☆
性的コンテントはゼロですがグロい場面が多いのでご注意を。

●その他のオースティンの二次創作・スピンオフ

Goosebumpsシリーズ(初心者向けのホラー)

著者:R.L.Stine

児童書/ホラー

小学校高学年対象

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0439568471&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1
http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0439568471&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

怖くてつい最後まで読んでしまう、洋書初心者におすすめのシリーズ

「怖いものみたさ」という表現があるように、子供のころは、あとで悪夢を見るとわかっていてもホラー映画を観ずにはいられなかった。そういう子供の心理は世界共通で、Goosebumpsシリーズは全米の小学生に大人気でテレビ番組もできた。ホラー嫌いの私の娘でさえ小学生のころにはどっぷりとはまっていたくらいだ。

娘は小学校2年生から読んでいたが、通常は小学校4、5年生が対象。

大人が読んでもけっこう怖いし、本が薄めなので完読しやすく、洋書初心者にはおすすめのシリーズである。

●読みやすさ ★★★★☆

アメリカの小学校3年生に読めるように作られているために、難解な単語がなく、センテンスは短く、一人称の文章で、短く(100ページちょっとで文字が大きい)、非常に読みやすい本です。学校で英語を学んだけれど、洋書をこれまで読んだことがない、という方におすすめです。

このシリーズに慣れ、飽きたら、もっと複雑で面白いCoralineに進みましょう。

●ここが魅力!

ホラーなので、どんどん先に読み進みたくなるところです。といっても過度なホラーではないのでご安心を。

●アダルト度 ★☆☆☆☆

ちょっとホラーです。感受性の強い、悪夢を見やすい子は避けたほうがよいかも。。。。。。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Goosebumpsシリーズ

Coralineby Neil Gaiman

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ

人気ブログランキングへ

Coraline-ゾクゾク不気味な児童書

著者:Neil Gaiman

20068月初刊

児童/ファンタジー/ホラー

2月に映画公開するゾクゾク不気味な児童書

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0060575913&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1
http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0061139378&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

私の娘が小学校五年生のときの担任は、元ロックミュージシャンとは思えないほどきちんとした身なりで、教室は美しく整理整頓され、しかも言葉遣いが非常に丁寧で上品な青年だった。

その彼が活発な小学生をおとなしくする方法として本を朗読するのだという。11歳の男の子すら静かにさせる朗読など想像もできなかったが、娘は「先生が読み始めると、教室中がしんとする」と断言する。この先生が読んだ本のひとつが「Coraline」であった。

主人公のCoraline(コラライン)と両親は、古い屋敷をアパート(イギリスなのでflat)に分けた新居に引越しする。お屋敷には変わり者の隣人たちや、どこにも通じていないドアなど奇妙なものがそろっている。退屈した彼女が探検に乗り出したところ、現実の世界とよく似た不気味な陰の世界に迷いこんでしまう。そこで彼女が出会ったのはその世界でのコララインの母だという蒼白で目がボタンで出来た女性だった。どうにか現実に戻ったコララインだが、そこで両親が陰の世界に閉じ込められてしまったことを知る。コララインは両親を救助するために出かける。

Stardust」と「Neverwhere」の作者Gaimanは、おとぎ話のようなファンタジーに独自のダークさを与えるのが特長だ。「Coraline」は、容赦を知らぬ暗いパラレルワールドにヒロインが勇敢に挑むところが「Neverwhere」に似ている。児童書であってもあまり怖さの限度を考慮していないのがGaimanらしい。多くの人の心に潜んでいる恐怖心を掘り起こし、(小さな子供なら)悪夢でうなされそうな、本物の恐怖を与えてくれる。

Caroline(キャロライン)ではなくCoraline(コラライン)だということが文中にも出てくるが、これも不気味なパラレルワールドを象徴する作者の手なのだろう。

●読みやすさ ★★★☆☆

9~12歳対象だが、おとぎ話のような語り口やときおり現れる(こちらの)小学校では習っていない単語に難しさを感じるかもしれません。ヤングアダルトのTwilightのほうがずっと読みやすいというのは皮肉なものですが、Gaimanの語り口にすでに慣れている人には、簡単に感じるでしょう。

●ここが魅力!

Gaimanが描く世界はいつも、空想家の子供が半分夢見、半分恐れている、非現実の世界です。現実から離れ、徹底的に空想の世界に入り込んでしまえるのが魅力です。

Coralineは、洋書を完読したい人には、「怖くても次になにがおこるのか知りたい」という読書のモチベーションを与えてくれる本です。また、ホラーといっても児童書でマイルドなので、私のようにふだんホラーが苦手な方でも大丈夫です。

●アダルト度 ★☆☆☆☆

悪夢を見るタイプの子供、低年齢の子供は避けたほうがよいでしょう。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Stardust by Neil Gaiman

The Graveyard Bookby Neil Gaiman

Neverwhereby Neil Gaiman

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ