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「クリスチャン・ロマンス」ってどんなロマンスなの?

ブログ読者の方からロマンス分野でよく見かける「Christian Booksとはどういうものか?」という質問をいただきましたので、ここぞとばかりに今日のテーマにさせていただきました。

ロマンスブックの定義については以前にも簡単にご説明しましたが、その中でもアメリカ合衆国独自の存在が「クリスチャン・ロマンス」です。マイナーな分野だと想像されるかもしれませんが、 Book Expo Americaに行くと、専門の大きなブースがあってびっくりします。それほど読者が多く、売れているカテゴリーなのです。この分野だけの出版社もありますし、ハーレクイーンのような大手に属するSteeple Hillといった出版社もあります。

ヒロインとヒーローが障壁を乗り越えて最後にハッピーエンドになるのは他のロマンスブックと共通していますが、「クリスチャン・ロマンス」としての特徴はだいたい次のような感じです。

1)ヒロインが男性との関係を通じて人生と自分の存在意義を見いだす。女性は純粋無垢で男性に尽くすタイプ、男性は高圧的で筋肉もりもりのマッチョが多い。(個人的には、登場人物に深みや意外性がないのがロマンスブックの最大の難点)

2)すべてのストーリーの背景にある重要なテーマ:God’s Redeeming Love(神の贖罪の愛)

3)宗教的な葛藤がプロットの中心になる。多くの場合、主要人物がキリスト教の教義に基づいた愛を受け入れることで過去の罪を贖罪することができる。

4)教義に背く非道徳的な行為は文中に出てこない:例えば、婚前交渉、バイオレンス、罵り言葉(f**k、sh*t, h*ll)、ドラッグ、など。

5)ほとんど「結婚」あるいは「婚約」でハッピーエンドとなる。

6)読者は殆ど中西部に住む白人の中流階級から低所得者階級。大半はキリスト教で、特に保守的な福音主義(evangelicalism)の信者。 生まれつきの男女の役割差を信じており、「クリスチャン・ロマンス」を読むことで「自分がより良い人物になったような気分」になれると語る(The Journal of Religion and Popular Cultureの論文より)。

Francine Riversは、この分野で最もよく売れている作家のひとりらしいです。

彼女の作品に対するアマゾンの感想を読んでいると、まるで宗教的な学びのためにロマンスブックを読んでるみたいなところがあります。マジにGod’s Redeeming Loveを賛美しているのですから…。
こういうの読むと、私は「ただのロマンスブックなんだから、そんな深読みせずに楽しむだけでいいじゃないの」と言いたくなりますが…。

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お金を出して読む前にどんなものか試してみたい、という方にはハーレクインロマンスから無料ダウンロードしてみてください。


私はまだ読んでいませんが、 この中で「Homespun Bride」がクリスチャンロマンスに匹敵するようです。

P.S.

まったくの余談ですが、アメリカには「クリスチャンロック」のレーベルもあります。

これもファンはキリスト教福音主義の信者なのですが、このカテゴリーで人気になると大きなコンサートホールが埋まるほど売れます。知人がこれに属するロックバンドをプロデュースしているのですが、レーベルとの契約が切れる前に(違約金を払わずに)手を切る最も手っ取り早い方法はメンバーにセックス&ドラッグのスキャンダルを起こさせることなんだそうです。するとあちらのほうから契約を切ってくれるということです。なるほど〜と思いました。

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