オバマ大統領時代が恋しくなる写真集 Obama: An Intimate Portrait

作者:Pete Souza(オバマ時代のホワイトハウス公式カメラマン)
ハードカバー: 352ページ
出版社: Little, Brown and Company
ISBN-10: 0316512583
発売日: 2017/11/7
難易度:オバマ元大統領による「まえがき」以外はほとんど文章がない。
ジャンル:写真集
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ニューヨークで暮らす多様な人々を集めた人気写真集『Humans of New York』の子供版 Little Humans

著者:Brandon Stanton
ハードカバー: 32ページ
出版社: Farrar Straus & Giroux
ISBN-10: 0374374562
発売日: 2014/10/7
本のサイズ: 23.7 x 1 x 23.4 cm
適正年齡:G(子供から大人まで誰でも)
難易度:初級(文章は少なくて、簡単)
ジャンル:写真集/児童書(4歳〜7歳)
キーワード:ニューヨーク、子供、人種、宗教、ファッション
2014年「これを読まずして年は越せないで賞」候補

著者のBrandon Stantonは、シカゴ商品取引所で3年間トレーダーをやっていた。しばらくは順調にお金儲けをしていたが、失敗して職を失い、その後ニューヨーク市に移って写真を撮り始めた。

何にでも凝ってしまう傾向があるStantonは、ニューヨークを歩きまわって、今までに5000人以上のポートレートを撮り、彼らにまつわる50の逸話を書いた。それを掲載したサイトHumans of New York
が人気になり、昨年2013年にHumans of New Yorkが発売され、ベストセラーになった。

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「王様の耳はロバの耳!」という秘密を閉じ込めてアートにしたPostSecret

Frank Warren
288ページ(ハードカバー)
William Morrow
2005年11月29日初版
絵はがきアートを集めた写真集/告白集

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PostSecretという興味深いアートプロジェクトのことを知ったのは、実は娘が通う高校でのことでした。
廊下に張り出されたコラージュのようなアートを近くで眺めた私は、しばし目を疑いました。誰かが書いたはがきを集めたものだったのです。内容がまた凄いのです。あるはがきの中心には大きなベーグル(ドーナッツ型のパン)の写真があり「私は太るのが怖くて炭水化物をもう何年も食べていない」というコメント。「私は友達のボーイフレンドをわざと盗んだ」とか「成績が良いから親は僕が良い生徒だと思っているけれど、本当は二重生活を送っている」といった凄い告白も並んでいます。
「こんなの高校に貼っていいの?」と娘に訊ねた私は、「PostSecretのこと知らないの?」とかえって馬鹿にされました。

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このプロジェクトの発案者はFrank Warrenという普通のビジネスマンです。精神的な底辺からアートで癒され、立ち直ったWarrenは、他人に伝えたことのない秘密を告白するはがきを自分宛に送って欲しいというハガキを作り、見知らぬ人々に配りました。
それを集めたものが話題になり、Warrenのプロジェクトは展示、ブログ(左の写真)、本のメディアでそれぞれ大人気になりました。

この本は最初に出版されたものなので、内容も一番オリジナルです。
互いの顔が見えないように隠された結婚式の写真に添えられた「I know he doesn’t love me anymore」という悲痛な告白や「He’s been in Prison for two years because of what I did. 9 more to go.(彼は私がやったことのためにもう2年刑務所に入っている。残りの刑期は9年)」といったゾッとするものも。このほかにも告白の内容は多様で、性的な告白、犯罪の告白、愛と憎しみと裏切りの告白…とバラエティも豊富。一度に全部読むのは、ちょっと濃すぎる感じです。

●ここが魅力!

ハガキに込められた秘密とその秘密を告白した人の人生を想像すると、ひとつのハガキで1冊の小説に匹敵するストーリーがあることをひしひしと感じます。それゆえ、一般的な写真集に比べて1冊で何度も楽しめます。
また、秘密を匿名で告白することで癒しを得る効果もあり、「私もPostSecretで告白したい」という意欲をかきたてるかもしれません。

●読みやすさ ★★★★☆

はがき一枚に収まるコメントですから短くて読みやすいものばかりです。
けれども、短い文ですべてを表現しなければならないので、一文に込められた意味は深く、それをすぐに察知するためには英語に相当慣れていなければならないでしょう。
ただし、はがきには絵や写真がついていますので、英語に慣れていない方はそれを見て文の意味を想像することができます。
ですから、英語に慣れていない方が慣れるためには最適の本ではないかと思います。

●アダルト度 ★★★☆☆

性的な告白や犯罪の告白があります。小中学生にはおすすめできません。
高校生くらいからです。

アメリカ合衆国精神医療の光と陰を振り返るビジュアルな詩ーAsylum

216ページ
The MIT Press
9月30日発売
写真集/歴史/医療

Asylum: Inside the Closed World of State Mental Hospitals

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普通の人には精神病院を訪れる機会はないし、”Girl, Interrupted”や “A Beautiful Mind”などの映画や本の精神病院には、人権を無視して抑圧するような恐ろしいイメージしかない。
けれども、アメリカ合衆国の州立精神病院がアメリカ国民の人間性を象徴する誇りであったときがある。精神障害者が人間らしく生きることを許される場としての精神病院の青写真を描き、それを国民の義務として次々と実現していった時期があったのだ。この歴史は、これまで私が抱いていた精神病院の常識を覆すものであった。

 



19世紀後半にその青写真を描いたのがThomas Story Kirkbridgeという人物だった。彼のアイディアに沿って作られたのは施設そのものがひとつの社会として機能する巨大な精神病院(State Mental Hospital)であり、それらはThe Kirkbridgesと呼ばれた。

その中でも1876年にオープンしたニュージャージーの州立精神病院は米国で最大の規模の建築物であり、面積は674000平方フィート(約6万2千平方メートル)、敷地はなんと743エーカー(約90万坪)であった。(下は閉鎖したマサチューセッツ州ダンバーズの病院。コンドミニアムとしてよみがえることになっている)

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国民のプライドを反映した建築物は、病院というよりも巨大なリゾートのような雰囲気だった。手入れの行き届いた広大な庭で患者は散歩を楽しめ、演劇や音楽を披露できる劇場もあった。患者たちの労働により病院はほぼ自給自足でき、何よりも、外の世界では安心して生きられない精神障害者がここでは社会の一員として安心して生きることができたのだ。

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もちろん精神障害者を集める施設だから美しいことばかりではない。巨大化や不況などで運営が困難になり、医療従事者による患者の虐待や放任が起こったのも事実である。また時代の移り変わりも影響を与えた。「患者の人権擁護」により労働を禁じられた患者たちは1日中テレビの前ですごすようになり、社会の一員として勤労する喜びまでも否定された。新薬の開発と医療制度の改革(改悪)により長期入院はなくなり、患者は投薬で退院を強要された。State Mental Hospitalはこうして次々と閉鎖されていったが、特別な目的で作られた巨大な建築物の再利用は難しく、多くは廃墟と化し、ある施設は刑務所になった。そして、十分な社会復帰の援助を得られなかった患者たちが、今度は犯罪者として同じ建物に戻って来たのである。

建築家で写真家のChristopher Payneは、全米にちらばるこれらの忘れ去られたState Mental Hospitalを訪問し、6年にわたって写真を撮影した。その威圧感といい、その背景にある複雑な歴史といい、まるで城の廃墟のようである。Day Roomや劇場を見ると、誇りを持って建てられた建築物であったことが想像できる。

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Payneの写真はいずれも非常に静かである。だがその静けさは、鳥肌が立つほど衝撃的だ。ひとつの写真にこめられた、人々の理想、プライド、喜び、悲しみ、絶望が一度にどっと押し寄せる。(左の写真は、この施設をついに出ることがなかった患者の残したスーツケース)この感情を的確に表現する言葉を私は考えつかない。それを写真で伝えられるPayneはビジュアルの詩人だ。

State Mental Hospitalで25年間働いた経験から「Awakening」 という国際的なヒット作を書いたOliver Sacksが真摯で感動的なエッセイを寄稿しているのも素晴らしい。

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尚、この作品のプロデューサーであり、編集、デザインいっさいを取り仕切ったのはわが家の隣人Scott-Martin Kosofskyである(それを知ったいきさつは以前に書いた)。彼はユダヤ教の学者・文筆家なのだが、こういう心動かされる企画があると手を出さずにはいられない。また、そういう話をさせると時間がいくらあっても足りない。一昨日Asylumをわが家まで届けに来てくれた彼にエッセイを寄稿したOliver Sacksのファンだという話をしたら、彼がどんないきさつでエッセイを引き受けてくれたかという内輪話からSacksがいかに素敵な人物かという話題でまた長話になってしまった。

興味深いScottの話の中でも次の言葉が見事にこの写真集を表現していたので付け加えておきたい。
「ブリリアントでなければ本を出版する意味はない」