Here Be Dragons

作者:Sharon Kay Penman

1985年初刊

ジャンル:歴史(13世紀ウェールズ)/歴史ロマンス

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13世紀ウェールズの偉大なる英雄とその妻の劇的な人生

13世紀のウェールズ(Wales)は内部で分裂し、英国からの度重なる侵略にそれぞれが応戦しながらも、統一することができなかった。英国の鋭利で冷酷な統率者の国王John(ジョン)は、ウェールズとの政治的な絆を作るために非嫡出の娘Joanna(ジョアナ)を北ウェールズの王子Llewelyn(ルウェリン)の妻として与える。

フランスで育ち、若くして年上のLlewelynの妻になったJoannaは、最初のうちよそ者として孤立し苦しむが、カリスマのあるLlewelynを愛するようになり、政治的にも夫を助けるパートナーとなる。

しかし、英国王Johnは何度もWalesへの侵略を試み、父のジョンへの強い愛と忠誠心を持つJoannaは父と夫のどちらも選ぶことができずに葛藤する。

ウェールズを統一した英雄として名を残す実存の大ルウェリン(Llewelyn the Great:ルウェリン・アプ・ヨーワース)とその妻Joannaの波乱に満ちた生涯を、情熱的に語った歴史小説。

作者のSharon Kay Penmanは、歴史小説家としては大御所で、この本を含めて彼女の作品は歴史小説ファンから絶大な支持を得ている。

●読みやすさ ★☆☆☆☆

文章そのものは簡潔なのですが、長いのが障壁になると思いますので★1つにします。ペーパーバックは細かい字で720ページあります。

LlewelynJoannaそれぞれの子ども時代、そして国王Johnの若者時代の逸話に(けっこうたくさんの)ページが割かれているので、そのへんも忍耐がいるところです。けれども歴史モノが好きな方は、そのディテールを楽しむことができるでしょう。

いったんLlewelynJoannaが出会うと、そこからは2人の感情の駆け引きが始まり、胸躍る場面が増えますからずっと読みやすくなってきます。

●ここが魅力!

日本人の私たちはウェールズとイングランドの差なんて気にしたこともありません。歴史を学ぶ機会もありませんでした。

でも、この本を読むと、ウェールズとイングランドの風習や考え方には大きな差があることがわかります。結婚や女性の人権、といったことについてもウェールズ人はまったく違う観点を持っていたのですね。ウェールズ人のほうが現代的なのです。

それにしても、英国人男性にくらべてウェールズの男性の荒々しさの魅力的なこと!

それから、王が浮気をするのは当然のことだけれど、王妃が浮気をすると死刑が当然というモラルは現代の私たちにはショックです。実際にLlewelynJoannaがそういう試練を体験した、という史実(小説はその解釈ですが、実際にあったことです)には驚きましたが、その後の展開には(Pennmanの解釈とはいえ)意外で胸が熱くなりました。

●アダルト度 ★★★★☆

頻発はしないのですが、セックスシーンはあります。

また、政略結婚や夫への忠誠心なんてテーマは子供にはつまらないでしょう。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

The Sunne in Splendourby Sharon Kay Penman

The Pillars of the Earthby Ken Follett

The Boleyn Inheritanceby Philippa Gregory

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