ファンタジーとシャーロック・ホームズ的ミステリのクリエイティブな融合 The Tainted Cup


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作者:Robert Jackson Bennett
Publisher ‏ : ‎ Del Rey
刊行日:February 6, 2024
Language ‏ : ‎ English
Hardcover ‏ : ‎ 432 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 1984820702
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1984820709
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ファンタジー、ミステリ
キーワード:殺人、異世界、探偵と弟子
シリーズ名:Shadow of the Leviathan(#1)
これを読まずして年は越せないで賞候補作(渡辺推薦)

帝国は常に巨大な海の怪物Leviathan襲来の危機にさらされていた。海岸には防御のための高い壁が作られ、これを守ることが帝国の最大の優先事項である。

帝国の高官や裕福な家族は海から離れた地域に住んでいるが、海に近い地域にも別荘を持っていた。帝国で最も権力を持つ裕福な家系のそんな別荘のひとつで、壁の建設とメンテナンスの責務を持つエンジニア部門の高官が無惨かつ不可思議な死を遂げた。

その事件現場に送り込まれたのは、探偵Ana Dolabraの新米アシスタントのDin(Dinios Kol)だ。

有名な刑事のAnaはエキセントリックとしても知られている。現場を訪れずに目隠しをして事件を解決するAnaの目と耳の役割を果たさねばならぬDinだが、彼自身もつっけんどんで人から親しまれるタイプではない。この職に就くために記憶の才能を強化する施術を受けたDinは、その影響なのかディスレキシアになり文字を記憶することができない。それを隠して採用されたことが明るみに出て解雇されることを恐れている。

最初のうち単独の殺人と思われた事件だが、そのうちに帝国の基盤を揺るがす大きな陰謀につながっていく。命の危険にさらされながらDinは探偵のアシスタントとして自分でも気づかなかった才能を発揮するようになる…。

作者のRobert Jackson Bennettはシャーリー・ジャクソン賞(ホラー、ダークファンタジー)、エドガー賞(ミステリ)受賞者で、各種の代表的なSF・ファンタジーの賞の候補になっている。ファンタジーとミステリを融合させた新しいシリーズShadow of the Leviathanの第一巻は彼が本領を発揮した作品だ。

まず巨大な海の怪物Leviathanに関する謎の歴史、不可思議で不気味な植物による感染、19世紀あたりの欧州を連想させる帝国の構造など世界観が面白い。そして、エキセントリックなAnaと、そんなにやる気はなさそうなのに実は行動派で驚くような才能を発揮していくDinの組み合わせが読んでいて楽しい。

シャーロック・ホームズとワトソンのようであって、そうではない。ワトソン役のDinのほうがキャラが立っている。

このDinが次には何をやらかしてくれるのか、次の巻が楽しみでならない。

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