Category: 青春小説 realistic fiction

心温まる青春小説―The Truth About Forever

Sarah Dessen2004年青春小説/ヤングアダルト http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0142406252&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0142406252&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 高校生のMacyは成績も品行も良い優等生で外からは何の問題も抱えていないように見えるが、父親が突然死してから深い悲しみを胸の奥底に潜めている。「完璧」なボーイフレンドのJasonは、Macyの心の支えになるよりも自分のために彼女がどう役立つかしか考えていない。だが、それをMacy本人が気づいている様子はなく、彼の傲慢ぶりを崇拝し、自分を卑下しているところさえある。"Brain Camp"(有名大学への入学が有利になるとみなされる優秀な生徒が集まる泊りがけの夏期コース)に行くJasonは自分が重要視している図書館でのアルバイトの職をMacyに引き継がせるが、それは彼女にとって精神的な拷問に近かった。かわりにMacyは人手が足りず、彼女を必要としている仕出し屋でアルバイトを始める。この仕出し屋でバイトをしているのは、これまで優等生のMacyが付き合ったことのない問題児ばかりだった。彼らのおかげでMacyは肩の力を抜き、生活を楽しみ始める。特に、ハンサムなWesは危険な外見とは異なる別の部分を持っていて、Macyが胸の奥底にしまってきた悲しみと罪悪感、自信のなさに直面するのを助けてくれる。 登場人物がそれぞれ生き生きとしており、ユーモアにあふれ、ロマンチックで心温まる青春小説である。また、父を失った悲しみと罪悪感、ボーイフレンドにコントロールされやすい少女の心理をリアルに表現しているところも優れた点である。親に守られてきた平和な世界が崩れる現実とその現実でいかに自分を見出して人生の選択をするのか、という課題を扱うこの作品はいつものDessenの青春小説より深みのある読後感を与えてくれる。 ●ここが魅力!著者のSarah Dessenは、初恋や家族問題などに揺れ動く思春期の少女の心情を描くのが得意な青春小説の大御所です。代表作をいくつか読みましたが、その中で私がもっとも優れていると感じたのがこのThe Truth About Foreverです。Jasonという優等生の少年にマインドコントロールされて自分を卑下しているMacyは、たぶん女性であれば心あたりがあるでしょう。 軽すぎず、重すぎず、思春期の女の子にぴったりですが、大人が読んでも十分楽しめる作品です。 ●読みやすさ ★★★★☆★★★と★★★★の中間で、Twilight程度のレベル。女子高校生の1人称で語られ、造語や俗語がほとんどないのも読みやすい理由です。 ●アダルト度 ★★☆☆☆ロマンスが含まれた青春小説ですが、ヤングアダルト分野では性的表現がキス程度と非常にマイルドなほうです。(Twilightと異なり)中学生から安心して読ませることができるレベルです。…

思春期の少女の危うさ-Go Ask Alice

作者:Anonymous (実在の少女の日記として出版されたが、最近になって心理カウンセラーのBeatrice Sparksが作者と判明)出版日:1971年ヤングアダルト/思春期の少女の心理/日記(これについては異論あり) http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS1=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=1416914633 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416914633&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 大学教授の父を持つ普通の少女が、ドラッグ中毒になってゆく過程を日記に綴ったもので、1971年の発売当初は60年代後半にドラッグのオーバードースで亡くなった実存の少女のものだと信じられていた(その後心理学者でこの本の編集者であるベアトリス・スパークスのフィクションだということが分かった)。 フィクションだとしても、ドラッグはいけないことだと信じ、好きな少年と結婚するまで処女でいることを夢見ていた普通の少女がドラッグやセックスの世界にずるずると入り込んでゆく様子は、リアリスティックである。私が小学生のころに書かれたものだが、今の高校生が読んでも古さを感じないようである。高校生の私の娘の感想は、「面白かったけれど、落ち込む本だ」というものである。現実の世界との差をたずねると、「(私が通っている)高校でもドラッグをやっている人はいるし、誰もがそれを知っているけれど、やっていない人を引き込もうとはしない。まあ、パーティに行けば別かもしれないけれど、それは行かなければすむことだし」と言う。またドラッグをしていない生徒たちのほうも、Go Ask Aliceに書かれているような「ドラッグをやっている人だから避けよう」という感じはないらしい。だが、以前取材で娘と同じ高校に通っていた男子生徒は、ドラッグを押し付けられる人間関係があり、そこから抜け出すのが大変だったことを打ち明けてくれた。「高校生がこの本を読んだからドラッグを避けよう、と思うかな?」と娘に尋ねると、「ちょっとだけやってまだ怖さを知らない子には効果があるかも」と答えた。 ●読みやすさ ★★★☆☆先日ご紹介したThe Perks of Being a Wallflowerと同様に、日記なのでとても分かりやすい英語です。200ページ程度の薄い本なので、読了も簡単です。初心者におすすめの一冊です。…

現代版の「ライ麦畑」?-The perks of being a wallflower

著者:Stephen Chbosky出版日:ヤングアダルト/思春期の葛藤/現代小説 現代を生きる普通の男子高校生のリアリスティックな姿 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0671027344 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0671027344&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 友人あての手紙の形を取った小説。主人公のチャーリーは高校一年生の男の子。可も不可もなく、ごく普通の目立たない存在である。パーティで男の子がダンスに誘ってくれない女の子のことを「壁の花」と呼ぶが、チャーリーは男の子版の「壁の花」。内向的で、行動型ではなく分析型なのであまり目立たない。 作者は脚本家で映画監督のStephen Chbosky。 読んだ人はすぐにピンとくると思うが、これはChboskyによる現代版の「The Cather in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)」である(内容は異なるので、ご心配なく)。「文学作品として後世に残るか?」とたずねられたら答えは「No」である。けれども、私には「ライ麦畑」よりもずっと面白かった。というのは、主人公のチャーリーが等身大だからである。文芸作品ではないがゆえに、思春期のつらさを正直に描けているような気がする。友人の自殺、家族や友人との人間関係、初恋、性とドラッグの初体験、と多くの葛藤が詰まっているが、あからさまに作り話に感じないのは、実際に思春期とは難しい年代だと知っているからだ。体の成長だけでなく、自分と周囲のティーンのホルモンの変化、それに伴う心身のアンバランスと人間関係のゴチャゴチャ、加えて大学進学とかいろんなことにいっぺんに対応しなければならない。わが娘がいうように「It's tough being a…