アメリカの離婚手続き(の大変さ)がわかる小説『The Divorce Papers』

著者:Susan Rieger

ハードカバー: 480ページ

出版社: Crown

ISBN-10: 0804137447

発売日: 2014/3/18

適正年齢:PG15(高校生以上)

難易度:上級レベル(オフィスのメモやEメール、手紙は読みやすいが、専門的な書類は読みにくい)

ジャンル:現代小説、チックリット

キーワード:離婚、弁護士、家族ドラマ

 

日本では、「入院中に離婚されていた」とか、離婚後に父親が養育費をまったく払わないことや、父親のほうの家族が子どもを母親から奪って合わせないことがしょっちゅうある。日本に住んでいたころ、私の身近にも(たいていは母親のほうが)泣いて諦めたというケースがたくさんあった。

アメリカではその反対で、法が権利を守ってくれるのはいいが、双方が権利を主張するので離婚には必ずといっていいほど弁護士が必要になり、金のかかる戦いが長引き、すでに愛がさめたカップルが激しく憎しみ合うことになる。


この小説の主人公は若手女性弁護士Sophieで、地方都市の大手弁護士事務所で刑事を専門にしている。この弁護士事務所には離婚専門のやり手弁護士がいるのだが、そのFionaが別件で不在のときに重要なクライアントから「娘の離婚を担当してくれ」という依頼が入る。そこで、上司は最初の聞き取りをSophieに命じた。この聞き取りは全部が記録されれるので担当の弁護士である必要はなく、Sophieは気がすすまないながらもピンチヒッターとして引き受けた。

ところが、MiaはSophieを気に入ってしまい、彼女でなくては嫌だと言い張るのだ。Miaの父親は地元の有力者かつ重要なクライアントなので弁護士事務所としてはMiaの希望を受け入れるが、犯罪には詳しいが離婚関係の法に疎いSophieは抗うが、Miaの強い要請と上司からの説得で引き受けることにする。だが、Miaの担当になるはずだったFionaはそれに不満で、Sophieに陰湿ないじめを始める。

 

Sophieの仕事や恋や家族関係の悩みと面倒な離婚の過程を、弁護士同士のメモのやりとり、Eメール、クライアントへの手紙、相手の弁護士への通知書、クライアントが訴える相手(伴侶)への通知書、裁判所への提出書類などで伝えてゆくユニークなスタイルの小説である。

舞台は架空の州だが、ニューヨークから少し北にあるロードアイランド州ではないかと思われる。

著者はコロンビア大学の法学大学院卒業生で、コロンビア大学とイェール大学で法律を教えたことがある。専門家だからこそ書ける小説だが、一般人が専門的な書類を全部読もうとしたら疲れてしまって楽しめない。だから、複雑な書類は「ああ、こんな面倒な書類を読んでサインしなくちゃならないのね」という程度で流してしまえばいい。「カットしたほうがよかったのに」と思う読者もいるようだが、私はそうは思わない。「こんなに大変なんだ!」と感じるためには、ちゃんと全部あったほうがいいから。

それにしてもアメリカの離婚は大変だ!そう思わせてくれる小説である。

内容はチックリット(女性小説)的で軽めなので、難しい書類の部分をとばせば普通のドラマとして楽しめる。同僚の虐めや、オフィスを巻き込んでの人間関係のゴタゴタなども、「どこでもあるのね」と共感を覚えることだろう。

 

 

 

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