日本人イラストレーターのアートで絶賛されているアメコミ- Monstress

著者:Marjorie Liu(ストーリー) Sana Takeda(イラスト)
ペーパーバック: 192ページ
出版社: Image Comics
ISBN-10: 1632157098
発売日: 2016/7/19
適正年齢:PG15(バイオレンスシーン多し)
難易度:中級+(会話部分はシンプルだが、読みにくいかもしれない)
ジャンル:グラフィックノベル/コミック/ファンタジー
キーワード:半人半獣、古代の神
2017年ヒューゴー賞受賞

『Monstress』は、コミック好きのアメリカの若者の間で今年話題になっている新作だ。
著者のMarorie Liuは、パラノーマルロマンス小説でデビューし、Dark Wolverine, X-23などマーベル・コミックのストーリーもときおり書いている。ボストンの地元では、マサチューセッツ工科大学でコミックを教えていることや、『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』を書いたジュノ・ディアスのガールフレンドとしても知られており、存在感が大きい女性だ。

Monstressをそのまま訳せば、女性の怪物だ。
このファンタジーの世界には、5つの種族が存在する。人間、古代の生物「ancients」、古代の生物と人間の混血である半人半獣「Arcanic Halfbreeds」、古代の神「The Old Gods」、そして猫(猫又)だ。
これをさらにややこしくするのが、Mother Superiorを指導者とする魔女の組織「Cumaea」だ。超凶暴な尼僧の集団のようであり、SF『Dune』に出てくる女性の秘密組織である「Bene Gesserit」を彷彿とさせる。
主人公の少女Maikaの中には、彼女が制御できない恐ろしい魔物が住んでいるのだが、その正体はわからない。
興味深かったのは、善悪含めて主要人物がほとんど女性だということだ。このあたりは、Duneとは異なり、フェミニズムを感じる。アメリカでも男性が支配している感があるコミックの世界で、アジア系女性二人のチームがこうして注目されているのは素直にうれしい。

だが、前評判があまりにも良かったせいか、正直言って少し失望した。感動させてくれることを期待しすぎたかもしれない。
アートの精密さには感動するのだが、主人公のMaikaにも物語にもどっぷりと入り込めないのだ。種族間の戦いなので、残酷シーンが多いのは仕方ないが、多すぎる。もう少し、個々の人物を面白くすることにページを割いてほしかった。

とはいえ、Sana Takeda(タケダサナ)さんのイラストは文句なしに素晴らしい。
主人公のMaikaはカッコいいし、猫又のMaster Renや狐耳の少年には素直に親しみを覚える。全体的にはアメコミなのに、日本的な要素が多いのも、日米両方の読者に魅力的だと思う。
タケダサナさんは、マーベル・コミックのアーティストということで、日本在住でありながらアメリカで活躍されているようだ。彼女の作品サンプルはこちらのサイトで見ることができる。

Monstressでタケダさんのイラストに惚れ込んだアメリカ読者も多いようなので、これを機に日本のアーティストの需要がアメリカでもっと高まるのではないかと期待している。

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