Category: SF
SF、ミステリー、冒険が混じった2010年ニューベリー賞受賞作 When You Reach Me
Rebecca Stead 208ページ Wendy Lamb Books 2009年7月14日発売 児童書(9-12歳)小学校4年生〜中学生対象/SF/ミステリー/冒険 時は1979年、小学校6年生のMirandaは弁護士事務所で働く母とニューヨーク市の小さなアパートで暮らしている。同じ建物に住む少年Salとは幼い 頃から親友だったのに、突然彼はMirandaを無視するようになる。その前後からMirandaの周囲で不思議なことが起こり始める。まずは奇妙 な行動を取るホームレスの老人が出現し、見知らぬ少年からSalが殴られ、アパートの鍵が紛失し、Mirandaあてに未来を予告するメモが届く。 Mirandaの愛読書は60年代に出版されたMadeleine L’Engle著のSFのクラシックA Wrinkle in…
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humanityの敵は誰なのか?娯楽作品でありながら哲学的なテクノスリラーーFreedom
Daniel Suarez416ページ(ハードカバー)Dutton Adult 2010/1/7テクノスリラー/SF(とも言えないことはない)/コンピューターゲーム http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0525951571 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0525951571 2009年テクのスリラー最大のデビュー作Daemonの続編。 前作を読んでいない方はネタバレがあるので下記を飛ばしてください 国家の機密を隠すためにDaemonによる大量殺人の罪を着せられて処刑された刑事のSebeckは、DaemonのクリエーターSobolのプログラムにより命を救われ、あるクエストを命じられる。だがそのクエストが何であるのかは誰にも明らかにされていない。 一方、Daemonによる大量殺人の捜査で初期にSebeckを援助し、次いでFBI特別捜査官Roy MerrittとNSA( National Security Agency)の特別チームリーダーNatalie Philipsを援助したJon…
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遺伝子操作派と機械派の国が闘うパラレルワールドでの第一次世界大戦 ー Leviathan
Scott Westerfeld 448ページ(ハードカバー) Simon Pulse 発売日:2009/10/6 YA(ヤングアダルト)/SF/冒険アクション http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1416971734 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1416971734 パラレルワールドでの第一次世界大戦が舞台。1914年6月28日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承候補フランツ・フェルディナンド大公(Archduke Franz Ferdinand )とその妻が暗殺され、それがきっかけになって第一次世界大戦が始まる。欧州の国々はダーウィンの発見から遺伝子操作で生物武器を生み出した英国を中心とする「Darwinist」と歩くロボットタンカーのような機械技術にたけたドイツを中心とする 「Clanker 」の二大勢力に分かれていた。戦争に突入したいドイツは平和主義者のフェルディナンド大公を暗殺し、彼の一人息子で14歳のAleksandarの暗殺も狙う。Alekは、父親の忠実な部下たちの援助でStormwalkerという2本足で歩く戦闘車で脱出し、逃亡の身となる。いっぽうの英国では、遺伝子操作で生み出した新生物が武器として使用されていた。空を飛ぶことができる巨大な生物を使った英国空軍に志願した14歳のDylan…
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醒めない悪夢に閉じ込められたようなSFーThe Maze Runner
James Dashner384ページ(ハードカバー)Delacorte Books for Young Readers2009年10月6日発売予定YA/SF・ファンタジー(ディストピア) http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385737947 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385737947 作動中の箱の中で目覚めた少年Thomasは自分の名前以外の記憶をすっかり失っていた。やがて止まった箱から救い出されたThomasが到着したのは13歳から18歳くらいまでの少年だけが住む奇妙なコミュニティGladeだった。ThomasはGladeの住民Gladerたちにあれこれと質問するが、Thomasと同じように誰が何の目的で彼らをそこに送り込んだのか知る者はいない。唯一わかっているのは、彼らを閉じ込めているGladeの壁が日中だけ開き、その外にMaze(迷路)があるということだけだった。Mazeのパターンは毎日異なる。少年たちはMazeの謎を解けばそこから脱出して家に戻れる信じ、勇敢なMaze runnerらが日中Mazeを走り回ってパターンを記憶して戻り、マップを記録し続けていた。しかし、そこには恐ろしい怪物Grieverが潜んでおり、壁が閉じるまでにGladeに戻らないとMazeに閉じ込められGrieverに殺されることになる。 閉鎖された環境にもかかわらず、少年たちは農作業から酪農まで労働を分担し、規律ある安定した社会を作り上げていた。けれども、Thomasの到着で変化が生まれる。これまでは到着する新人は一ヶ月に一人、と決まっていたのに、Thomasの到着後すぐにまた箱が届いたのだった。そして、その箱に入っていたのは少女だった。 珍しく映画ではなく本の予告編なるものが作製されています。なかなかの出来なのでぜひご覧ください。 http://vimeo.com/moogaloop.swf?clip_id=7119805&server=vimeo.com&show_title=1&show_byline=1&show_portrait=1&color=00ADEF&fullscreen=1 THE MAZE…
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ダークなユーモアで人生とは何かを考えさせるSF青春小説ーGoing Bovine
Libba BrayDelacorte Books9月22日発売予定 496 ページヤングアダルト/SF/青春小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385733976 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385733976 16歳のCameronは、野心も人気もない、その場しのぎのぐうたら男子高校生である。両親の仲は危ういし、優等生で完璧な双子の妹は兄の存在を完全に無視している。つまらない人生をなるべく努力せずに過ごすしか興味のないCameronが狂牛病(Bovine Spongiform Encephalopathy、ゆえにGoing Bovineという題名)にかかり、余命わずかと知らされる。生きることも楽しまず努力もしなかったCameronだが、致命的な病にかかって死にたくないと焦る。病院でくさっているCam(Cameronの愛称) のもとにパンクっぽい身なりの天使Dulcieが現れ、世界が滅亡に瀕していて、それを救うのがCamの使命なのだと言う。滅亡の原因は量子物理学の天才で異次元をトラベルする方法をみつけたDr. Xという人物で、彼を見つければ狂牛病を治癒してもらえるとDulcieは告げる。そこでCamはDulcieのアドバイスに従い、ちびで神経質なゲーマーのGonzoと一緒に病院を抜け出してクレイジーな旅に出る。Camたちは伝説的なジャズトランペット奏者、クレイジーな宗教集団、そしてノームに身をやつしている北欧の神などに出会い、念願の初セックスも遂げる。これまで経験したことのないほど楽しい人生を送り始めたのだが、脳はだんだんスポンジ状態になってくる。Libba Brayをニューヨークタイムズ紙ベストセラー作家にしたGemma Doyle三部作(Great…
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The Hunger Gamesのエキサイティングな第二巻ーCatching Fire
400ページ Suzanne Collins Scholastic Press 2009 年9月1日発売予定 SF・ファンタジー/YA(ヤングアダルト) The Hunger Gamesを読んでいない方はあらすじを飛ばしてください (あらすじ-反転しています) 前回の悲劇の恋人を演じることで奇跡的に生き延びたKatnissとPeetaだが、Capitolにとってはそれは反逆のシンボルだった。Capitolに敵視されていることを知るKatnissとPeetaは家族たちを守るために恋人の演技を続けることを選んだが、既にほかの地方(districts)では謀反の動きが起こりつつあった。謀反に参加することよりも自分と家族が生き延びることだけを考えていたKatnissだが、Capitolは謀反を押さえるために歴史上異例のHunger gamesを企画してシンボル化しているKatnissを排除することを企む。このHunger gamesはこれまでに増して残酷なものだったが、そこにはKatnissすら知らない秘密の動きがあった。…
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村上春樹を英語で読んでみよう-Hard-boiled wonderland and the end of the world
私が一番好きな村上春樹の作品は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」です。 でもこれを読んだのはけっこう遅くて、アメリカに移住してからのことでした。今は移動してしまったケンブリッジの「流石書店」に上巻しかなく、下巻を注文して読み始めたところ下巻が来るのを待てなくなってしまいました。どうしても最後まで読みたくて、翌日ふたたび「流石書店」に舞い戻り、英訳版を買いました。面白いのはタイトルがHard-boiled wonderland and the end of the world と順番が逆さまになっているところです。 さて、下巻も届いたので、それから日本語で再び読み直したところ、なんだか4つの世界ができてしまったような奇妙な気分になりました。この不可思議な感覚、おすそわけしたいなぁ、とずっと思っていました。 昨日Google Booksにembedする新機能が発表されてそれをチェックしてみると、出版社のRandom HouseがHard-boiled wonderland…
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時をかける彼と戻りを待つ彼女の時を超えて続くラブストーリー The Time Traveler’s Wife
Audrey Niffenegger Mariner Books 2004年5月発売 560 pages SF/商業的文芸小説/ラブストーリー 図書館司書のHenryは、”Chrono Displacement”症候群という架空の疾患に侵されていているために、予期しないときに予期しない時間と場所に突然タイムトラベルをしてしまう。飛んでゆく時は、未来の場合もあり、過去の場合もあり、予測はできないが、たいていは彼にとって重要な意味を持つ時である。 問題は、タイムトラベルの際に肉体以外は移動できないこと。だから別の時間に出現するHenryは全裸で、きわどいトラブルに巻き込まれる。何度も危機に瀕した彼は問題を解決するために一定のスキルを身につけるようになった。 また、タイムトラベルがHenryにもたらしたのは、ラブストーリーのパラドックスである。 Henryは28歳のときに初めて20歳のClareに出会うが、Clareは彼のことをずっと知っていると言う。実はClareは6歳のときに40代のHenryに出会い、彼が28歳になるまでに何度も会っていたのだ。 図書館での出会いから時間は過去と未来に飛びつつ進行する。現在、過去、未来のHenryとClareの視点を交えるうちに、しだいに過去と未来のタイムトラベルが重なり合ってくる。 現在にとどまってClareと普通の幸福をつかみたいHenryのフラストレーションと、いつ消えていつ戻ってくるのかわからない夫を待つClareの不安を、SFというよりもは、純文学のようにリリカルに、切なく、情熱的に描いている。…