女性作家が描くナイジェリアの結婚と家族の肖像 Stay With Me

作者:Ayobami Adebayo(デビュー作)
ハードカバー: 272ページ
出版社: Knopf
ISBN-10: 0451494601
発売日: 2017/8/22(アメリカでの刊行)
適正年齢:PG15+(性的テーマあり)
難易度:上級(シンプルな文章。ページ数もすくなく読了しやすい)
ジャンル:現代小説
キーワード:ナイジェリア、結婚、一夫多妻制、妊娠、鎌状赤血球症、政治、クーデター

ナイジェリア人の若者Akinは、映画館で見かけたエレガントな女子大生のYejideに一目惚れし、熱烈な求愛を続けてようやく結婚を承諾させた。
そのとき、「私は一夫多妻制はしない」というYejideの宣言に、Akinは「僕もしない」と答えたのだった。

銀行で働くAkinと美容サロンを経営するYejideには結婚して4年間子どもができなかったが、互いを愛する結婚生活に満足していた。少なくとも、Yejideは自分のことを良き妻であり、夫の両親にとっても良い嫁だと信じていた。

ところが、ある日Yejideの親族が若い女を連れてやってきた。子どもができない夫婦の解決策として両家族が話し合いで見つけたAkinの「新しい妻」だという。新しい妻のFunmiを「友だち」として、「妹」として、「娘」として受け入れるよう強要する親族に驚きと屈辱を覚えるYejideは、夫のAkinがFunmiと結婚していたことを黙っていたことに、それ以上の怒りを覚えた。

このときから、Yejideは子どもを持つ目標に取り憑かれる。
そのために精神状態が不安定になっていく妻を案じ、二人の妻からの精神的プレッシャーを受けるAkinもまた追い詰められていく。

子どもさえ生まれれば愛と幸せは戻ってくると二人は信じていたが、そのために二人が払った犠牲は大きすぎた……。

作者のAyobami Adebayoは、ナイジェリアで最も注目されている新人作家のひとりであり、処女小説の本書が今年2017年にアメリカでも刊行されることになった。

Stay With Meに描かれたナイジェリアの一夫多妻制の習慣や、現代にも残る古くからの男女の役割など、私たちが馴染んでいる社会との共通部分や異なる部分が非常に興味深い。だが、文化や習慣が異なっても、個人が感じる愛や嫉妬、喪失の痛みは同じだ。
Adebayoは、29歳とは思えない成熟した眼で登場人物たちを分析している。

小説では、愛し合う夫婦が外部のプレッシャーで壊れていく様子が、妻と夫の微妙に異なる視点で進んでいく。夫の裏切りに対するYejideの心の痛みや、男としての義務のプレッシャーに潰れそうなAkinの葛藤が見事に描かれているのだが、そのうちに、読者は彼らが何か重要なことを隠していることに気づく。

メロドラマティックな展開と、背後にある不安定なナイジェリアの政治的状況が興味深く、しかも、『Gone Girl』的な要素もある。読み始めたら、その日のうちに読み終えてしまいたくなる本だ。

Yejideのナイーブさには納得できなかったので満点ではないが、その場の状況が浮かんでくる描写力がすばらしく、読んで損はない小説である。

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