大河歴史ロマンスといえば...Outlander

著者:Diana Gabaldon
初版:1991年
ジャンル:歴史ロマンス/SF(タイムトラベル)

内容:歴史、冒険、アクション、戦争、政治、魔女狩り、ファンタジー、タイムトラベル、セックス、バイオレンス...と盛りだくさんの大娯楽小説

あまりにも有名なのでいまさら私が書く必要はないと思っていたのですが、問い合わせが多いのでとりあえず書評なぞを...

従軍ナースのClaireは、第二次大戦の終戦後夫のFrankと第二のハネムーンででかけたスコットランドで古代のストーンヘンジのような石の裂け目をとおり抜け、1945年から1743年にタイムトラベルしてしまう。状況が分からず混乱しているClaireが最初に出会ったのは、Frankの祖先で”Black Jack”と呼ばれて恐れられている英国軍大尉のJonathan Randallだった。Claireは強暴なRandallから逃れようとして英国軍と敵対する立場にあるスコットランドのMacKenzie氏族(クラン)たちに捕まる。
当時はステュアート朝の復活を企むジャコバイト運動が盛り上がっており、ジャコバイト支持か英国に忠誠を誓うかを決めかねるMacKenzie氏族長の弟DougalはClaireが英国軍のスパイであることを疑う。一方のRandall大尉もClaireの正体を暴こうとするが、Claireがスコットランドの所有物になれば英国軍に引き渡す必要がなくなるので、Dougalは若い戦士のJamieにClaireと結婚するように強要する。真相を語れないのでスパイの容疑をはらすことができないClaireは、MacKenzie氏族と行動をともにしながら未来に戻る鍵となるヘンジの場所に戻る機会を狙う。
ClaireとJamieのドラマチックなロマンスだけでなく、いっときたりとも飽きない冒険やアクションに満ちている。また、1745年のジャコバイトの反乱と1746年の悲劇的なカロデンの戦い前夜のハイランド地方(北部山岳地帯)と人々が愛情をこめて描かれており、いったん読むと癖になる大河小説である。

●ここが魅力!
セックスシーンが赤裸々すぎるためにすっかりロマンス本扱いされていますが、これを少し抑えていたら歴史・冒険ファンタジーとして十分ベストセラーになったと思う壮大な娯楽小説です。歴史に興味がなかった人でもスコットランドのジャコバイト運動に興味を抱くようになるでしょう。
主人公のClaireは口が悪くて勝気ですが思いやりがある情熱的な女性で、女性特有の嫌な部分がありません。ハイランドの若き戦士Jamieは教養があり冷静な計算もできるのにハイランダーらしく単純な熱血漢になることもあり、独自のユーモアのセンスもあってつい吹き出してしまうことが何度も...。この2人の作り上げる強い絆には、ふだんロマンスを読まない人でもきっと憧れずにはいられません。米国のAmazonのレビューに男性読者からの賞賛があるのは、男性にとっても魅力的な関係なのでしょう。
中心人物だけでなく、登場人物全員の複雑な人間性が見事に描かれています。洗練されていないハイランダーの男性たちも女性が書いたとは信じられないくらい信憑性があります。
600ページもある長編ですが、18世紀のスコットランド北部山岳地帯(ハイランド)をまるでそこで暮らしているかのように実感することができ、現実の世界をすっかり忘れさせてくれるでしょう。

●読みやすさ ★★☆☆☆
文法としては簡単で、そういった意味では★★と★★★の中間です。

スコットランド訛りもありますし、長編で、英語の表現に慣れていないとわからないジョークもあるのですが、なぜか英語力があまりない人でもすんなり読めるようです。たぶん、のめりこみやすい小説なのでしょう。

●アダルト度 ★★★★☆
赤裸々な部分もバイオレンスも多い作品です。目を背けたくなる部分もあり、それに辟易する方がいるかもしれません。

●Outlanderシリーズ(2015年update)
いったんこの本にはまると、現在出版されている6冊全部いっきに読みたくなります。ネタばれになるので、3巻以降の情報は書きません。

2.Dragonfly in Amber

舞台はスコットランドからフランス、そしてふたたびスコットランドへ。ClaireとJamieはジャコバイトの反乱に巻き込まれます。本作品を読むときには必ずVoyagerを購入しておくこと。でないと続きが読みたくて困ることに。

3. Voyager
4. Drums of Autumn
5. The Fiery Cross
6. A Breath of Snow and Ashes
7. An Echo in the Bone
8. Written in My Own Heart’s Blood (2015)

 

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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