作者:Stacy Willingham
Publisher : Minotaur Books
刊行日:January 10, 2023
Hardcover : 336 pages
ISBN-10 : 1250803853
ISBN-13 : 978-1250803856
対象年齢:一般(R)
読みやすさレベル:7
ジャンル:心理サスペンス、犯罪小説
キーワード、テーマ:子供の誘拐、未解決事件、母、true crimeブーム
1年前、Isabelleの生後18ヶ月の息子Masonは両親が眠っている間にベビー用の寝室から姿を消した。夫は数日で「もう生きていはいないだろう」と諦め、事件は迷宮入りした。けれども母親のIsabelleだけは息子を諦めることができず、夫婦はじきに別居した。事件が忘れ去られてしまわないようにIsabelleはtrue crimeのコンベンションなどでスピーチを行っており、その帰途でtrue crimeポッドキャスト番組を持つ男性から声をかけられた。Masonを探す援助をしてやるというものだった…。
この心理サスペンスはIsabelleの視点で進むのだが、1年ずっとほとんど睡眠をとっていない彼女には記憶に穴があったりして信用がならない。その不眠には子供時代に体験したことが関係しており、本人自身も自分の正気を疑うことがある。何が本当で、誰を信じてよいのかわからないままに調査をすすめるうちに、これまで見落としていたことが見えてくる。
疑わしいところがあちこちに隠されており、Isabelleの視点で紹介された状況や登場人物たちが実際にはどうなのかを推察するのが面白い。そして、「これをどうまとめるつもりなのか?」というパズルが最後に見事につながるところはさすがだと思った。偶然にしてはやや都合が良すぎるところもあるが。
よくできた心理サスペンスで読み応えがある。