ダークでセンシュアルな歴史ミステリー-What Angels Fear (Sebastian St. Cyr Mystery 1)

作者:C.S. Harris (Candice Proctorのミステリー用ペンネーム)
2005年発行
歴史ミステリー(19世紀英国)/政治スリラー/ロマンス(やや)

政治的策略、スパイ、過去ある女優、猟奇殺人……一度読み始めると病みつきになる、19世紀ロンドンの上流階級を舞台にしたダークなミステリーシリーズ

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「What Angels Fear」は、昨日(3月20日)ご紹介したCandice Proctor(ミステリー用ペンネームC.S.Harris)のSebastian St. Cyr ミステリーシリーズの第一作です。

1811年の英国が舞台。
絶望的な出来事を忘れたいがために戦地に諜報員として赴いたデヴリン子爵のSebastian Alistair St. Cyrは、5年後に戦争の正当性や愛国心への疑念を抱いて帰国する。だがその直後に女優Rachel Yorkのレイプ殺人のぬれ衣を着せられ、逃亡者になる。
わが身の潔白を証明するために諜報員の技術を活かして単独でRachel Yorkの殺人犯を探そうとするが、Rachelの過去には、同僚の男優、トーリー党(保守党の前身)の政治家、芸術家、政治家と繋がっているフランス人……と怪しい人物たちがからんでおり、どれを追っても壁にぶつかってしまう。
逃亡者の立場に限界を覚えるSebastianに援助の手を差し伸べたのは、皮肉なことにRachelの同僚で彼を戦地に送る原因となった元愛人の女優Kat Boleynだった。
Katだけでなく、Sebastianの家族たちも彼には語らない暗い秘密を抱えている。

●ここが魅力!
作者のC.S.Harris (本名Candice Proctor)は、大学で考古学を学び、18、19世紀のヨーロッパの歴史で博士号を取り、大学で歴史を教えていただけあって、歴史的な考証がしっかりしています。また、父と夫が米軍の諜報機関に勤め、本人もCIAからリクルートされたことがあるくらいですから、政治的な策略にもリアリティがあります。
政治的策略、スパイ、猟奇殺人、ダークなロマンス……と盛りだくさんの歴史ミステリー/スリラーです。また、この時代の英国の上流階級がどういうものであったのかを読むのも(私にとっては)楽しみのひとつです。
嫌なことがあると酒におぼれて自暴自棄になるけれども実はロマンチストで正義感あるSebastianと、若くして毅然としたリアリストのKat Boleynの絶望的なロマンスもこのシリーズをaddictiveにしている要素のひとつです。

●読みやすさ ★★★☆☆
★★と★★★の中間です。
19世紀英国の雰囲気に慣れれば、あとは簡単に感じるでしょう。

●アダルト度 ★★★★☆
★★★と★★★★の中間程度です。セックスシーンはそれほどではないのですが、猟奇殺人がけっこう生々しいかな、という感じです。私がそういうのを苦手なだけかもしれませんが。

●この本が気に入った方はこんな本も
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Lady Julia Grayシリーズ

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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