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オバマの回想録は、類まれな人物のまだ終わっていない成長と冒険の「サーガ」 Promised Land

<p>作者:Barack Obama<br &sol;>&NewLine;Hardcover &colon; 768 pages<br &sol;>&NewLine;ISBN-10 &colon; 1524763160<br &sol;>&NewLine;ISBN-13 &colon; 978-1524763169<br &sol;>&NewLine;Publisher &colon; Crown<br &sol;>&NewLine;発売日:November 17&comma; 2020<br &sol;>&NewLine;適正年令:PG15(高校生以上)<br &sol;>&NewLine;難易度:7&sol;10(日本で英語教育を受けた人には読みやすい文章)<br &sol;>&NewLine;ジャンル:回想録(回顧録)<br &sol;>&NewLine;キーワード:アメリカ大統領、ホワイトハウス、政治、バラク・オバマ<&sol;p>&NewLine;<p><a href&equals;"https&colon;&sol;&sol;www&period;amazon&period;com&sol;Promised-Land-Barack-Obama&sol;dp&sol;1524763160&sol;ref&equals;as&lowbar;li&lowbar;ss&lowbar;il&quest;crid&equals;28SZ8XNQ4NWFW&amp&semi;dchild&equals;1&amp&semi;keywords&equals;promised&plus;land&plus;book&plus;obama&amp&semi;qid&equals;1607546169&amp&semi;sprefix&equals;promised&plus;land&comma;aps&comma;186&amp&semi;sr&equals;8-1&amp&semi;linkCode&equals;li1&amp&semi;tag&equals;youfanclu-20&amp&semi;linkId&equals;caa7de5cfbc5ec44f7ecadde80079eb9&amp&semi;language&equals;en&lowbar;US" target&equals;"&lowbar;blank" rel&equals;"noopener"><img src&equals;"&sol;&sol;ws-na&period;amazon-adsystem&period;com&sol;widgets&sol;q&quest;&lowbar;encoding&equals;UTF8&amp&semi;ASIN&equals;1524763160&amp&semi;Format&equals;&lowbar;SL110&lowbar;&amp&semi;ID&equals;AsinImage&amp&semi;MarketPlace&equals;US&amp&semi;ServiceVersion&equals;20070822&amp&semi;WS&equals;1&amp&semi;tag&equals;youfanclu-20&amp&semi;language&equals;en&lowbar;US" border&equals;"0" &sol;><&sol;a><img style&equals;"border&colon; 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Hatoyama was Japan’s fourth prime minister in less than three years and the second since I’d taken office)」と軽く触れただけだ。「A pleasant if awkward fellow」の部分を「感じ良いが厄介な同僚」とか「感じは良いがつきあいにくい」と翻訳した日本の記事が初期に流通したために「オバマは鳩山由紀夫元首相について『扱いにくい』『厄介だ』と批判した」という印象が広まってしまったようだが、それはうがち過ぎだ。<&sol;p>&NewLine;<p>アメリカ人がawkwardという表現を使う典型的な状況は、何年も会っていない人と道でばったり会って親しげに名前を呼ばれたのに相手の名前が思い出せない時とか、Eメールを間違った相手に送ってしまった時とかだ。人物に関しては、「その場の雰囲気や状況といったニュアンスを察知できない人」つまり「空気が読めない人」についてよく使う表現だ。英語ネイティブのビジネス書作家でもある筆者の夫も「つきあいにくい人物だと思ったらオバマははっきりとそう書く」と言うが、私も同感だ。ボキャブラリーが豊富なオバマのことだから、もっと素晴らしく皮肉な単語で「扱いにくい奴」と描写してくれたことだろう。「厄介だ」と言われるほど重視されてはいない。<&sol;p>&NewLine;<p>それとは対照的に、オバマが当時の天皇皇后両陛下(現在の上皇と上皇后)に対して抱いた好意や尊敬の念は、文章からしっかり伝わってくる。オバマがお辞儀をしたことについてアメリカの右派が「反逆的だ」「裏切り者」と批判したことについては、「アメリカの右派のこれほどまで大部分が、いったいいつ、すっかり正気を失うほど怯えて自信をなくしたのだろう」と呆れを隠していない。<&sol;p>&NewLine;<p>オバマの回顧録でも明らかなように、アジアでの日本の存在感は薄くなっている。数多く出ているトランプ暴露本でも、日本についての記述は片手で数えられるほどしかない。筆者が記憶している中では、最近の回顧録の中で日本を重視する記述があったのは、2014年刊行のヒラリー・クリントン著『Hard Choices 』だった。<&sol;p>&NewLine;<p>オバマ政権で国務長官になったクリントンが真っ先に訪問したのが日本だった。クリントンは、いっときはアメリカを脅かす経済力を持っていた日本の経済が後退している懸念を説明した後で、「(それでも)日本はいまだに世界最大の経済大国のひとつであり、世界的な金融危機に対応するための主要なパートナーである。この地域(アジア)における我々の戦略の礎が(日本とアメリカの)同盟関係だと(オバマ大統領の)新政権がみなしていることを強調するために私は最初の訪問先として東京を選んだ」と書いた。少なくとも、クリントンは2009年当時には日本をそれほど重視していたのだ。日本に関して言えば、オバマの回顧録に書かれていることよりも、1ページしか書かれていないという国際的な影響力の低下のほうが問題ではなかろうか。<&sol;p>&NewLine;<p>バラク・オバマは、Promised Landの前に2つの回顧録を書いている。最初の『Dreams from My Father』は、彼がミシェルと結婚した直後に書いたものであり、政治家になる前のものだ。2作めの『The Audacity of Hope』はオバマが連邦上院議員だった2006年に刊行されたものであり、2004年の民主党全国大会での有名なスピーチをベースにしている。<&sol;p>&NewLine;<p>最初の回顧録では、まだこれからの人生で何を達成するのかわからない若者の葛藤や、夢と不安を感じる。2冊めのオバマは、自分だけでなく、多くの人々に夢と可能性を信じさせる力を持つスーパーマンだ。だが、3冊めのオバマは、多くの障壁にぶつかり、自分にできることの限界を自覚し、そのうえでベストを尽くそうとする実務家である。<&sol;p>&NewLine;<p>これらの回顧録をまとめると、オバマという類まれな人物の成長と冒険のサーガになる。筆者は「ハリー・ポッター」シリーズの最終巻である第7巻が発売される直前に第1巻から6巻までを読み直したのだが、本書『Promised Land』の後編が発売される前には、同じように『Dreams from My Father』から順に読み直そうかと思っている。全部読み直すのには時間がかかりそうだが、前編を読んだ限りでは、その価値はありそうだ。<&sol;p>&NewLine;<p>P&period;S&period;<br &sol;>&NewLine;ハードカバーには写真が入っているのがいいが、ページ数の多さにおびえてしまう人もいるだろう。そういう方には、オバマ自身が読んでいるオーディオブックがオススメ。声を聴いているだけで、ほっとしてくる。<&sol;p>&NewLine;

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