パンク時代をノスタルジックに体験できるとびきりの回想記 Clothes, Clothes, Clothes. Music, Music, Music. Boys, Boys, Boys

著者:Viv Albertine
ハードカバー: 421ページ
出版社: Thomas Dunne Books
ISBN-10: 1250065992
発売日: 2014/11/25
適正年齢:PG15(セックス、ドラッグ、&ロックンロールだから。。。)
難易度:中級+(文章は非常にシンプル。ロックの世界に興味があるかどうかが理解度の鍵)
ジャンル:回想記(音楽、パンクロック)
キーワード:パンクロック、スリッツ、セックス・ピストルズ、クラッシュ、ミック・ジョーンズ、シド・ヴィシャス、ヴィヴィアン・ウエストウッド

パンクブームのさなかの1976年に誕生した女性だけのパンクバンドThe Slits(スリッツ)のギタリストだったViv Albertine(ヴィヴ・アルバータイン)の回想記。

「Clothes, Clothes, Clothes. Music, Music, Music. Boys, Boys, Boys」という風変わりなタイトルは、学校から戻ってきてそういう話ばかりする娘に、「あなたって、服と音楽と男の子の話ばっかりなのね」と呆れた母親の台詞である。タイトルどおりに、ファッション、音楽、恋愛を中心とした著者の波乱に満ちた半生を描いている。

(さらに…)

Thomas PynchonのInherent Viceのサウンドトラック

70年代前半のカリフォルニアを舞台にしたThomas PynchonのInherent Viceには沢山の音楽が登場します。そのリストは下記のとおり。これらを読んでピンとくる方は相当の音楽通(とある程度のお年頃…?)ですねcoldsweats01

リンクを完成しようと思ったのですが、あまりにも時間がかかるので中途半端なところで断念。ごめんなさいね〜。

ロックミュージシャンの回想録では最高傑作-ローリング・ストーンズのRonnie

Ronnie Wood
2007年10月初版
368ページ
St. Martin’s Press
回想録/ロック

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有名人の回想録はそれこそ星の数ほどあるし、星のように毎日のように誕生しています。
たいていの有名人は文章なんて書けないから、売れっ子ゴーストライターを雇い、彼らの取材に、「そうね、あのとき私は…」と答えるだけ。「そんな本にお金を払いたくない」と私は思うのですが、暴露本の感覚で読む方は多いようで、ゴーストライターによる回想録はけっこう売れています。
でも、The Rolling StonesのRonnie Wood(ロン・ウッドではなく、Wood本人がこの名前を使っています)のRonnieは、ロックの回想録ではこれ以上の傑作はないと断言できるほどの豪華絢爛な内容です。

その理由は次のとおりです。

1.全部自分で書いている。しかも、それがけっこう読める文章で面白い。
2.ものすごく正直。「えーっ!こんなこと書いていいの?」と仰天する内容が次々と。
  Ronnie本人の恋愛暦やドラッグ暦だけではなく、ミック、キースといったストーンズの仲間、そして(私くらいの年齢のロックファンにはおなじみの)Eric Clapton, Rod Stewart, Jimmy Page, Keith Moon, Jimi Hendrix, Pete Townshendといった顔ぶれのエピソードが、ビビッドに書き込まれています(ところで、同じ頃に出たEric Claptonの回想録は読む価値ないです…)。
3.Ronnie自身が書きためた絵画とイラスト、写真などが満載。
  「満載」という表現はただの使い古した表現ではなく、本当に「満載」です。このイラストがまたとっても味があるのです。各章のタイトルも自筆。本そのものがアートになっていて、これを読むと、「ストーンズでもっとも多才なのはRonnieかも…」と思うようになります。音楽とビジネスではミックやキースには及びませんが。

深みがない、間違いがある、という批判もありますが、それはRonnieの性格と記憶力を反映しているだけだと思います。記憶力で言えば、私なんか彼の100分の1も自分の半生を思い出せませんから、Ronnieは偉いと思いますよ。

●読みやすさ ★★★☆☆
★★★と★★★★の中間レベル。60年代から70年代のロックシーンのファンであれば、読みやすさはぐっと上がります。でも、そうでない人は固有名詞があふれるこの本は読みづらいこと間違いなし。
回想録ですから文章は話し言葉に近くて簡単ですが、意外とボキャブラリが多くて文芸的なと箇所もあります。
358ページありますから、読み終えるのには時間がかかります。雑誌や短編のように他の本を読む合間に少しずつ読む、というやり方が一番良いのではないかと思います。

音楽と科学が好きな人におすすめ-This Is Your Brain on Music: The Science of a Human Obsession

Daniel J. Levitin
2006初版
322 ページ
出版社:Penguinグループ
ノンフィクション/音楽/神経心理学/神経科学

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まず著者のDaniel J. Levitinの経歴が興味深い。
最初のキャリアは音楽業界のインサイダーである。セッション・ミュージシャン、サウンド・エンジニア、レコード・プロデューサーとして、スティービー・ワンダーやブルー・オイスター・カルトといったミュージシャンたちと仕事をしたことがある。
驚くのはその後のキャリアだ。
音楽の世界を去った後に神経科学者になり、現在ではMcGill大学のMusical Perception, Cognition, and Expertiseのラボの責任者を務めている。

この本は、音楽と神経科学の両方の世界を知っているLevitinが、「何が音楽なのか?」、「音楽のカテゴリーを決めるのは何か?」、「音楽家になるのは生まれつきの才能か、それとも練習量か」、「なぜ音楽の個人的な好みがあるのか?」など、音楽と人間の脳の関係をいろいろな角度から語ったものである。副題「The Science of a Human Obsession」とあるように、音楽に対する人のObsessionについての本なのだ。

音楽や神経科学に詳しい読者から史実や音楽理論での間違いを指摘する批判があるものの、全体的には良い評価を得ており、LAタイムズ紙Book Prizeのファイナリストになっている。私が気になったのは、優れた音楽家になるための「10,000時間説」と「幼いときから音楽を始めた者で大人になっても続けている者が少ないこと」について、納得する答えが得られなかったことである。
だが、どのノンフィクションにもいえることだが、ひとつの本に書いてあることをすべて事実として読むべきではない。それを念頭に読めばいろいろな発見があり、とても面白い本である。

●ここが魅力!
私の娘の友人で幼い頃からクラシック音楽を演奏している高校生にプレゼントしたところ、とても気に入ってくれて、今年この本からの発想で科学コンテストに参加したようです。そこで私の娘にも買ってあげたところ、「面白い!」とPost Itをあちこちに貼り付けはじめ、「来年の科学フェアでは音楽に関する実験をする」と言っています。
どちらも音楽と数学・科学が好きな女子高生で、彼女たちにとっては「なるほど~。そういうことだったのか」という知識を増やす喜びだけでなく、「私も自分の仮定を立てて実験してみたい!」と動機を与える本のようです。
学生時代合唱にのめりこんだものの楽器で失敗した私にとっては、著者が一緒に仕事をしたミュージシャンとの回想録や音楽の分析に「なるほど」と思いました。こういう本のよいところは、(役に立たない知識であっても)好奇心を満足させてくれることです。

たとえば、Joni Mitchellについてですが、幼い頃からバイオリンを習っていて絶対音感がある私の友人が、BGMとして流していたJoni Mitchellに「これだけはやめて。音が外れていて気分が悪くなる」と言ったことがあります。
でも、Levitinによると、Joniは確信犯だったのです。
著者と同年代の私には登場するミュージシャンもなじみある名前ばかり。それも魅力でした。

●読みやすさ 平均★★☆☆☆
読む人のタイプによって読みやすさが非常に異なる本です。
音楽を学んだことがあるノンフィクションが好みの理系の方:★★★~★★★★
どちらでもなく、ふだんは小説を読む方:★

文章そのものはとてもストレートです。文芸作品と異なり、解釈の必要がない文ですから、ノンフィクション好みの理系の方にはたぶん小説よりも読みやすいでしょう。
けれども、後者の方には(専門家には難しくない)音楽理論や脳の部位の名称など専門用語が頻出するので難しい本です。しろうとにも理解できるように説明していますが、それを読むこと自体が面倒だと思います。

●アダルト度
子供に読ませて困るようなところはありませんが、理解して楽しめるのは高校生くらいからでしょう。

●この本を気に入った方にはこんな本も…
Musicophilia: Tales of Music and the Brain

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「天才ロックミュージシャンは27歳で死ぬ」ちょっとマニア向け27歳伝説アート本-The 27s: The Greatest Myth of Rock & Roll

Eric Segalstad(文筆業/ミュージシャン)、Josh Hunter(イラストレーター)
312ページ
出版社:Randam House
2009年4月発売
アート本/音楽/ノンフィクション/グラフィックノベル
(小説ではないけれどこのジャンルに入れている人がいるから)

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今年のBook Expo Americaでは、大手出版社の暗さと自費出版やインディ出版の活気の差が目立ちました。業界の雰囲気をそのまま反映していたようです。また、業界では自費出版で成功を収めて大手から出版されるケースも目立ってきました。
Eric SegalstadとJosh Hunterが作ったThe 27s: The Greatest Myth of Rock & Rollもそのひとつです。彼らは、既成の概念を超えらない出版社にフラストレーションを覚え、アーティストのクリエイティビティを活かす本作りのために自らSamadhi Creationsという出版社をクリエートしてしまったというすごい若者たちです。このマニア向けの本が話題になり、今年4月に大手のRandam Houseからトレードーペーパーとして新たに出版されました。

ロック界には、天才的なミュージシャンが27歳で死ぬという現象があり、それが伝説化しています。
27歳で亡くなった代表的な人物は、NirvanaのKurt Cobain(カート・コバーン)、DoorsのJim Morrison(ジム・モリソン)、Jimi Hendrix(ジミー・ヘンドリックス)、Janis Joplin(
ジャニス・ジョプリン)、そしてRolling StonesのリーダーだったBrian Jones(ブライアン・ジョーンズ)などです。
Kurt Cobainに関しては殺人説もありますが、"It’s better to burn out than to fade away,"つまり「凋落するよりもは燃え尽きたほうがいい」といった意味の遺書を残した自殺が有名です。また日本人がジミヘンと呼ぶ天才ギタリストのJimi Hendrixは、今でもラジオのクラシックロックで「最高のギタリスト」にノミネートされます。京都で英会話学校に通っていたとき私が自分のニックネームに選んだのはJanis JoplinからとったJanisでした。どちらも私がティーンになる前(1970年)に死亡していますが、ロックファンだった私にとっては青春時代を思い出す懐かしい名前です。
でも、この本で紹介されているのはこれらの有名なミュージシャンだけではありません。27歳で亡くなったロックミュージシャンはほかにも30人もいるのです。この本は時代から忘れられているそれらのミュージシャンへの鎮魂歌でもあります。

27歳伝説の真相にせまるThe 27s: The Greatest Myth of Rock & Rollを手にとったとき、私は高校生のころに田舎の本屋からビートルズの写真集を取り寄せたことを思い出しました。届くまでになんと8ヶ月ほどかかり、お小遣いがすっかり底をつく値段でしたが、1ページ1ページを大切に眺め、納得したものです。The 27sも既存の本とは異なり、丹念な作りです。紙の質もすばらしく、スタイリッシュなイラスト、地図、年表、音楽豆知識などが、1ページごとにアートとして提供され、ミュージシャンと彼らが生きた時代を視覚的に表現してくれます。それにしても、作成にこんなにお金がかかる本を日本のAmazonでも2700円ちょっとで入手できるというのはすごいと思います。だって、全ページカラーなんですよ!

私はいつでも手にとって眺められるように、リビングルームのコーヒーテーブルの上にオバマ大統領就任記念の本とともに飾っています。

●読みやすさ ★★★☆☆
ロックファンであれば固有名詞がわかるでしょうから、難しくないと思います。
通常のノンフィクションというよりも、大人の絵本といった感じです。

クラシック音楽演奏家/ファンなら絶対に分かる可笑しさ-Real Men Don’t Rehearse:Adventures in the Secret World of Professional Orchestras

Justin Locke
自費出版
ユーモア・エッセイ/クラシック音楽

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文章のサンプルはこちら

注文作者のサイトからどうぞ。PayPalで日本からでも注文できるようになってます。

自費出版の薄い本ですから何の期待もせずに読み始めたところ、予想を裏切る(?)面白さ。あまりにも可笑しくて、ひとりでケタケタ笑っていたら、夫に「大丈夫?」と心配されました。
作者はBoston PopsのBass(コントラバス)奏者だったJustin Lockeです。

クラシック音楽のファンであれば、ボストン・ポップス・オーケストラの名前は耳にしたことがあるはずです。ボストン交響楽団が夏のオフの間にポピュラーミュージックを演奏するために編成を変えたもので、基本的には同じメンバーで構成されています。でも、ボストン・ポップスには、公演ツアー用のもうひとつのボストン・ポップス、Boston Pops Esplanade Orchestraが存在するのです。Lockeが属していたのは、アーサー・フィードラーとジョン・ウィリアムズが指揮をしていた頃のこのEsplanade Orchestraで、来日したときのエピソードも載っています。
それによると、ジョン・ウィリアムズが来日したときにコントラバスが演奏中にくるくる回転したのは、Lockeの仕業だったのです。

クラシック音楽と音楽家はくそまじめ、という印象がありますが、Lockeが描くプロのクラシック演奏家の世界は滑稽なエピソードだらけ。音楽を少しでも知っていると、その可笑しさが倍増します。たとえば、特殊な絶対音感を持った歌手と演奏しなければならなかった困難とか、演奏家に尊敬されようとして見事に失敗した若い指揮者のエピソードとか、シチュエーションを想像しただけで笑いが止まりません。楽器により演奏者の性格が異なるというのも(私は合唱でしたが)、吹奏楽団、オーケストラ、Jazzバンドで楽器を演奏する娘に尋ねると、「まさにそのとおり」とのこと。特にLockeの説では、”Bass Players differ from all the other members of every orchestra in one very basic way: no bass player, at least to my knowledge, ever chose to be a bass player.”ということで、コントラバス奏者は”reluctant ‘draftees’ of the orchestra”なのだそうです。だから、どんなにすごいオーケストラで職をみつけても、その「なんとなくここに流れ着いた」という根本的な性格は変わらず、従って競争心が激しくてプライドの高い他の楽器演奏家とは異なり、彼らの態度は、”this thing is pretty much impossible to play, we’re doing the best we can, and we didn’t really want to be here anyway, so don’t bother us with your prissy nitpicking”なんだそうです。

また、次の章の「音楽専門用語集」のClam(間違い)という専門用語には、”A really obvious wrong note, usually played by a brass player.”という説明がついています。クラシック音楽を聞いている人なら匹敵する場面を思い出してつい吹き出してしまうでしょう。際立った傑作ではありませんが、昔ながらの良質のユーモアは心を軽くしてくれます。笑いだけでなく、ほのぼのする思い出話もあり、読み終わると作者とお友達になった気分になります。

下記は作者自作自演の製薬会社TVコマーシャルのパロディ。アメリカの製薬会社のコマーシャルを知っている人にしか分からないユーモアなのが残念です。

●読みやすさ ★★★
200ページという薄さで、フォントも大きいので読了しやすい本です。
また、1章が短くて読みきりやすく、達成感も得ることができます。
話し言葉のようなスタイルで読みやすく感じます。
楽器を演奏したことがある方や音楽ファンであれば、英語がさほどできなくても読みやすいと思います。サンプルを試してみてください。

●アダルト度 ☆☆☆☆☆
音楽好きなら誰でも楽しめる本です。