するする読んでウォール街とシリコンバレーの金の仕組みを学べる超娯楽的な金融小説 The Underwriting

著者:Michelle Miller
ハードカバー: 384ページ
出版社: G.P. Putnam’s Sons (2015/5/26)
ISBN-10: 0399174850
発売日: 2015/5/26
適正年齢:PG15+(高校生以上、性的シーンあり)
難易度:中級+(学校では教えない砕けた表現やビジネス専門用語はあるが、シンプルで読みやすい)
ジャンル:娯楽小説、金融スリラー
キーワード:ウォール街、シリコンバレー、起業、IPO(株式公開)、ソーシャルメディア

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「猛スピードで移り変わるニュースをハイジャックしてしまえ」というマーケティング本

Newsjacking-cover旧来のPR(広報、宣伝)のモデルは、前もって作成したものをキャンペーンのタイムラインに沿って展開するものです。けれども、現在はそれでは効果があまり出ないようになっています。インターネットとソーシャルネットワークの普及により、一般人の関心はどんどん移り変わります。せっかく時間をかけてストーリーを作り上げても、大衆の注目を浴びるニュースが起きたら、みんなの関心はそちらに移り、努力は泡になってしまいます。

そのニュースのスピードを逆に利用し、大衆が注目しているニュースに自分の発想やプロダクトを「リアルタイム」で組み込み、マスコミ報道を利用して広めてしまおう、というのが「NewsJacking(ニュース+ハイジャック)」という新しいマーケティングの発想です。

詳しくは、David Meerman Scott(情報公開:私の夫)のブログをどうぞ。

 

 

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読者の視点を忘れた戦略はいずれ出版社の首をしめるだろう(Game Change とKindle)

今月最も話題になった新刊は下記のGame Changeある(書評は洋書ファンクラブでどうぞ)。

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0061733636
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0061733636

ベテラン政治ジャーナリストのJohn Heilemann(New York Magazineの政治コラムニスト。これまでthe New Yorker, Wired, The Economistなどのライターを務めた)とMark Halperin(Timeマガジンの編集長でシニア政治アナリスト)の2人が書いた2008年大統領選挙の裏舞台と聞いたら、政治ジャンキーとしては読まないわけにはいかない(レビューはこちら)。

だが、発売日にアマゾンで在庫切れになってしまっために、私が入手したのは数日後だった。

こういう話題本だからこそ、誰よりも早く読みたいものである。だが、出版元のHarperはKindle版発売をわざと遅らせている(2月23日発売予定)。その理由は紙媒体のほうが出版社への収入が多く、紙媒体でも売れる本だとわかっていたからである。紙媒体で儲けてからKindleを出せば良いという考え方だ。他にも紙媒体だけで売れるジャンルがあり、それにも共通している。一見賢そうな戦略だが、そうだろうか?

まずこの本の読者層は日頃から政治経済に関心があり、読書数も多い。つまりkindle愛用者層と一致しているのだ(ペイリン本の読者層とは異なる)。
発売当日に本屋に行かずして新刊を読み始められるのがKindleの魅力なのだが、その日から読みたかったこのGame Changeにkindle版がないと知って、kindle愛用者は怒りをAmazon.comの読者評価に「★ひとつ」という方法でぶつけ始めた。
ピクチャ 4 ひとつやふたつではない。1月26日午前6時現在、なんと188人もが★ひとつの最低評価をしているのだ(中には内容についてのものもあるが)。最高の★5つが73人なので、この本の平均評価はたったの★2つになっている。
「それでも結果的には売れているから良いではないか」と思う人はいるだろう。
だが、それは近視的な考え方だ。
多くの★ひとつレビューアーが指摘しているように、この本には旬がある。Kindleでなければ読まないと決めている人は多いのだから、旬を逃したら彼らはもうこの本を読まない。また、本屋に行ってまで買いたくないが、 kindleだとつい衝動的に買ってしまうという人もいる。

それよりも問題なのは出版社の「読者コントロールするのは自分だ」という態度である。AppleやGoogleが成功しているのは、ユーザーの視点で開発してきたからだ。出版社が「どうすれば読者にとって本が読みやすいだろう?」という視点を持たない限り、出版界は不況から立ち直れない。
そう強く感じた現象である。