好きになろうと努力してもダメなこともある

「多読三原則」のひとつは「進まなくなった本は後回し」です。そのことについては以前にお話しました

ベストセラーでアマゾンの読者評価が良くても、自分には合わない本というのがあるものです。それを我慢して読むのは時間の無駄なので、「つまらない」と思ったら潔くやめたほうが良いと思います。

最近そういう本が続いたので、(作者には申し訳ないのですが)一例としてちょっとご紹介しておこうと思います。

ひとつは、Sherrilyn Kenyonの最新作Phantom in the Night (Bureau of American Defense)です。

 

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●あらすじ
気が強いブロンド美女の防衛機関コンサルタントと犯していない罪で服役したヒロイックな元軍人の軍事スリラー/ミステリー的ロマンス。

●感想
発表する作品がすべて必ずニューヨークタイムズ紙ベストセラーに躍り出る作家なので、試してみたいと思っていました。5月末のBook Expoで入手する機会があったので試したところ、最初の数十ページでうんざりしてしまいました。ロマンス分野ですから文章の出来や軍事スリラーとしてのレベルを評価するつもりはありませんが、主人公の男女のキャラが全然好きになれないし、会話がcheesyすぎて読み進めるのがつらくなってしまいました。読みすすめるのが苦痛なロマンスというのは困ったものです。ロマンスでも、文章がある程度のレベルに達していないと読み進めるのがつらいと私は思います。
Diana GabaldonのOutlanderシリーズなどは、ロマンスであってもストーリーテラーとしての才能をひしひしと感じますから、なぜこの作家の作品がベストセラーになるのか不思議です。

●読みやすさ ★★★☆☆
文法的にはとっても簡単で★★★★☆。でも私は入り込めなかったので★★★☆☆としました。

● アダルト度 ★★★★☆
それはもう大人向けのロマンスブックですからね、こんなものでしょう。

もうひとつは8月4日発売予定のThe Counterfeit GuestThe Blackstone Key
の続編)です。

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●あらすじ
前作The Blackstone Keyで出会ったMaryとBobだが、貧しかったMaryが遺産を相続して金持ちになって以来、貧しい軍人のBobは彼女を諦める決意をして徹底的にMaryを避ける。Bobの叔父が亡くなり、父を失った従妹が年上の金持ちの男性と結婚する。その男性が仏国のスパイと手を組んで英国社会の謀反を企むことを疑うMaryは英国のためにスパイを買って出る。Bobもまた別のルートから同じ相手の謀反を阻止する秘密の計画を命じられる。

●感想
ジョージアン時代の英国を舞台にした歴史ミステリー+軽いロマンスで、私の好きなSilent in the Graveなどと同じカテゴリーにくくられているのですから、楽しめることを確信していました。
ところが、ぜんぜん入り込めないのです。
まず、ミステリーだと思って読んでいたらそうではなくてスパイものでした。そのうえ、ヒロインがスパイになる過程に全然信憑性がありません。スリリングなところもスローすぎますし、ロマンスでも逃げ回っているだけのBobのどこにも魅力は感じません。意外性もなし。やっぱり第1巻のThe Blackstone Keyを抜かしたのが致命的だったかもしれません。
そうは言えど、The Counterfeit Guestのほうが上記のPhantom in the Nightより数倍も面白かったです。というのは、ストーリー以外で、当時の社交界のしきたりとか年寄りの女性の会話とかの詳細がけっこう面白いからです。文章も数倍ましです。

● 読みやすさ ★★☆☆☆
最 初「この本何年に書かれたの?」とチェックしたくらいオールドファッションな表現が多い本です。それがチャーミングに感じたのは最初の100ページくらい で、そのうちに「ああなんて回りくどい!いったい何を伝えたいの?」といらだちを覚えることが増えました。スパイものなのに展開がスローなのも読みにくさ に貢献しています。

●アダルト度 ★☆☆☆☆
登場人物2人のロマンスがこの三部作のキーになってるはずなのですが、キスシーン(すごくドライ)が一カ所あるだけで、あとは「いったい彼は何を考えているのかしら?」とMaryが悩み「Maryのことは考えないようにしよう」とBobが男らしく(?)不機嫌になっているだけです。

私はダメでしたが、上記の2つの作品を楽しく読み、高く評価している読者は沢山います。
だから誰かが悪い評価をしていても最初から「ダメな本」と決めつける必要はないし、多くの人が高く評価している本を好きになれない場合にも「自分の読み方が悪い」とか「理解力に欠けるのでは?」と落ち込む必要もないと思います。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

好きになろうと努力してもダメなこともある」への2件のフィードバック

  1. こんにちは。
     先日の「英語の多読をめざす方に」と共に、興味深くまた共感しつつ読ませていただきました。
     英語を再び勉強し始めて7,8年になります。最初の頃「多読」に出会い、よくある「おすすめ本」にチャレンジしてだめなことがたびたびありました。私はNichlas Sparks がだめでした。英語は易しいのにお話にのれないんですよね。それで、結局最近では「多読」とか「学習」からすっかり離れて「読みたい本」を読むようになっています。私が好きなのはKazuo Ishiguro、 Jhumpa Lahiri で比較的読みやすい英語ですが、それでも「もやもや」としたところが残るときはあります。好きなものはなんでも、もっと難解なものでも結構勢いで読んでしまうのですが、やっぱりもっと辞書をひいたほうがいいのかな?と思ったりして悩んでしまう今日このごろです。どんなものでしょうね? きっと「そんなこと聞かれても困る」と思われるでしょうけど・・・

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  2. こんにちは点子さん。
    私もSparksダメなんですよー。バーンズ&ノーブルで1冊4.99ドルのバーゲンでいくつか買って、「どうしてこれが売れるわけ?」と愕然としました。お砂糖だけを入れすぎたケーキみたいなんですから。
    私もLahiri大好きです。Kazuo Ishiguroは、ネイティブでも「わからん」、「入り込めん」と思う人が多いようです。私も姑に1冊贈ったのですが、「ダメだった」と言われました。友人とも語り合ったのですが、「Kazuo Ishiguroは二度目が美味しい」ようです。二度目になると意味がわかってくるし、文章の良さもわかってくる、という感じみたいですね。辞書を引くなら、すでにおおまかに内容を把握している2度目か3度目がいいと思います。どうしてもわからない部分だけね。そうすると読む邪魔にならないし、調べた単語が記憶に残ると思いますから。

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