男社会のアメリカIT企業で働きながらコメディアンになった女性による痛烈な風刺指南本「男性の感情を傷つけずに成功する方法」 How to Be Successful without Hurting Men’s Feelings

作者:Sarah Cooper
Publisher : Andrews McMeel Publishing
発売日:October 30, 2018
Language : English
Paperback : 216 pages
ISBN-10 : 1449476074
ISBN-13 : 978-1449476076
適正年齢:大人(仕事をしたことがない人には理解しにくいユーモアだから)
難易度:6(英語のレベルとしては高校英語で十分。だが、そこに含まれた意味を理解するためには英語だけでなく、経験が必要)
ジャンル:風刺指南本
キーワード:男社会、ミソジニー、働く女性、フェミニズム、風刺、ユーモア、IT企業

男社会の企業で働いたことがある女性なら、『How to Be Successful without Hurting Men’s Feelings』というタイトルを読んだだけで、すでにニヤニヤ笑いを始めていることだと思う。私もそのひとりだ。家庭も男社会の延長だから、主婦ならこのパターンを熟知していると思う。

2年前に発売された本にようやく気づいたきっかけは、2020年にソーシャルメディアで話題になった作者Sarah Cooperの口パク映像だった。

こういうのを見ると、ソーシャルメディアで「フェミ嫌い」を自称する人に嫌われそうな予感がますます強くなる。

目次もそうなのだが、「面白そうだ」という予感も強まってくる。

内容は予感以上に笑えるのだが、それはYahoo!やGoogleで働きながらコメディアンになった作者の経験と知性が反映しているからだ。何度も「あるある!」とうなずいてしまう。でも、読み続けていくうちにあまりにも現実に近いので笑えなくなってくる。男性と一緒の職場で働いた女性は、こうやってサバイバルしてきたからだ。このままやり続けていていいのだろうか、と悩ましくなってくる。

本書の最後あたりに、彼女がこのタイトルの案を伝えたときの男性の反応について3つのパターンがあったことを書いている。Cooperはそれぞれのタイプの男性を説明し、謝罪している。

まずは「僕は成功している女性に脅かされるほどヤワではない。男を不当に攻撃している。このタイトルは逆差別の性差別だ」と心を傷つけられて怒るタイプだ。Cooperは「私ごとき者に脅かされる可能性があると示唆したことにとても脅かされたこれらの男性にこの場を借りてお詫びしたい」と書いている。

次のパターンは「傷つけられたけれど、それを見せたくない男性たち」だ。彼らは黙り込み、そして話題を変える。彼らは感情を傷つけられる可能性があるから避けたいのだ。彼らに対するCooperの謝罪は「威嚇的な女性と関わることの居心地悪さについて考えることを強いたことをお詫びしたい」というものだ。

最後のパターンは、笑って「あるある」とうなずき、「読みたい」と思うタイプだ。わが夫もこのタイプだった。Cooperはこのタイプにも「彼らに謝る必要はないのだけれど、ほかの2つのタイプの男性たちと関わらなくてはならないことをお詫びしたい」と書いている。

むろん、これらは皮肉なユーモアなのだが、そのままでは現実に近すぎる。でも、Cooperは最後に「それじゃいけない」というメッセージを加えている。そこまでちゃんと読んでパワーを蓄積していただきたい。

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