読んでいるうちに仲間に入れてほしくなる児童書シリーズLockwood & Coのパーフェクトな最終巻 The Empty Grave

作者:Jonathan Stroud
ハードカバー: 448ページ
出版社: Disney-Hyperion
ISBN-10: 1484778723
ISBN-13: 978-1484778722
発売日: 2017/9/12
適正年齢:9−12歳向け
難易度:中級+
ジャンル:ファンタジー/児童書(小学校高学年から中学生)
Lockwood & Coシリーズ第4巻(最終巻)2018年これ読ま候補

あまりにも好きで、結末を知りたいけれど別れを告げたくないシリーズがある。Jonathan StroudのLockwood & Coシリーズもそのひとつだった。

「パラレルワールド的なロンドンに大量に現れ始めた幽霊を中高生の年代の子どもたちが退治する」という設定は「ゴーストバスターズ」的だが、死と隣合わせのダークな雰囲気では「ハリー・ポッター」のほうに近い。読者層もハリー・ポッターと重なるが、Jonathan Stroudの文章や登場人物の描き方のほうがJ.K. Rowlingより優れている。Stroudのキャラは子どもらしさを失わずに、ちゃんと複雑に描かれている。

天才的だが自信過剰でときに自己中心的なロックウッド(Lockwood)には心的トラウマや誰にも言わない秘密もあり、少年版シャーロック・ホームズのようだ。恵まれない環境で育ったが頭が良くて才能もある少女ルーシーはロックウッドにピッタリのパートナーだ。そして、この幽霊退治会社で調査を担当するジョージも、ただの脇役ではない。自信がなくていじけがちだが、綿密な調査とお茶をいれることにかけては誇りを持っている。

シリーズが進むなかで、この3人に元ライバルたちも仲間として加わったのがこの最終巻だ。

50年前ほどから幽霊が現れ始めた原因や、その主犯などがこの最終巻で明らかになっていく。そして、ロックウッドのトラウマの原因になっている過去も。今回もハラハラ・ドキドキで手に汗握る展開で、最後まで油断ができない。

その最中にもちゃんとお茶のシーンがあるところが、さすがイギリス作家だ。読者としても、そこでのやり取りが楽しみだ。仲間に入れてもらって一緒にお茶に参加したくなる最高の児童書ファンタジーシリーズだった。

 

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

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