類い稀な女性キャラクターLisbethとの永遠のお別れ — The Girl Who Kicked the Hornets’ Nest

Stieg Larsson
英国版:602ページ(ハードカバー)米国版:480 ページ(ハードカバー)
英国版:MacLehose Press( 2009/10/1)
米国版:Knopf ( 2010/5/25)
スリラー/ミステリー(Millennium シリーズ)

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The Girl Who Kicked the Hornets’ Nestは、本ブログをお読みになっている方ならご存知のようにスウェーデンのジャーナリストStieg LarssonのMillennium シリーズ、The Girl with the Dragon TattooThe Girl Who Played with Fire の続編です。Larssonは作品完成後に死去しており、これが出版される最後のThe Girl..シリーズです。米国では来年の5月まで発売されないので、待ちきれない私はBook Depositoryから注文しました。

まだ前の2作をお読みになっていない方は下記のあらすじを飛ばしてください。

前作で父に頭を打たれて生き埋めにされたが自力ではい出して反撃したLisbeth Salanderは、Mikael Blomkvistに瀕死の状態で発見された。当直していた救急部門の医師に奇跡的に命を救われたSalanderだが、逮捕され病院で拘留されているので身動きが取れない。また、その近くの病室には彼女の命を狙う父も入院しており、警察にも彼女の敵が浸透している。Blomkvistはリソースを活用してSalanaerを助けようと奔走するが、スキャンダルが表に出ることを恐れる諜報機関Sapo(CIAのような組織)の極秘グループThe Sectionは、全力でSalanderとBlomkvistを抹殺しようと試みる。
The Sectionの影響力はSapoや警察の上部にも及ぶが、その機関内にも正義を貫こうとする人々が存在する。
Salanderには病室内に密かに持ち込まれたPDAを使ってハッキングで反撃することしかできない。

今回の作品ではフェミニストのLarssonらしく、伝説の女性軍団アマゾネスがテーマで強い女性が数多く登場し活躍する。もちろんBlomkvistの女性関係はいつものように、「来るものは拒まず」。たぶんジョージー・クルーニーみたいな奴なのだろう。

Salanderのアクションが少ないことやBlomkvistとSalanderの関係が深まらないことに不満を覚えるかもしれないが、今回の作品でSalanderに関する陰謀は解決するので安心していただきたい。Larssonはシリーズを続けるつもりだったらしく、死後に4作と5作めのプロットが発見されている。だから、2人の仲は将来もっと深まったのではないかと思う。それは読者が勝手に想像するしかないようだ。

●ここが魅力!

ミレニアムシリーズ中、個人的には第二作の The Girl Who Played with Fireが最高で、次がThe Girl with the Dragon Tattooです。The Girl Who Kicked the Hornests’ Nest は、Lisbethが活躍する第二作に比べると彼女のアクションが少なく、しかも先が読めてしまいます。もっと不満なのはBlomkvistとSalanderの関係ですが、これは前述したようにLarssonは4作と5作のプロットを作っており、先の作品で盛り上げてゆくつもりだったのでしょう。ですから、われわれ読者が勝手にふたりのハッピーエンドを想像すれば良いわけです。

今回アクションが少ないゆえに気になったのは、文章。「3時間話した」とか「5時間話した」という表現の多さ。Larssonはジャーナリストですから仕方ないのですが、編集でなんとかして欲しかったです。

しかし、ジャーナリストらしいディテールは(DNAの研究論文に架空らしき日本人学者のものを使うなど)つまらないどころかかえって面白く、綿密な構成とともにLarsson独自の魅力とも言えます。

●読みやすさ ★★★☆☆

登場人物が多いのと、多くのサブプロットが同時進行するところが読みにくいかもしれませんが、文章としてはすっきり簡単で解釈の必要がなく、とても読みやすいと思います。

●アダルト度 ★★★☆☆

誘われたら誰とでも寝ちゃうBlomkvistですから、今回もそういう状況がありますが、彼の恋愛は前述の「3時間話した」程度の色気も何もないドライさです。バイオレンスも今回はマイルドです。過去のSalanderのレイプについての記述が最も露骨なので、それで★が3つです。

●本作品を読む前に読むべきMillennium シリーズ

The Girl with the Dragon Tattoo

The Girl Who Played with Fire

●映画化

Millenniumシリーズは地元スウェーデンではすでに映画化され、フランスなどでも公開されていますが、ハリウッド版はまだです。
下はスウェーデン版トレイラーで、Lisbethは残念ながら出てきません。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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