洋書に慣れるためには、ともかく沢山読むのが一番

ということで、今日は洋書ではなく、私も寄稿している「多聴多読マガジン」という隔月マガジンのご紹介です(6月号では電子書籍とキンドル、iPadなどについて書いています)。

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私は面倒くさがりなので英語の本を読むときに辞書をひかずに読み続けてきました。面白い発見は、知らない単語の意味を、いつの間にか「知っている」ことです。自分で「私って天才かも」と感動したことがありましたが、母国語の日本語だってそうやって身につけたのですから当然なのですよね。

米国で15年、その前の14年も英国など海外をうろつく落ち着かない生活をしていた私は日本の事情に非常に疎く、1年くらい前まで「多聴多読」というコンセプトや表現なんか知りませんでした。辞書を引かずに分かる程度の英語を沢山読んで、聴く。これを繰り返しているうちに自然に英語が身に付く、という考え方は、私が他人に偉そうに教えて来た方法とそっくりです。つい、「盗んだんじゃありませんよ」と言い訳したくなってしまいました。

多聴多読マガジンは、「洋書を読みたいのだけれど、どこから始めてよいのかわからない」あるいは「私にはモチベーションが必要だ」という方に、ぜひお薦めしたい雑誌です。ここに書かれていることはいずれも、 "it makes sense!"ですし、マガジンに載っている読み物とCDをこなせば、着実に英語力は上がって行くと思います。読むものも聴くものもぎっしり詰まっているので、全部利用すればお得な内容です。

とはいえ、私のように天の邪鬼でめんどくさがりの人もいるでしょう。そういう方は、だいたい意味が分かる簡単な本から挑戦し、どんどん数をこなせば良いと思います。要するに、自分が気楽にできて、長続きする方法を見つけるのが一番なのです。

洋書ファンクラブJr.の個別指導プログラムは、個々のお子さんに合わせた読書指導方法ですので、「多聴多読」とは異なります。

乾いたカンザスの田舎に蘇る地主一家の過去 The Scent of Rain and Lightning

Nancy Pickard
336ページ(ハードカバー)
Ballantine Books
2010/5/4
ミステリー

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0345471016 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0345471016

The Virgin of Small Plains でエドガー賞最終候補になったNancy Pickardの新刊。

カンザス州Roseは、牛の牧場を営む大地主のLinder一家を中心とした、狭い人間関係でなりたっているような田舎町である。 1986年、干ばつが続いていたRoseを激しい雷雨が襲い、Linder家の長男 Hugh-Jayが何者かに自宅で銃殺され、妻のLaurieが行方不明になる。2人の殺人罪で逮捕されたのは、Linder家が首にしたばかりのBilly Crosbyだった。

祖父母の家を訪ねていたために無事だった当時3歳の Hugh-JayとLaurieの娘Jodyは、23年後に母校の教師としてRoseに戻って来た。両親が住んでいた大邸宅での一人暮らしを始めたばかりのJodyのもとに、叔父3人(父の弟のChase, Bobby, そして妹のBellの結婚相手Meryl)がショッキングなニュースを届けにくる。両親を殺したBillyが再審のために保釈され、町に戻ってくるというのだ。弁護士になったBillyの息子Collinが検察側が証拠を隠蔽したことを明らかにし、再審が認められたのだった。

町で最も権威があるLinder家の祖父Hughと叔父たちは、再審を認められるようなずさんな手続きをした保安官を責めるが、Jodyは町の人々から異なる事実を耳にし始める。Billyは刑務所に入っているべき危険人物だが、あの夜Hugh-Jayを殺害できた筈はないようなのだ。Jodyは、自分が知らなかった両親の異なる姿や秘密を知るようになる。

●ここが魅力!

カンザスというと、すぐに想像するのが「オズの魔法使い」ですよね。ふだんの生活で は私がまったく触れることのない場所です。

Kansas-map 日本に住んでいる方には想像しにくいかもしれませんが、アメリカ合衆国は広いので「これがアメリカ」とまとめてしまうことはできません。西海岸のカリフォルニアと東海岸のニューヨークでは当然文化もファッションも異なりますし、東海岸同士のニューヨーク市とボストン市ですら相当違います。このミステリーの舞台のカンザス州は、カリフォルニアとニューヨークのちょうど中間地点くらいの米国のど真ん中に位置しています。けれども、距離が離れているロサンジェルスとニューヨーク市のほうがこの田舎町よりずっと似ているのです。西海岸と東海岸の都市部のアメリカ人にとっては、カンザスのほうがパリやロンドンよりも外国に近いのではないかと思います。

0 アメリカ中西部の文化にあまり興味がないので、ついそこを舞台にした小説まで避ける癖がありますが、せっかくエドガー賞最終候補になったPickardのアドバンスコピーを入手できるチャンスがあったので読んだところ、予想したよりずっと楽しめました。
というのは、 The Scent of Rain and Lightningが、ふだん触れることのない中西部の田舎の文化を肌で感じさせてくれるミステリーだったからです。現代の牧場のカウボーイたちの倫理観や価値観、銃が日常生活の一部になっている土地では当たり前の行為、そんなものがかえって新鮮に思えたのでした。ミステリーとしては、多少都合の良すぎるところがあったのですが、それを差し引いても読書体験を楽しむことができました。

すごく奇妙な偶然は、主人公がJohnny CashのCDを流しながらトラックを運転する場面です。ちょうど前日に、キャッシュによるデペッシュ・モードのカバー”Your Own Personal Jesus”を聴いていたので、その曲名が出て来たときには「きゃー」っと心中で悲鳴を上げました。そのうえ、読み終わった夜、雷雨でしたし、雰囲気にどっぷり浸からせていただきました。でも不気味な本ではありませんので、ご安心を。

下記はその曲です。


●読みやすさ:普通〜やや読みやすい
(日本語が読めない作者がネット翻訳して誤解することが多いので、★評価をなくしました)

大人向けの小説としては普通からやや読みやすいレベルです。
時間があちこちに飛びますが、それほど難しい飛び方ではありません。

●アダルト度

性的なシーンはいくつかありますが、露骨な表現ではありません。
高校生以上が対象です。

予告篇:みんなで読もうThe Omnivore’s Dilemma (Young Readers Edition)

洋書ファンクラブJr.で読書指導をしているMoeさん(小4)の提案で、The Omnivore's Dilemma(Young Readers Edition)を読み始めました。私たちが何気なく食べている食品について、いろいろと考えさせられる本です。そこでいつものように1冊全部を読んで感想を話し合うのではなく、少しずつに分けて深く話し合うことにしました。

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その内容を「洋書ファンクラブJr.」のほうに連載してゆきますので、ご興味のある方は、ぜひご覧になって、話し合いに参加してください。(その1

私たちが読んでいるのはベストセラーになったThe Omnivore's Dilemmaのほうではなく、小学校高学年から中学生向けに編集し直したYoung Readers Editionのほうです。両方持っているMoeさんによると、大人向けのほうには図がまったくないけれどもYoung Readers Editionのほうには図や絵が多いので読みやすいということです。小学校高学年から、と言っても化学のみならず政治経済に及ぶ内容がけっこう複雑で、日本であれば高校生レベルだと思います。したがって、洋書のノンフィクションを読んでみたい日本人の大人におすすめです。

下は、元になっている作品です。英語に慣れている方はこちらをどうぞ。

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マーク・トウェインの自伝、死後100年経ってついに出版へ

ピクチャ 3 トム・ソーヤー、ハックルベリー・フィンなどで有名なマーク・トウェイン(Mark Twain)の自伝が没後100年の今年、ついに出版されることになりました。

トゥエインはなんと5000ページにわたる自伝を書き上げていたのですが、「死後最低100年は出版しないこと」というメモ付きで残していました。その真の理由は学者たちのディスカッションに任せるとして、The Independent紙が挙げているわかりやすい説明は、「知り合いに迷惑をかけない」ことです。でも、私が支持したいのは、「出版を遅らせることで、セレブのステータスが好きだった著者は、21世紀でもゴシップをしてもらえることを確実にした("by delaying publication, the author, who was fond of his celebrity
status, has ensured that he'll be gossiped about during the 21st
century.")」という理由です。だって、トウェインですから、普通の理由では面白くない。

編集チームのリーダーRobert Hirst博士は(その理由が何であれ)「読者に本を買いたくさせるすべをよく心得ている作家だ("he was certainly a man who knew how to make people want to buy a
book'),"」と冗談を言っています。

100年も待たせただけあって、この自伝には彼のイメージを覆すような内容が満載のようです。特に人々が噂しているのが、妻Oliviaが亡くなった後の秘書Isabel Van Kleek Lyonとのスキャンダルです。親密だったのに、晩年の1909年に突然解雇したいきさつを400ページにわたってくどくど書いているというのはトゥエインファンにはショックかもしれませんね。Slutなんて呼んだりしているようですから。でも私は、もしかするとトウェインも晩年アルツハイマー症にちょっとかかっていたのかな、とも思ったりします。温厚だった人が歳を取って「嫁が財布からお金を盗んでいる」とか突然言い出すのって、たいていそういうケースですから。

非常に長いので、自伝は3部に分けられ、最初の1部が今年11月に保管先のカリフォルニア大学バークレー校から出版されるとのことです。

ファンタジー世界の案内書 Instructions

Neil Gaiman (文)
Charles Vess(イラスト)
40ページ(ハードカバー)
HarperCollins
2010年5月1日

絵本/童話/ファンタジー/詩 /4 歳〜ファンタジーの心を忘れない大人対象

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ファンタジーが好きで、ありとあらゆる洋書ファンタジーを読んでいる人であれば、そこにはある共通の約束事があることに気づいているだろう。
Neil GaimanのInstructions は、ファンタジーの世界でクエストをやり遂げ、わが家に無事帰還するためのInstructions(指示)が載っている旅先案内書である。表向きは4〜8才むけ児童書だが、実際はファンタジーマニアの大人向けの案内書ではないかと私は睨んでいる。

例えばこの一節だ。

Walk through the house.

Take nothing.

Eat Nothing.

妖精(フェアリー)の国で出されたものを食べると、二度と人間の世界に戻れないのが掟である。ファンタジー好きの大人はここで普遍のルールに気付くし、子供はこれから読むファンタジー世界の掟を学ぶ。

Remember your name.

「名前」は、欧米のファンタジーでは非常に重要な意味を持つ。名前は魔術であり、アイデンティティである。名前が変わると、その人の能力や本質まで変わってしまう。そして、名前を忘れると現実世界に戻れなくなる。

ところで、ゲイマンは無料(フリー)で与えることを奨励しているアーティストの一人である。下記のビデオも彼がTwitterで宣伝していたものだが、本の全てを見せている太っ腹ぶりだ。だが私はこのビデオを観るだけでは満足できなくて購入した。ざっと読むとそれこそ数分で通り過ぎてしまうが、絵を眺めつつ想像しながら読むと何時間でもこの世界にとどまることができる。何よりも、ファンタジーが書
きたくなってしまう。そんな絵本である。

ファンタジーマニアの親と童話好きの子が一緒に読めば、ここからもっと凄いお話が生まれるだろう。(このビデオを観ながら読むと発音もわかるし)ぜひ、この秘密の約束事に従ってクエストを描いてみて欲しい。きっと一生忘れられない思い出を創ることができるだろう。

想像力を刺激してくれるイラストは、伝説のSandmanに参加したイラストレーターの一人Charles Vessである。

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ある若者のパーソナルブランディング実体験 Me 2.0

Dan Schawbel
236ページ(ソフトカバー)
Kaplan
2009年3月31日初版
(改訂版は2010年10月発売予定)
ビジネス/マーケティング/パーソナルブランディング

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先日、日経BP社から邦訳版が出版されたMe 2.0ですが、アマゾンの内容紹介がちゃんとまとめてくれているので、それを引用させてもらうことにします。

◆ツイッター、ウェブサイト、ブログで「自分の価値」をアピールする!
ツイッター、ブログ、ウェブサイト——インターネットは、いまや「実名」で 自分らしさや強みを表現し、直接、企業や個人同士がビジネスを展開する場になってきています。

他人にはない自分の価値を「自分の ブランド」として認識して、ツイッターやブログといったソーシャルネットワークを通して、多くの人に認識してもらう。肩書きや目標を問わず、す べての人が価値ある自分ブランドを持ち、それを堂々と掲げていく——それが「Me2.0」です。

一方、ソーシャルネットワークは単なる道具でしかなく、自慢話と自分をマーケティングすることは別物です。本書は、具体的なエピソードも豊富に紹 介しながら、パーソナルブランディングに不可欠な、冷静の自己分析と地道な日々の活動・努力、心構え、相手との接し方、「本物の自分」を きちんと打ち出していく方法を説明していきます。就職、起業、キャリアづくりにどう結びつけていけばよいのかもわかります。

就職 活動に励む学生、キャリアづくりの考えている社会人だけでなく、ツイッターやネットでどう自分を表現していくかに悩んでいる人にも、ぜひ読んでほ しい一冊です。

英語のアマゾンの評価が高いのに日本での評価が低いビジネス書が多々ありますが、ダン・ショーベル(英語の発音はシャウベルに近い)のMe 2.0もそのひとつのようです。
それには2つの理由があると思います。1つは「日米のビジネス環境が異なる」こと、もう1つは「読者の作品への期待がずれている」こと、でしょう。後者の意味は、作品がターゲットにしているものと読者が作品に求めているものがずれているということです。

私がダンの作品を読んだのは、昨年2009年5月のことでした。そのいきさつと感想はこちらに書いています。その後yomoyomoさんがYAMDAS Projectに書いてくださり、そこからいろいろなふうに繋がって(よく詳細は知らない)日本語での翻訳出版ということになったようです。

私が感想に書きましたように、ダンは米国のジェネレーションYが、就職活動で成功し、企業で活躍するための参考書としてこの本を書いたわけです。それを日本のジェネレーションX以上の方が読んで「こんなのは浅い」とか「学生向けだ」、「もっと大切なことを書くべき」と批判するのはお門違いだと思います。
この本以外でも、ソーシャルメディアを知らない人向けに書かれた総合案内の本に対して「そんなことは既に知っている」と批判する人がいますが、それなら、別の本を買えばいいのです。入門書でごちゃごちゃ細部まで書いたら、読む人を混乱させてしまいます。

それだけはここで書いておきたいと思います。

さて、私はこのMe2.0を、GenYどころかGenXにも入れてもらえない年寄りとして読み、異なる部分、つまりダン本人に興味を抱きました。

ダンは、私たち夫婦から見ると「おもろい子や〜」という感じです。まだまだ若いところがあるので経験を積んで熟成してゆくことを願っていますが、それはさておき、突出した才能を感じさせる若者です。彼自身が私に語ってくれたように、「テストの点を取るのが苦手」で、アイビーリーグ出身のエリートではありません。それなのに、 卒業間もない身分で大企業のEMCが初めて設けた「ソーシャルメディア専門家」のポジションを得たのですから凄いではありませんか。20代の半ばで起業したのは珍しくないかもしれませんが、BusinessWeek誌から「ツイッターでフォローするべき20人の起業家」に指名されるほどの地位を確率しているのは、やはり突出した才能といえます。

学校で良い成績を取ることが苦手でも鋭い頭脳と行動力を持っている人はいますし、そういった人に活躍のチャンスがあるのが米国の良さなのだと私は思うのです。その例として、私はダンとこのMe 2.0に価値を感じます。

下に、この間ダンとランチをした後に撮ったビデオを載せました。

この中でダンが話しているように、発売後にわかったのはGenYより年上の人々がよく購入しているということです。そこで、改訂版が10月に発売される予定です。

http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1607147122
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1607147122

20年若かったらもっと見やすい顔だった(し、二重あごもなかった)のですが、お見苦しい点お許しくださいませ。それからキャプションが切れたりしてるのも。

あ〜、それにしても自分の声や顔って聞きたくも見たくもないものですね。うううう…

●読みやすさ 読みやすい

とても読みやすい本です。解釈の必要もありませんし、洋書に慣れていない日本人には最適でしょう。

●サイン本プレゼント

1冊余っているMe 2.0にサインしてもらいましたので、それを希望者の中から抽選(娘に選んでもらいます)で1名にプレゼントします。ご希望の方はコメント欄にその旨をご記入ください。抽選は24日です。

懐かしいハードボイルドの雰囲気がある北欧ミステリーの最新版 The Devil’s Star

Jo Nesbø
464ページ(ハードカバー)
Harper
2010/3/1
ミステリー/心理スリラー/刑事もの

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ノルウェーのオスロ警察のHarry Hole刑事は、同僚が汚職刑事Tom Waalerによって殺害されたと信じているが、Waalerが上司から信頼されるエリートであるために職場で辛い立場に立たされる。心の痛みをアルコールで癒すHarryは愛する女性Rakelから愛想を尽かされ、直接の上司から解雇を言い渡される。

全てを諦めてしまったかに見えたHarryだが、猟奇的な連続殺人が起こり、上司は一時的にHarryの勤務を許す。

最初の殺人は、一人暮らしの若い女性で、人差し指が切り取られ、瞼に赤い星形のダイヤモンドが押し込まれていた。その後5日間隔で起こった3つの殺人にHarryは共通点を見いだす。連続殺人の調査でWaalerに協力することを強いられたHarryは、Waalerから武器密輸入などの陰の組織に加わるよう勧誘され、それに従わない場合には彼が最も愛する者たちに危害を加えると脅される。

汚職刑事と協力して解く連続殺人の犯人探し、そして汚職刑事との対決の行方、登場する多くの男性と女性の複雑な愛の関係、など多くのストーリーが複雑に絡まっている読み応えあるミステリー/心理スリラー

●ここが魅力!

まず気に入ったのが、昔懐かしきハードボイルドの雰囲気を持つ主人公のHarry Holeです。

酒の誘惑に負けてしまいそうな弱さと、正義を守り抜こうとする強さ、そして事件を解決するのが生活の全てになってしまうほどの仕事中毒でありながら、好きな女性のことが頭を離れない。アル中でボロボロに疲れているくせに少年のような瞳を持ち、常にクールに構えているのにロマンチスト…。同じ北欧作家のミレニアムシリーズ(The Girl With Dragon Tattoo ほか)の主人公Blomkvistに比べて、ずっと魅力的なキャラクターです(もちろん私の一番のお気に入りはThe Girl Who.. のLisbethですが)。男性読者もたぶん感情移入しやすいと思います。

米国の作品にはない、北欧独自の暗さや歴史背景もこの作品の魅力のひとつです。自分の素性を明かさない男性とその嘘に気づいていてもすがる女性が何人も登場し、読者を迷わせる罠(ヒント)が散らばっていて先がなかなか読めません。その複雑さが魅力なのです。今年読んだミステリーの中では、最も出来が良い作品のひとつと言えるでしょう。

●読みやすさ 中程度

(作者が作品評価と誤解することが多いので、★を取ることにしました)
ノルウェー語の英訳ですが、不自然な感じがあまりありません。
たぶん原作そのものが訳しやすい文章なのだと思いますが、ミレニアムシリーズよりずっと読みやすいです。

●アダルト度

普通の大人向けの猟奇殺人もの程度に性的表現はあります。
それ以上でもそれ以下でもなし、です。
高校生以上向け

発売1ヶ月後、電子書籍リーダーとしてのiPad

iPad発売から1ヶ月が過ぎ、先日はiPadの販売数が28日で100万台を超えたという発表がありました。そのときに伝えられたebooksのダウンロード数は150万でした。大きな数字ですが、1台につき1.5冊のダウンロード数というのはさほど多くありませんし、有料のebooksの販売数ではありません。また、最初のうち物珍しさでダウンロード(あるいは本の購買)をするのがユーザー心理ですから、電子書籍リーダーとしてはまだその力を発揮していないという印象です。


ピクチャ 3 O'Reilly Raderが、iBooks Appで購入可能なタイトル46,000(O'Reillyに分かっている範囲で、無料を含む数)の内訳を載せていますので、ご紹介したいと思います。

まずは出版社別です。このように無料の Project Gutenbergの数が圧倒的です。

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そして次はジャンル別です。ビジネス書の3%より宗教の7%が遥かに多いというのも私にとっては興味深いデータです。というのは、キンドルではビジネスマンは非常に重要なユーザーだからです。

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発売からまだ1ヶ月しか経っていないiPadの電子書籍リーダーとしての価値を判断するのは早すぎると思います。けれども、もし私がiPadを購入したとすれば、iBooks AppではなくKindle for iPadをメインに使うのではないかと思います。iBooks APPから購入するのは、そこでしか買えないような特別な本のみでしょう。また、私がiPhoneでStanzaを使うときのように、(Project Gutenbergのような)無料のebooksをダウンロードして読むだけ、というユーザーもいるのではないかと思います。今後の行方が気になるところです。

*これまでの記事もどうぞ

iPadとKindleを直接比較するのは間違っている(iPad体験記)


iPad初日の売上が示唆するもの

たぶん児童書と呼ぶべきではない複雑で深いファンタジー The Lost Conspiracy

Frances Hardinge
576ページ
HarperCollins
2009年9月1日発売
ファンタジー/(小学校高学年〜高校生)

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Battle of Kids Booksの中継でご紹介した作品のひとつ。

通常であればネタバレを避けるためや自分で発見する喜びを損なわないためにあらすじは最小限にしてますが、この本は非常に良い本であるにもかかわらず、「入り込みにくい」という欠陥があるため、通常よりも詳しく背景を紹介します。ネタバレがありますので、それを避けたい方はあらすじの一部をスキップしてください。

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Gullstruck Islandでは、異なる風習を持つ多様な民族が共存してきた。どんなときにも笑顔を消さないLace民族はかつて異民族間の争いの仲介役として尊重されていた。200年ほど前にCavalcasteという民族が新たに島に移り住んだとき、Lace族は彼らに火山の麓に住んではならないと警告した。それは火山の怒りを買うからである。だが、よく肥えた土地に魅了されたCavalcasteたちはLaceの警告を無視してそこに住み着いた。その後Cavalcasteが一人一人消えてゆくという事件が起こり、Laceが火山の怒りを沈めるために彼らを誘拐して生け贄にしていたことが判明した。これを裏切りとみなしたCavalcasteはLaceを大量に殺害し、Laceはそれ以来島で最も迫害され軽蔑される民族となる。

Gullstruck Islandには、稀にLostと呼ばれる超能力を持つ者が生まれる。Lostは肉体をそこに置き去りにして聴覚や視覚だけを触手のように伸ばすことができる(魂が身体を離れてさまようようなところがあるので、Lostと呼ばれるようになったのだろう)。彼らは天気の移り変わりや迷子を探すことができるために尊重されており、Lostがいる村は依頼客と観光客で栄える。Lace族にはこれまでLostが生まれたことがなかったのだが、島の西の海岸沿いにある貧しい漁村Hollow BeastsにArilou(アリロウ)というLostが初めて誕生する。心がどこかに彷徨ってしまうためにLostはぼんやりしていることが多く、幼いときには発育遅延と間違えられることがある。12〜13才程度と思われるArilouはこれまで意味のある言葉を発したことがなく、Hollow Beasts村の者や肉親ですら彼女がLostだという確信はない。ただ、彼女がそうであれば貧しい村は経済的に救われる。村にとってははっきりさせる必要はないのだが、Lostの認定を受けるためにはテストに合格しなければならない。そのテストをするために2人のLostが村を訪れる。

(ここよりネタバレあり)

Arilouの妹Hathinは自分で自分の世話をすることができない姉の面倒をみるために生まれて来たような少女である。常に影のように寄り添って世話をしていHathinは透明人間のような存在だが、Arilouのために知恵を絞って奔走しているのはHathinなのだった。彼女は、ArilouがLostの試験に受かるために工夫をこらす。

だが、その努力がすべて無駄になる惨事が村を襲う。
テストに訪れたLostと隣村のLostが殺され、ある者の陰謀でLace民族のせいだと思い込まされた隣村の住民たちによりHollow Beastsの住民は虐殺される。
その様子を目撃したHathinは、自分の足でしっかり歩くことさえできないような姉のArilouを連れて火山の方向へ逃げる。なぜなら、火山と親密な関係にあるといわれるLace族は、他民族の知らない危険な逃げ道を口承していたからだ。

Hathinは、Arilouを連れて逃げながら迫害されたLaceが復讐のためだけに生きることを誓う秘密組織に加わる。カエルすら殺せないHathinは立派な復讐者になる素質のない自分を卑下するが、彼女には他の誰にもない才能があった。影のような存在であったHathinは、いつしかLaceのみならず島そのものを救うヒロインになってゆく。

●ここが魅力!

The Lost Conspiracyは、噛めば噛むほど味が出るスルメのようなファンタジーです。最大の問題は、これが児童書だということです。大人でもちょっと読んだだけでは理解できないような複雑な本なのですから。
この本を理解しようと思ったら、 Gullstruck島の歴史を学ばねばならないだけでなく、現実の世界の歴史もある程度知っている必要があります。洋書ファンクラブJr.で指導しているMoeさんにも説明したのですが、特にヨーロッパの白人による世界各地の植民地化の歴史です。また、奴隷制度や文化の差による虐殺の歴史も心得ておく必要があるでしょう。文化が異なれば慣習も常識も異なります。ひとつの民族にとって正しいことが必ずしも他の民族にとってはそうではない。多数の正義や復讐の是非といった複雑な視点を読者に求めているわけですから「児童書」のカテゴリーに入れてしまうのはちょっと無理じゃないか、と私は思うわけです。だからあまり売れていません。

この本で楽しんでいただきたいことのひとつに、それぞれの民族の文化があります。たとえばLaceですが、彼らは生きている間しか名前を持ちません。死ぬと名前を失うので、それを象徴する表現が出てきます。また、暗殺を生業とするAshwalker、死者(先祖)を生きている者よりも大切にするJealousyという町の統率者"The Superior”、Laceの正反対のように笑顔がないSour民族、など異なる風習がストーリーに反映しているところが味わい深いところです。

洋書ファンクラブJr.で小4のMoeさんが地図を描いていらっしゃるので、そちらもご覧ください。

●読みやすさ ★★☆☆☆

物語で重要な背景を理解するまでに相当時間がかかります。
また、比喩が非常に多いのでそれが障壁になる場合もあるでしょう。
決して読みやすいとはいえませんが、読み進めるとだんだん簡単になってきますし、「読んでよかった」と思わせてくれます。

●アダルト度 ★★☆☆☆

虐殺がありますが、生々しい描写というわけではありません。
★★をつけているのは、上記で説明したような理解力が必要な本だという意味です。

女はユーモアのセンスがなければ尊敬される資格がない(?)

角川映画「野生の証明」のキャッチフレーズに「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない」というのがありましたよね(古い話でごめんなさい!)。もともとはハードボイルドで有名なチャンドラーの私立探偵フィリップ・マーロウの台詞”If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.”から来ているという話ですが。
なんでこういう話になるかというと、昨日のSimmons Leadership Conferenceという米国でも最古の部類に入る女性のリーダーシップカンファレンスに参加して、世界の舞台で活躍している女性について同じような台詞を思いついたからです。
彼女たちにタイトルをつけるとしたら「女はタフかつジェントルでなければ認められるようにはならない。ユーモアのセンスがなければ尊敬される資格がない」というものです。

シモンズ大学はボストンのガードナー美術館に隣接する女子大(大学院は共学)で、大学そのものはさほど有名ではありませんが、ここが行っているリーダーシップカンファレンスは全国的に有名です。これまでにも、Madeleine Albright, Benazir Bhutto, Carly Fiorina, Toni Morrison, Queen Noor, Jehan Sadat, Oprah Winfreyといった錚々たる顔ぶれが講演しています。昨日のテーマは"The Spirit of Resilience", 「困難に耐えて立ち直る精神」といったところでしょうか。

私からは想像もできないほどの困難に直面し、そして立ち直り、達成をなした彼女たちに共通するのが「特にすごいことをしたわけではない」というさらりとした態度です。それに他人への恨みつらみが皆無で、自分のミスを分析してそれを次の行動に活かしていることが彼女たちの活躍の秘密なのかもしれません。もうひとつの共通点は、ユーモアのセンスです。真面目なテーマでも必ず自分の置かれた大変な状況を笑い飛ばすゆとりがあるのですよね。こういうところがないと、ただのギスギスした女性だと思われて男性と協力して(もちろん女性ともですが)仕事をしてゆくことができないのではないか、そんな風に感じました。

Wudunn オープニングはアジア系の女性として初めてピューリッツアー賞を受賞したジャーナリストで社会活動家のSheryl WuDunnです。中国系アメリカ人で日本語も話せ、The New York Timesの東京支局で働いていたこともあります。世界中で抑圧されている女性たちを労働力として活かし、結果的に社会全体に貢献させる方法とそのために我々ができること、などについて話されました。彼女の著作Half the Sky: Turning Oppression into Opportunity for Women Worldwideは日本でも発売される予定だそうです(サインしてもらうために、プレスで参加されていた菅谷明子さんに本購入の長蛇の列に並んでいただきましたことを、この場を借りてお礼申し上げます。

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Saberi 次に私が選んだ講演(同じ時間帯に夫が別の部屋で講演していたのですが、けっこう大金払って参加しているのでタダで話を聞ける夫のには行きませんでした)は、イランでスパイのぬれぎぬを着せられて逮捕、投獄されたジャーナリストRoxana Saberiのものです。

リーダーが変わることによって突然始まったジャーナリストの弾劾と自分には理解できないアジェンダによって投獄され、尋問する者さえ嘘だと知っているスパイ容疑を自白させられるいきさつ、そしてそれを恥じて撤回し、ハンガーストライキをした経過などを淡々と語る彼女の姿はまさにジャーナリストそのものでした。彼女は、自分が解放されたのは世界が注目し、国際的なプレッシャーがかかったからだと信じています。「自分は解放されたがまだ多くの人々が残されている。彼らを助けるまで心に平和は訪れない」そんな責任感を持つ彼女が、まだ解放されない人々のために私たちにもできる次のようなサイトでの支援を求めていました。

Reporters without boarders

Our Society Will be a Free Society

Photo-2 モデレーターは先ほどのSheryl WuDunnです。Roxana Saberiは米国とイランの二重国籍ですが、お母さんが日本人でお父さんがイラン人のハーフです。Sherylも東京に駐在していたことがあるので、日本と深く関わる2人の女性の姿に静かに感動を覚えました。

イベントの後で会話を交わすことができたのですが、お互いに時間がなかったので後日Skypeかメールを使って取材ということになりました。それまでに頑張って下記の本も読まねば!です。

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Brown 昼食の後は、この人の名を知らない人はいないだろう、というくらい有名な編集者(作家)Tina Brownです。英国人でありながら米国の老舗の雑誌Vanity Fair The New Yorkersを次々と瀕死の状態から蘇らせて有名になりましたが、その後自分でスタートしたTalterで失敗して出版界から葬り去られそうになります。その後、個人的に交流もあったプリンセス・ダイアナの伝記The Diana Chronicles を書いて見事に蘇り、引き続きウェブ新聞/雑誌The Daily Beast.comをスタートして大成功させています。

Photo-1 ウェブ雑誌を成功させた彼女がデジタルの本や雑誌について述べた次の言葉が印象的でした。"Physical books won't die out.(紙媒体の本は死滅しない)"ただし、ジャーナリストの仕事のしかたは変わるだろう、とのことです。「ひとつの仕事でのペイは減り、もっと多様な仕事を引き受けてゆかねばならぬ。けれども需要はなくならない」すごい直感の持ち主のティナが言うのですから、信じてよいと思います。

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私が個人的に最も楽しんだのが次のCharlene Barshefsky(シャーリーン・バーシェフスキー)です

Barshefsky クリントン大統領の元でDeputy U.S. Trade Representatives(米通商代表)として中国と交渉し、世界貿易機関に加わらせた彼女の講演はジョーク満載で笑いが絶えないけれども非常に知的で、大学生からプロまで誰でも楽しめるものでした。モデレーターを務めたティナ・ブラウンが、Vanity Fairでデミ・ムーアが妊婦ヌードになったときの編集長だったことから、同じカメラマンがバーシェフスキーの記事のための写真を取りにきたときのことを「ヌードじゃありませんよ」とまず笑わせ、すかさず"Not that I didn't try…"(お願いしなかったわけじゃないんですがね)とまた笑わせる、といった具合です。2人の子持ちで自分の弁護士事務所を持ち、これだけのキャリアを持っているのですから絶対にタフな女性だと思うのですが、そういうところを微塵も見せないところがすごいと何度も何度も感心しました。タフなところを見せつけるうちはまだまだ、といったところなのでしょうね。

Photo3 彼女の話題の中心は中国のre-emergence(再浮上)でした。彼女は「 rise of Chinaではない」ことを強調していました。そして、アジアのset the tone(雰囲気を作るとか方向性を決める、といった意味で)をしていたのが日本だったのが、今後は中国になること、米国にとっての難しさはそこにあるといったことを語っていたのが非常に印象に残りました。中国の台頭の歴史的なユニークさは、安い労働力とマンパワーの豊富さだけではなく、そこに技術力があることです。ですが、そこにはちゃんとしたストラクチャーがない。また、彼女の感覚では中国は世界の政治的なリーダーにはなりたいと思っていないようです。経済でのナンバー1は狙っていても、世界の面倒をみる役割は米国に任せておいて構わないと思っているという見解は興味深く思いました。また、米国は日本がアジアのリーダーであってくれるほうが良いと思っており、経済力で日本が力を失いつつある現状は米国にとっても好ましいものではないのだということを感じました。これはトヨタの件で「日本バッシングがある」と勘ぐる方に考えていただきたい点です。

もうひとつの重要な視点は、移民法についてです。世界中の優秀な学生が米国の大学に学びに来ますが、現行の法律では卒業後彼らには自国に戻るか永住権を取るために10年闘うかの2つの道しかない。そんなことをしていたら優秀な頭脳を教育したのに失ってしまう。「米国で教育を受けた者には永住権か国籍を与えよ」というものです。「優秀な移民によって偉大になったのが米国の伝統ではないか」というBarshefskyの視点、今後の日本のあり方にも参考になるかもしれません。

成功には運は不可欠、という彼女のしめくくりのアドバイスがまた最高です。

"Learn and enjoy what you do. And, try to do it well."

そうしたうえで成功するかどうかは、

"Who knows."