英国ジョージア王朝時代に花火作りを夢見た少女 The Book of Fires

Jane Borodale
368ページ(ハードカバー)
Viking
 2010/1/21
文芸小説/歴史小説(英国、ジョージア王朝時代)

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ジョージア王朝時代の英国では、労働者階級は慢性的な飢えと闘っていた。その典型の農村に暮らす17才の少女Agnes Trusselは、村の乱暴な若者に妊娠させられてしまうが、彼と結婚したくはない。けれども未婚の母になると汚名は家族にも及ぶ。悩んでも解決策が見つからないAgnesは、急死した隣人の老女の金貨を盗んでロンドンに逃げる。

Agnesは旅の途中で身なりの美しい親切な若い女性Lettice Talbotと出会う。LetticeはAgnesの秘密を察知して仕事を世話すると申し出るが、Agnesはその住所を失ってしまう。行く場所もなくさまよっていたAgnesは偶然の成り行きで花火を制作するJohn Blacklockの元で見習いとして働くことになる。厳格で気分屋のBlacklockだが、Agnesの手先の器用さと感の良さ、熱意にほだされてゆく。せっかく見つけた夢の職だが、妊娠がばれると追い出されるに決まっている。Agnesは嘘に嘘を重ねて秘密を守るが、妊娠が進むにつれ隠しておけなくなる。材料を売る出入りの青年Cornelius Soulが自分に好意を抱いていることを察知したAgnesは、妊娠が明らかになる前に彼に結婚を申し込ませる計画を立てるが….

●感想

ジョージア王朝時代の労働者階級の女性は、結婚すると頻繁な妊娠で死の危険に晒され、生き延びても子供と家族の世話で心身ともに疲弊するしかありませんでした。また、たとえ上流階級出身でも、未婚で妊娠したために家族から見放されて娼婦になるしかなかった女性もいました。不運なのは女性だけではありません。飢餓に負けて食べ物を盗んだだけで絞首刑になるほど厳しい法のもとでは、人々は生き延びるために嘘をつかなければならなかったのです。
The Book of Firesは、こういったジョージア王朝時代の、飢えに脅かされる田舎の村とすすや死体、汚物だらけのロンドン、容赦のない生活で心が荒んだ人々の嫉妬や懐疑心、といった厳しい現実をうまく描いています。このようなテーマのドラマにありがちのイージーな展開ではないところが、リアリスティックで尊敬に値する作品です。

けれども、不満がないわけではありません。
Agnesが故郷を捨てるまでの説明が不必要に長く、花火の開発の部分がもの足りません。せっかくThe Book of Firesという題名をつけたのですから、もっと当時の花火や新作の開発について書いて欲しかったです。でも、それは娯楽小説への期待であり、文芸小説としてはこの展開で良いと考える人もいると思います。

●読みやすさ ★★☆☆☆

英国の時代小説の雰囲気が良く出ている文章ですが、現代小説を読み慣れている人には入り込みにくく感じるかもしれません。けれどもいったん慣れたらこれが心地良く感じるかもしれません。
楽に読み進めるためには、英語での読書にやや慣れている必要があります。

●アダルト度 ★★★☆☆

若い女性の妊娠や娼婦のテーマを扱っていますが、シーンは短く、あまり露骨な表現はありません。高校生以上が対象です。

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