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ハチャメチャな展開が子供にウケそうなニール・ゲイマンのミニSF 『Fortunately, the Milk』

著者:Neil Gaiman(文)、Skottie Young(イラスト)

ハードカバー: 128ページ

出版社: HarperCollins

ISBN-10: 0062224077

発売日: 2013/9/17

適正年齢:G(3歳から小学生まで)

難易度:中級レベルと初級レベルの中間(難しい言い回しがあるが、基本的には平易な英語)

ジャンル:児童書、SF、ユーモア、冒険

キーワード:異星人、海賊、恐竜、ナンセンスユーモア

 

お母さんが出張に出かけた留守の間、お父さんは子供たち二人の面倒をみることになる。新聞を読んでいるとすぐに上の空になるお父さんは、最初の朝からミルクを切らしてしまう。

かけるミルクがないと朝食のシリアル(日本でいうコーンフレークはその一種)が食べられないと言う子供たちのために、お父さんはミルクを買いに出かけることにする。お父さん(著者ゲイマンのようにイギリス人らしい)も、紅茶に入れるミルクがないと困っちゃうからでもある。

でも、家の近所にあるお店に行ったお父さんはなかなか戻ってこない。


子供たちがしびれを切らした頃に戻ってきたお父さんは、ミルクを買った後で巻き込まれたとんでもない出来事について語る。なんと、異星人に誘拐されちゃったというのだ。

地球の明け渡しを迫る異星人、怒りっぽい女海賊、タイムマシンを発明したステゴサウルス…などのキャラクターや支離滅裂な展開は、私の体験からも、4歳くらいから6歳くらいの子供たちにピッタリである。この本で最も重要なのが「ミルク」だというところもいい。

すべてのページにイラストがあり、ストーリーの流動的なフォントと上手くからみ合っている。日本人には馴染みがないタイプのイラストだが、だからこそ楽しめるのではないだろうか。

せっかく私好みのイギリス的な表現が多いので、声に出して読んでみた。もちろん、キャラクターによって声も変えた。自分で言うのもなんだが、女海賊とステゴサウルスのキャラは、なかなかの出来だったのではないかと思う。こういうとき、4歳くらいの子供がいた時代がなつかしくなる。どこかから借りてこようかと思うくらいだ。

最も楽しめる適正年齢は4〜6歳だと思うが、英語圏では大人の(ゲイマンファンの)読者が多く、彼らの評価も高い。ページが少なく、軽く読んで楽しめるので、ちょっと上のレベルに挑戦したい初級レベルの読者におすすめである。

 

 

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