Life’s a campaign

著者:Chris Matthews
2007年10月初刊
ノンフィクション/政治

カチンとくる部分が多いけれども、アメリカの政治のカラクリを覗き見するのには最適

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著者のクリス・マシューズは、若かりし頃ジミー・カーター大統領のスピーチライターを勤め、現在はMSNBCの「ハードボール」という政治番組の司会をしている自称「政治ジャンキー」のジャーナリストです。政治の世界が好きで好きでたまらない、というのは彼を見ているとよくわかります。共和党か民主党かにかかわらずゲストにいいかげんなプロパガンダをさせない鋭い質問をするところは気に入っているのですが、質問をしておきながら相手に答えるチャンスを与えずに自分で返事をする悪い癖があります。また、唖然とするような偏見に満ちた発言もします。それについては別のブログで書いたので省きますが、「Oh shut up, Chris!」とテレビに向かって言い返しつつも毎日見てしまうのは、夕食の支度と後片付けが彼の番組の時間帯に重なるからというだけではなく、政治ジャンキーを魅了するコツを心得ているからだと思うのです。
Life’s a campaign(人生はキャンペーンだ)」というタイトルをつけるだけあって、マシューズは体験から得た世渡りの知恵をすべて政治の世界の戦略に例えています。
私がこの本を「好き」と言えない理由は、マシューズの見解があまりにも独断と偏見に満ちたものだからです。彼は政治家の言動をすべて戦略として分析するのですが、私はそんな単純なものではないと思うのです。(彼が嫌いなヒラリー・クリントンも含めて)政治家だって、自分が本当に信じていることだからこそ実行することがあるはずです。それに、人は勝つことや偉くなるためだけに生きているわけじゃあないと思うのです。この本をそのまま鵜呑みにしたら、とてつもなく空虚な人生を生きることになりそうです。

そういったわけでLife’s a campaignをハウツー本として読んで世渡り上手になることはお勧めできませんが、それを承知の上でしたら読む価値はあります。というのは、政治関係の本の中では飛びぬけて読みやすく、しかもアメリカの政治のカラクリを覗き見させてくれる本だからです。

読みやすさ ★★★☆☆ 
語り言葉のようで非常に簡単な英語です。ただし、政治に関する専門用語は出てきますのでそれが同じ★数のヤングアダルト本とは異なるところです。でも政治に興味がある人でしたらとても簡単に感じるでしょう。

ここが魅力!
ともかく読みやすいこと。
雑誌で映画スターの噂話を読む感覚で政治の世界を読むことができます。

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