家族の良さを感じさせてくれる小学校高学年から大人向けの児童書 The Wanderer

Sharon Creech
320ページ(ペーパーバック)
HarperCollins; Reprint
2002/3/26
小学校高学年から中学生向け/航海/日記形式の小説/家族ドラマ

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13才の少女Sophie(ソフィ)は、母親方の叔父Dock, Mo, Stew、従兄のCody、Brianと一緒にアメリカ北部から祖父の住む英国へヨットで航海することになる。この物語は、Sophieと従兄のCodyの航海日誌で綴られる。

冒頭で両親と自分の性格の共通点を語るSophieの日誌を読んだ読者は、Codyの日誌になってSophieが3年前にひきとられたばかりの孤児だと知って驚くだろう。Sophieの日誌に登場する家族たちは彼女の血縁のように描かれているからだ。それだけでなく、航海の途中でSophieは家族にBompieの幼い頃の逸話を次々と語って聞かせる。叔父や従兄はそんなSophieの行動をどう解釈してよいのか戸惑う。「孤児」という言葉を出して嫌みを言ったり、直接質問をするBrianに対し、CodyはSophieの心情を気遣いながら観察する。

Sophieの過去とBompieの逸話の謎が中心にあるThe Wandererの重要なテーマは家族の絆である。
Dockという名の叔父は優しいが妻子のいない独り者である。Codyの父Moは息子や妻に暴力を振るう怠け者で、StewとBrianの父子は他人にあれこれ指図をして神経を逆撫でする。狭いヨットに閉じ込められてときおり険悪な雰囲気になる家族だが、大嵐を体験して絆を強める。

ニューベリー賞オナー入賞作

●ここが魅力!

Sophieが会ったこともないBompieの逸話を語るのは、夢見がちな彼女の創作なのか、それとも他に理由があるのか、この謎をSophieの日誌とCodyの日誌で追うのが面白いところです。また、航海の様子なども興味深く、まだ洋書を読むのに慣れていない大人におすすめの作品です。

●読みやすさ ★★★★☆

航海独自の単語や表現が出てきますし、”giddy up(乗馬用語のhurry up)”や”beauteous(becautifulの詩的表現)”といったこの家族が内輪で好んで使う表現などもありますが、それらをあまり気にしなければ簡単な英語です。320ページですが、1ページの文字数が少ないので実際はその半分くらいです。

●アダルト度 ☆☆☆☆☆

小学校低学年でもまったく問題のない作品です。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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