自虐的でダークにコミカルな2018年注目の文芸小説 My Year of Rest and Relaxation

作者:Ottessa Moshfegh
ハードカバー: 304ページ
出版社: Penguin Press
ISBN-10: 0525522115
発売日: 2018/7/10
適正年齢:R
難易度:上級(ネイティブの普通レベル)
ジャンル:文芸小説
テーマ/キーワード:2001/9/11同時テロ前のニューヨーク、ドラッグ、睡眠薬依存症、自虐的行為、機能不全家族、不健全な恋愛関係、不健全な友人関係、疎外感、孤独

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女性の身体をホラーとエロスで分解する、全米図書賞最終候補の超ジャンル文芸短編集 Her Body and Other Parties

作者:Carmen Maria Machado(新人)
ペーパーバック: 245ページ
出版社: Graywolf Pr
ISBN-10: 155597788X
発売日: 2017/10/3
適正年齢 R(成人向け)
難易度:超上級(英語力だけでなく、読解力を要する。アメリカのカルチャーにも通じている必要がある)
ジャンル:文芸短編集
キーワード:ホラー、エロス、伝説、Law & Order: SVU、ガールスカウト、アーティストコロニー、同性愛、バイセクシャル
文学賞:2017年全米図書賞最終候補

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見えない光で私たちは繋がっている All the Light We Cannot See

著者:Anthony Doerr
ハードカバー: 544ページ
出版社: Scribner
ISBN-10: 1476746583
発売日: 2014/5/6
適正年齡:PG15(露骨な描写はないが、侵略兵士によるレイプを示唆するシーンがある)
難易度:最上級(時間と場所があちこちに飛ぶので混乱しやすい)
ジャンル:文芸小説/歴史小説(第二次世界大戦、フランス、ドイツ)
キーワード:Brittany(ブルターニュ)、Saint-Malo(サンマロ)、ラジオ、レジスタンス運動
2014年、National Book Awards(全米図書賞)最終候補作

 

第二次世界大戦が始まろうとしているヨーロッパで生まれたフランス人の少女とドイツ人の少年の物語。
Marie-Laureは、6歳のときに目の疾患で失明する。パリの国立自然史博物館で錠前師として働いている父親は、Marie-Laureが独り立ちできるよう、住んでいる地域のミニチュアを作ってそれを覚えさせる。

この美術館には、呪いがかかっている大きな青いダイヤモンド『Sea of Flames』が保管されているという噂があった。そのダイヤモンドを持つ者は不死になるが、周囲の者はすべて悪運に見舞われるというのだ。

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素朴なイタリア人たちの切なくてほろ苦いラブストーリー-A Kiss from Maddalena

Christopher Catellani
2003年4月
文芸小説/歴史(第二次世界大戦中のイタリア)

Chris muse & marketplace特集第4回でご紹介するのは、主催の非営利団体Grub Streetの長年のスタッフ兼教師で、この企画の顔であるChristopher Catellaniです。(詳しくはCatellaniのサイトをどうぞ)。

昨年のmuse & marketplaceで人前であまり話さないことで知られるジョナサン・フランゼンがキーノート講演をしてくれたのはCatellaniのおかげなのです(その話はこちらを)。今年も総合的なディレクターとして忙しく飛び回っていました。私とは過去10年間に2、3度会った程度の知り合いなのに、初日に顔を見かけると満面の笑みで「よく来てくれましたね!ハグさせて」と歓迎してくれるところがさすが対人関係の天才だと思いました。Catellaniのチャーミングであたたかな性格は彼の作品にも反映しています。

sun本作品を「翻訳権がまだ売れていないすばらしい本」のリストに加えました(5/1/09)。

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(あらすじ)
舞台は第二次世界大戦中のイタリアの小さな農村Santa Cecilia。17歳のVitoの父親は彼の姉2人だけを連れてアメリカに移住してしまい、最近は仕送りも途絶えている。痴呆が進む母親の面倒を看る思いやりある青年だが、同年齢の青年に比べると身体の成長も遅く振舞いも子供っぽい。徴兵で村にはほとんど適齢期の青年がいなくなってしまったのに、少女たちは道化者のVitoのことを恋愛対象とはみなしていない。村人たちも彼を「いい奴だけれど役立たず」と軽くみなしている。そのVitoが恋したのは、村で最も美しい少女Maddalenaだった。
努力を重ねて奇跡のようにMaddalenaの愛を勝ち取ったものの、イタリアが連合軍に寝返り、敵となったドイツ軍の撤退のルートにあるSanta Cecilia村は攻撃を受けるようになる。村人たちは安全な地に疎開するが、Vitoと母親は崩壊した村にとり残される。絶望的な状況でもVitoはMaddalenaの家族から夫としてふさわしい男と認められるためにあらゆる努力をするが、Maddalenaはカトリックの道徳と親への忠誠心に抗うことができない。

Beautiful!という表現がぴったりの作品です。
オリーブ林や土埃のたつ小道、砂利だらけの坂道をボロボロの自転車で顔を真っ赤にして登るやせっぽちの少年、そしてそれをじっと見つめている黄金の髪の少女、そんな光景が心に焼きつく、詩的で美しい文章です。
戦時中のドイツを描く作品は沢山ありますが、それらと読み比べると、イタリア人にとっての戦争はまったく異なるものであったことを感じます。イタリア系アメリカ人のCatellaniが描く当時の素朴なイタリア人の生活観やVitoのたゆまぬ情熱にすっかり魅了され、読後もオリーブ林に戻りたくなります。雰囲気や登場人物をじっくりと楽しみたい、切なくてほろ苦いラブストーリーです。

●読みやすさ ★★★☆☆
詩的で美しく、しかも簡潔な良文です。少し英語に慣れている人であれば、すんなりと入り込める読みやすい本です。

●アダルト度 ★★☆☆☆
性的なシーンはありますが、過激な表現はなく、多くのYA本よりもマイルドです。

この本が気に入った方は戦後アメリカのイタリア系移民の生活を描く続編The Saint of Lost Thingsをどうぞ。三部作の完結編もすでに完成しているということですので、お楽しみに!

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