男性の繊細で気高くてやさしい「お気持ち」を傷つけずに女性がひっそりと成功する方法

洋書ファンクラブで以前レビューしたHow to Be Successful without Hurting Men’s Feelingsの邦訳版を翻訳させていただきました!

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本書の作者サラ・クーパーのことを知ったのは、新型コロナウィルスのパンデミックが始まった2020年の春でした。当時アメリカの大統領だったドナルド・トランプは、体内への紫外線照射や消毒剤の注射などとんでもない素人療法を考えついては、あたかも素晴らしい発明のように公の場で発表していました。こういった大統領の言動は、得体が知れない感染症に対する恐怖と屋内退去勧告による閉塞感を倍増させるものでした。

不安、猜疑心、怒りで満ちていたその頃のTwitterで見かけたのがサラの口パク映像です。シンプルな作りなのに、サラの絶妙な表情とタイミングのおかげでトランプの言葉のバカバカしさが際立ち、つい吹き出してしまうのです。トランプが生み出している不安や怒りを笑いに変えてくれるサラに感謝した人は多かったと思います。

サラはYahoo!やGoogleなど有名なIT企業で勤務しながらスタンダップコメディ(観客の前で演じる即興話芸)を演じてきたということでした。仕事をしながらネタを集めていたことが想像できます。Googleに勤務していた時に書いたブログ記事「会議で賢い印象を与える10の秘訣」がバズったのをきっかけにサラは会社を辞め、自己啓発書のパロディである100 Tricks to Appear Smart in Meetings(会議で賢い印象を与える100の秘訣)と本書を刊行しました。どちらも面白いのですが、沢山購入してアメリカ人の姪や甥、友人に贈ったのは本書のほうです。

私が会社員だったのは21世紀のシリコンバレーではなく20世紀末の東京ですが、どのページにも「あるある!」と同感してしまいました。ひとりで笑ったりムカついたりしているよりも多くの人と共有して職場環境や社会を変える対話を生み出したいと思うようになり、亜紀書房の編集者の足立恵美さんに「日本の女性にも読んでもらいたい」と相談をもちかけて誕生したのがこの本です。

多くの人と「あるある」体験をシェアし、対話をスタートしていただければこれほど嬉しいことはありません。