息子は本当に同級生を殺したのか?検事と妻の葛藤を描くミステリー Defending Jacob

William Landay 

ハードカバー: 432ページ

出版社: Delacorte Press

ISBN-10: 0385344228

ISBN-13: 978-0385344227

発売日: 2012/1/31

ミステリー/心理スリラー

これを読まずして年は越せないで賞』候補作(春巻さん推薦)

 

マサチューセッツ州ミドルセックス地方の検事補Andy Barberは、これまで多くのケースで有罪判決を勝ち取ってきたベテランだ。妻のLaurieは誰からも頼られる暖かい性格であり、裕福な住民が多い町でBarber夫婦は人々から尊敬されている。

平和なこの町で、14歳の少年が登校途中に殺害されるというショッキングな事件が起こる。最初は住民たちから頼られていたBarber夫婦だが、彼らのひとり息子Jacobが犯人として逮捕され、人々の態度は豹変する。

Jacobは殺された少年に苛められていたらしく、それが動機だと思われている。息子の無実を信じるAndyは、地方検事補という自分の立場を超えて調査に乗り出すが、その経過で、Andy自身が妻にも隠してきた父の秘密、親が知らなかったJacobの姿などが浮上し、夫婦の心は遠ざかり、家族は崩壊してゆく。

 

●ここが魅力!

このミステリーの醍醐味は、Andyという先入観のある語り手が「真実」を追求し、説明しようとするところにあります。

つまり、「信用できない語り手」の言葉を読者が推察しながら読むところに面白さがあるわけです。

Andyは心底息子の無実を信じている(あるいは、信じることに決めている)のですが、妻のLaurieの心は揺れ動きます。AndyはLaurieについてあれこれと語りますが、彼や妻の「人となり」を決めるのは読者次第です。これをどう読むかで、私たち読者が試されているのかもしれません。

ストーリーにも何度かツイストがあり、読みはじめたらやめられない度も高いミステリーです。

舞台になっているのは私が住んでいる地方なので、モデルになっている町の雰囲気や住んでいる人たちの感じがとても良く想像できました。小説に登場する地方裁判所にはこの事件の関係で傍聴したことがあり、個人的にとても面白かった部分です。

 

映画化もされたWe Need to Talk About Kevin
を連想させる内容ですが、真似ではなく、十分オリジナルです。

 

●読みやすさ 普通〜やや読みやすい

単語や文章の難易度は普通ですが、一人称の語りなので感情移入しやすく、理解しやすいと思います。

また、「次はどうなるのか?」と知りたくなるミステリーは、普通の文芸小説に比べると読みやすいものです。

多少単語が分からなくても、筋を追うことができればOKです。

私はオーディオブックで読みましたが、語り手がひとりの本作品は、特にオーディオブックに適していると思います。

 

●おすすめの年齢層 中学校高学年から高校生以上

性的な場面の言及もありますが、それほどでもありません。

ただし、いじめや14歳の殺人というテーマがありますから、お子さんに読ませるかどうかは親御さんが読んでから決めてください。

 

コメントを残す