Month: May 2010

たぶん児童書と呼ぶべきではない複雑で深いファンタジー The Lost Conspiracy

Frances Hardinge 576ページ HarperCollins 2009年9月1日発売 YAファンタジー/(小学校高学年〜高校生 Battle of Kids Booksの中継でご紹介した作品のひとつ。   通常であればネタバレを避けるためや自分で発見する喜びを損なわないためにあらすじは最小限にしてますが、この本は非常に良い本であるにもかかわらず、「入り込みにくい」という欠陥があるため、通常よりも詳しく背景を紹介します。ネタバレがありますので、それを避けたい方はあらすじの一部をスキップしてください。 ******************************************************************** Gullstruck Islandでは、異なる風習を持つ多様な民族が共存してきた。どんなときにも笑顔を消さないLace民族はかつて異民族間の争いの仲介役として尊重されていた。200年ほど前にCavalcasteという民族が新たに島に移り住んだとき、Lace族は彼らに火山の麓に住んではならないと警告した。それは火山の怒りを買うからである。だが、よく肥えた土地に魅了されたCavalcasteたちはLaceの警告を無視してそこに住み着いた。その後Cavalcasteが一人一人消えてゆくという事件が起こり、Laceが火山の怒りを沈めるために彼らを誘拐して生け贄にしていたことが判明した。これを裏切りとみなしたCavalcasteはLaceを大量に殺害し、Laceはそれ以来島で最も迫害され軽蔑される民族となる。…

女はユーモアのセンスがなければ尊敬される資格がない(?)

角川映画「野生の証明」のキャッチフレーズに「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない」というのがありましたよね(古い話でごめんなさい!)。もともとはハードボイルドで有名なチャンドラーの私立探偵フィリップ・マーロウの台詞”If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I…