風刺・ユーモア

猫好きなら絶対に楽しめる詩集『I Could Pee on This』

著者:Francesco Marciuliano

ハードカバー: 112ページ

出版社: Chronicle Books

ISBN-10: 1452110581

発売日: 2012/8/15

適正年齢:PG10(小さい子どもすぎると分からないシチュエーションがあるから)

難易度:初心者から読めるが、ニュアンスが掴めない場合もあるだろう。

ジャンル:詩、ユーモア

キーワード:猫、犬、動物と飼い主の間の愛情

 

猫に関する新刊ノンフィクションを購入するつもりで、偶然みつけたこちらの虜になってしまった。2012年の発売なので既にご存知の方はいるだろうが、私のように見過ごしていた人もいると思うのでご紹介する。

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親を選べない子供たちの苦悩と癒やしをリアルに描いたYAの傑作『Reality Boy』

著者:A. S. King

ハードカバー: 368ページ

出版社: Little, Brown Books for Young Readers

ISBN-10: 0316222704

発売日: 2013/10/22

適正年齢:PG15(高校生以上)、全体を通して性行為に関するテーマがあるが、詳細な描写はない。

難易度:中級レベル(罵り言葉やスラングなどが多い。基本的には平易な英語。入り込みやすい)

ジャンル:YA(ヤングアダルト)、青春小説、文芸小説

キーワード:リアリティ番組、子供の心理的虐待、親子関係、心の傷と癒やし、成長物語、風刺

 

5歳のときにリアリティ番組に登場したGeraldは、16歳になった今でもその後遺症をひきずっている。

Geraldは生まれたときから6歳年上の姉Tashaに虐待されていたが、その姉だけを溺愛する自己中心的な母により、リアリティ番組で全米で最も悪名高い問題児に仕立てられてしまった。虐待する姉と、その虐待から守ってくれない両親への怒りを、いたるところでウンチするという行動で表現していたのだが、それがテレビでは大いにウケたのだ。そのために、Geraldは高校で「crapper(ウンチをする奴)」と呼ばれて虐めを受けている。

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ハチャメチャな展開が子供にウケそうなニール・ゲイマンのミニSF 『Fortunately, the Milk』

著者:Neil Gaiman(文)、Skottie Young(イラスト)

ハードカバー: 128ページ

出版社: HarperCollins

ISBN-10: 0062224077

発売日: 2013/9/17

適正年齢:G(3歳から小学生まで)

難易度:中級レベルと初級レベルの中間(難しい言い回しがあるが、基本的には平易な英語)

ジャンル:児童書、SF、ユーモア、冒険

キーワード:異星人、海賊、恐竜、ナンセンスユーモア

 

お母さんが出張に出かけた留守の間、お父さんは子供たち二人の面倒をみることになる。新聞を読んでいるとすぐに上の空になるお父さんは、最初の朝からミルクを切らしてしまう。

かけるミルクがないと朝食のシリアル(日本でいうコーンフレークはその一種)が食べられないと言う子供たちのために、お父さんはミルクを買いに出かけることにする。お父さん(著者ゲイマンのようにイギリス人らしい)も、紅茶に入れるミルクがないと困っちゃうからでもある。

でも、家の近所にあるお店に行ったお父さんはなかなか戻ってこない。

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ダークでユーモアたっぷりの児童書ファンタジー新シリーズ『The Screaming Staircase (Lockwood & Co. #1)』

著者:Jonathan Stroud

ハードカバー: 384ページ

出版社: Hyperion Book CH

ISBN-10: 1423164911

発売日: 2013/9/17

適正年齢:PG8(小学校3年生以上)/小学校高学年から中学生をターゲットにしている

難易度:中級レベル(文章はシンプルでストーリーは理解しやすいが、中級レベルには難しい表現もある)

ジャンル:ファンタジー(ホラー)/ミステリ

キーワード:幽霊、超常現象、冒険、忠誠心、友情

2013年これを読まずして年は越せないで賞候補(渡辺推薦)、あるいは2014年に持ち越し?


 

ヴィクトリア朝を思わせるロンドンで、50年ほど前から恨みを抱いて死んだ者の霊が現れて人々を襲い、殺害する事件が増えてきていた。事件があまりにも蔓延したために生まれたのが幽霊を駆除するビジネスだった。

このビジネスには生まれつきの霊感が必要であり、特に若いときにその能力が強い。だが、駆除にはスキルが必要である。霊感がある子は会社に入社して年長の経験者の指導のもとにトレーニングを積むのが習わしなのだが、あまりにも危険な仕事のため、成人するまで生き延びる者は少なかった。

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思い切り笑った後にじんわりするロマンチックコメディ『The Rosie Project』

著者:Graeme Simsion

ハードカバー: 304ページ

出版社: Simon & Schuster

ISBN-10: 1476729085

発売日: 2013/10/1

適正年齢:PG15(高校生以上)、性的な話題はあるが、基本的にプラトニック

難易度:上級レベル、文章はシンプルだが、英語が堪能でないとユーモアが理解できない。

ジャンル:ロマンチックコメディ/現代小説

キーワード:ロマンス、ユーモア、アスペルガー(自閉症スペクトラム)、OCD(強迫性障害)、心温まる本


 

オーストラリアの大学で遺伝学の準教授を務めるDon Tillmanは、頭脳明晰で、社会的に尊敬される立場にあり、グレゴリー・ペックにに似ていて、合気道や空手の達人で、グルメ料理も作ってしまう。つまり、ペーパー上は「理想の結婚相手」なのだが、なぜか女性から敬遠されている。自閉症スペクトラムの一種だと思われる障害を持つDonは、社会的なシチュエーションを把握できず、女性との対応でもエビデンスベースの論理的なアプローチしかできないからなのだが、本人は肝心な部分で自覚がない。

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少々お下品だけれども最高に笑える愛犬コミック『My Dog: The Paradox』

著者:The Oatmeal, Matthew Inman

ハードカバー: 32ページ

出版社: Andrews McMeel Publishing

ISBN-10: 1449437524

発売日: 2013/5/7

難易度:初級レベル(中学英語をマスターしたレベル)

適正年齢:PG12(中学生以上)

ジャンル:コミック/ユーモア

キーワード:愛犬、笑える本


 

動物と飼い主の愛情を語る本は数あれど、これほどストレートに笑える本は少ないのではないだろうか。

「これでもか!」というほど排泄物のジョークが続くので、上品な方は避けたほうがいいかもしれないが、それ以外の人は笑えると思う。私がこの本を最初に読んだのは5月末のBEAでのことだったが、それ以来何度読んでも笑ってしまう。

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現代アメリカのプチエリートの苦悩を風刺したユーモアとミステリー Where’d You Go, Bernadette

Maria Semple

ハードカバー: 336ページ

出版社: Little, Brown and Company

ISBN-10: 0316256196

ISBN-13: 978-0316256193

発売日: 2012/12/21

現代小説/風刺小説

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Bernadette Foxは、シアトルのマイクロソフトコミュニティのまっただなかにいる主婦である。マイクロソフトの花形プロジェクトを指揮している夫のElgin
Branch(アメリカでは専門職を持つ夫婦の別姓が普通)は歴代4番目の視聴率を誇るTEDトークをした著名人で、娘のBeeは保護者のほとんどがマイクロソフトの関係者という私立学校に通っている。

だが、Bernadetteはシアトルもマイクロソフトのコミュニティも毛嫌いしているので、関わりを拒否している。

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英国の田舎町での政治を通じて人々の心に住む光と闇を描いた The Casual Vacancy

J. K. Rowling

ハードカバー: 480ページ

出版社: Little, Brown and Company

ISBN-10: 0316228532

ISBN-13: 978-0316228534

発売日: 2012/9/27

文芸小説

 

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世界で最も有名な作品を世に送り出してしまった作家が第二作を書くプレッシャーは、私などには想像もできない。

しかも、「売れる」と分かっている児童書ファンタジーとはまったく異なるジャンルに挑戦するというのだから、勇気がある。

その勇気に敬意を表し、私はハリー・ポッターの著者としてではなく、新人作家のデビュー作として偏見なくこの本を読むことに決めた。したがって、偶然目にした評論家のレビューのヘッドライン以外はまったくレビューを読まずに本作品を読ませていただいた。

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