Outliers

作者:Malcolm Gladwell

2008年初刊

ジャンル:ノンフィクション/社会心理・応用心理/ビジネス

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アメリカ人ビジネスマンに大人気

ベストセラーで邦訳もされている「The Tipping Point」と「blink」の作者マルコム・グラッドウェルの最新刊。アメリカでは20081118日に出版されたばかりだがすでにベストセラーのリストにあがっている。

Outlier」とは、「他のものとは異なる、外れている」といった意味で異常値とも訳される。グラッドウェルがこの本で扱っているのは、一般集団から外れて並外れた成功を収めた者に共通するファクターである。

たとえばカナダのアイスホッケーのプロの選手には1月か2月の誕生日が多いが、それには意外な理由が潜んでいるようなのだ。また、他人よりもはるかに優れた才能があれば必ず成功するというものでもないことをグラッドウェルは指摘する。成功のためにはもちろんある程度の才能は必要だが、それと同等かそれ以上に育った環境やタイミングが影響を与えていることを彼は例を挙げて強調する。

こういったアイディアをマイクロソフトのビル・ゲイツやビートルズ、モーツアルト、といった誰でも知っている人物をあげて説明するのはこれまでにも使い古された手法だが、語りのテクニックのうまさがグラッドウェルをベストセラー作家にしているのだろう。

また、「なぜアジア人は数学ができるのか?」といったアメリカ人向けの解説は、日本人として別の意味で興味深い。

The Tipping Point」ほど優れてはいないが、まちがいなくミリオンセラーになるだろう。

●読みやすさ ★★★☆☆

高校の教科書程度の文法です。

ジャーナリストのグラッドウェルは「よみやすさ」を尊重しているようで、非常に簡潔でわかりやすく、ノンフィクションとしては大変読みやす作品です。それぞれの逸話は短いので、苦労せずに読みきることができます。初心者にもお勧めのノンフィクションです。

●ここが魅力!

とにかく、読みやすいこと。語りもスムーズでいつの間にか引き込まれています。

The Story of Success(成功談)」という副題のために成功へのハウツー本と誤解する方がいるかもしれませんが、そうではないので要注意。

また、グラッドウェルのセオリーに対して「あまりにも単純化しすぎている」という批判もありますが、彼はジャーナリストであって学者ではないので、そう目くじらを立てるのもお門違いです。私も彼の導いた結論に同意できない箇所が沢山ありましたが、「それは違うだろう」とひとりで反論するのも楽しみのひとつです。

この本がもっとも適しているのは、常に「なぜこんな現象が起きるのだろう?」と好奇心を抱く人でしょう。軽く手に取り、軽く読みながし、そして同じ本を読んだ人と意見交換するのに適しています。

ところで、私の周囲の中年以上の男性はみんなこの本を読んでいるようです。

●アダルト度 ☆☆☆☆☆

英語さえ読めれば小学生でも理解できるコンセプトです。親が説明に困るところは見当たりませんでした。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

The Tipping Pointby Malcolm Gladwell

blinkby Malcolm Gladwell

Hot, Flat, and Crowded: Why We Need a Green Revolution by Thomas L. Friedman

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米国ブッククラブ事情

Wireless Access先月、ナンタケット島に向かうフェリーの中でAmazonの電子ブックKindleでミステリーを読んでいたら、隣に座った40台後半から50台前半と思われる白人女性が覗き込み「これ、ひょっとして……?」と声をかけてきた。

よくあることなので、画面を見せていつものようにデモンストレーションをしてあげようとしたら、彼女は満面の笑顔で「Oprahが話していたアレでしょ?」と同意を求めてきた。

初対面でこんな「仲間意識」を共有してくれるのはうれしいけれど、残念ながら彼女の直感はハズレで、私はOprahを合言葉に繋がる中年女性のひとりではなかったのである。

Oprah(オプラ・ウィンフィリー)は、過去20年にわたって黒人女性ながらアメリカ合衆国の中流階級の白人女性に最も人気があるトーク番組の司会者だ。視聴者たちは、Oprahがすることであればダイエットでも何でもすぐに真似をする。白人女性がオバマを支持したのはOprahの支持があったからこそ、という見方が強い。アメリカでのブッククラブの人気もOprahの影響のひとつだ。本好きが集まってひとつの本の感想を語り合う、というブッククラブのアイディアはたしかに魅力的だ。たちまち、全米(特に女性)にブッククラブは広まり、それまで読書に縁のなかった者までもが「今何読んでいるの?」と友達と語り合うようになったのである。

フェリーの女性は私の手からKindleをもぎとり、「今なにを読んでいるの?」と収納作品をチェックし始めた。その彼女に、「Kindleは外にでかける時やエクササイズ用だから、これに入れているのはミステリーばかりで……」と私がしなくてもよい言い訳をしたのは、「読む価値のある本」を尊ぶOprahファンの批判的な目を恐れたからである。

私の恐れは正しかったようで、彼女は「本当にミステリーばかりね」とつぶやくと、私への(人間としての)興味をすっかり失ったかのようにKindleを差し戻した。

Oprahファンはミステリーとその読者をあんまり尊重してはくれないのである。

Oprahが「Oprah’s Book Club(オプラのブッククラブ)」ですすめる本には純文学や自伝が多い。セルフヘルプもあるが、クラシックを掘り出してくることもある。いずれにせよOprahが紹介すると必ずミリオンセラーになるので、Oprah’s Book Clubは出版業界から最も注目されるリストになっている。

ミリオンセラーを狙う出版社や作者が何千、何万と本をOprahに送りつけるが、読書好きの彼女は他人の影響を受けず自分で本を選ぶらしい。これだけ忙しい人物にしては尊敬すべきことだ。

Oprahの選んだ本しか読まないグルーピー読書家があまりにも増えたので、「Oprahのリストにある本はぜったいよまない!」とへそを曲げる者もいる。実は、私の夫もそのひとりなので、私は彼がKen Follett The Pillars of the Earth」を読み終えるまでそれがOprahのリストに入っていることを内緒にしていたくらいである。

国民が本を読まなくなっている日本のことを考えると、Oprahのおかげで中年女性がたくさん本を読むのは出版業界だけでなくアメリカそのものにとって良いことだと思う。

Oprahはやっぱり偉い女性なのだ。

Here Be Dragons

作者:Sharon Kay Penman

1985年初刊

ジャンル:歴史(13世紀ウェールズ)/歴史ロマンス

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13世紀ウェールズの偉大なる英雄とその妻の劇的な人生

13世紀のウェールズ(Wales)は内部で分裂し、英国からの度重なる侵略にそれぞれが応戦しながらも、統一することができなかった。英国の鋭利で冷酷な統率者の国王John(ジョン)は、ウェールズとの政治的な絆を作るために非嫡出の娘Joanna(ジョアナ)を北ウェールズの王子Llewelyn(ルウェリン)の妻として与える。

フランスで育ち、若くして年上のLlewelynの妻になったJoannaは、最初のうちよそ者として孤立し苦しむが、カリスマのあるLlewelynを愛するようになり、政治的にも夫を助けるパートナーとなる。

しかし、英国王Johnは何度もWalesへの侵略を試み、父のジョンへの強い愛と忠誠心を持つJoannaは父と夫のどちらも選ぶことができずに葛藤する。 (さらに…)

Case Histories

作者:Kate Atkinson
2004年初刊
ジャンル:ミステリー/文芸小説

Whitbread賞受賞作「Behind the Scenes at the Museum」の作者Atkinsonの第4作「Case Histories」は、一応ミステリーということになっているが、純文学として読むべきだろう。

離婚した元警官のJackson Brodieは、私立探偵として3つのcold case(迷宮入り事件)の調査に取り組む。中年の2人の姉妹から依頼されたのは、家族のみなから愛されていた末っ子のOlivia3歳のときに行方不明になった事件だった。2つめのケースは10年前に起こった弁護士の娘の殺人事件で、3つめは斧で夫を殺した妻の妹からの依頼で、姪を探してほしいというものだ。

これらのケースにJacksonは自分の過去を重ね、気がすすまないながらに調査をしてゆく。家族内の秘密、崩壊した家族、過去から抜け出せない人々、など人間の悲しい性をAtkinsonは独自の不思議なユーモアに満ちた口調で語ってゆく。

スティーブン・キングが「Not just the best novel I read this year, but the best mystery o the decade…」と評しただけあって、読みごたえがある。

●読みやすさ ★★☆☆☆

ミステリーとして読むと、突然視点や場面が変わるのに混乱し、苛立つかもしれませんので要注意。「純文学」として読むと、ミステリーの部分がプラスになって読み進めやすく思えるでしょう。

決して難しい言い回しを使っているわけではありませんが、風変わりなユーモアに満ちたAtkinsonの文体には、入り込みにくいものを感じるかもしれません。けれども、「Behind the Scenes at the Museum」に比べると、ずっと読みやすい作品です。Atkinsonに興味がある方はこの本から始めることをおすすめします。

●ここが魅力!

なんといってもAtkinsonの魅力は、風変わりなAtkinsonワールドです。

殺人、近親相姦、といったおぞましい話題を扱っていながらも、彼女の語り口調は風変わりなユーモアを失いません。しかも登場人物がみな変人ばかり。変人ですが、けっして嫌いになれないのです。

痛み止めの薬をたくさん飲んでから歯にドリルで穴をあけられるような感じのミステリーです。

●アダルト度 ★★★☆☆

殺人、近親相姦、カジュアルなセックスというテーマを扱ってはいますが、生々しい表現はありません。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

When Will There Be Good News?by Kate Atkinson

Behind the Scenes at the Museumby Kate Atkinson

The Great Derangement

作者:Matt Taibbi

2008年初刊

ジャンル:ノンフィクション/時事問題

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ローリングストーン誌のコラムニストとして有名なMatt Taibbi(マット・タイビ)が、現在のアメリカのかく乱(derangement)を鮮やかに描いた傑作なノンフィクション。

ブッシュ大統領のもと、過去8年間のアメリカ合衆国は、イラク戦争から捕虜の拷問まで他国から「かく乱している」と思われても仕方のない行動ばかりとってきた。

他国の人々はアメリカ合衆国とその住人をひとまとめに評価するが、実際ここに住んでいる者にとっては、Blue States(民主党が強い州)と Red States(共和党が強い州)では人々の考え方が根本的に異なる。ひとつのアメリカなどは存在しない。

私のようにBlue Stateのインターナショナルな地域に住んでいると、アメリカのどまんなかの村から一歩も外に出たことがない田舎者が何を考えているのか想像もつかない。

けれども、そういう「アメリカのどまんなかの村から一歩も外に出たことのない田舎者」が、過去8年間のアメリカ合衆国の方向性を決めてきたといっても言いすぎではないのである。まったく不条理の世界なのだ。

この本で紹介されるのは、2001911日の同時テロに対する米国政府の陰謀説を信じているグループやborn-againと呼ばれるキリスト教原理主義者のグループである。左派であれ右派であれ、極端な方向に偏った人々はどちらもかく乱しているのだが、内部に入り込むと彼らはおかしくて、そして哀しい、普通の人々なのである。

とくに興味深いのは、Taibbiがキリスト教原理主義の教会に新入りの信徒として入り込んだ体験である。背景を少しでも知る人は、腹を抱えて笑うことだろう。

Taibbiは歯に衣を着せないライターなので、普通の人々のおろかさを容赦なく描いているが、そういうおろかな人々であっても、政治家であっても公平に扱うという点では、尊敬に値する。

肩に力をいれずにアメリカの「いま」を学びたい方におすすめの一冊。

●読みやすさ ★★☆☆☆

まるで会話のような調子なので、現代の話し言葉に慣れている人には読みやすいと思います。でも、正統的な英語を学校で学んだ方にとっては、”Fuck you, you prick!”, “Left-gatekeeper cocksucker!”, “Calm the fuck down”といった会話が頻発する文はかえって読みにくいかもしれません。

また、政治に興味がまったくない方は頻繁に現れる固有名詞で躓く恐れがあります。

ノンフィクションのよいところは、最初から順番に読む必要がないことです。面白そうなところから読み始めて、気に入ったら別の部分を読めばそれで十分です。

●ここが魅力!

アメリカの現代を分析した本は沢山ありますが、Matt Taibbiの「The Great Derangement」ほど辛らつなユーモアにあふれた本はありません。「そのとおり!」と腹をかかえて笑い、そしてムカムカ腹を立て、そして読んだ後、しみじみ現況のなさけなさに落ち込みます。

オバマが大統領に当選した現在なら、最後の「落ち込み」を避けることができるかもしれませんが、この本に登場するようなアメリカ人がまだまだ沢山残っているから4年後にサラ・ペイリンが戻ってくる可能性は否定できません。

●アダルト度 ★★★☆☆

政治やアメリカに興味がある子なら小学生や中学生から読めますが、ここで描かれている状況のおかしさを理解することはまず無理でしょう。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Hot, Flat, and Crowded by Thomas L Friedman

God is Not Great by Christopher Hitchens

私が愛するファンタジー! The Name of the Wind

著者:Patrick Rothfuss
2007年初刊
ジャンル:SF/ファンタジー/フィクション/魔法・魔術

さびれた村の宿屋「Waystone Inn」の店主に身をやつしているKote(コート)は、実は「王殺し」として悪名高い、伝説の魔法使いKvothe(クォーテ)だった。彼の真相を知るのは弟子のBastだけだったが、平和な村に不気味な出来事が起きはじめ、それに引き続いて伝記作家がKvotheを追って宿屋に現れる。

最初は伝記作家の申し入れを拒否していたKvotheだが、すべて彼の言葉のまま記すという約束のもとに彼の半生を語り始める。「The Name of the Wind」は、彼が3日にわたって語る半生の第1日目の部分である。

天才的な頭脳と音楽の才能に恵まれていたKvotheは、幼いときに謎のChandrianに両親を殺され、ホームレスとして生存のためだけに戦う。そこからようやく抜け出し、「University」に最年少で入学することに成功したが、才能があるゆえに敵を作り、体制を重んじない頑固で潔癖な性格のために何度も危機に陥る。

音楽を愛し、好きな女性に告白できず、弱者には優しい少年が、最もパワフルな魔法使いになり、悪名高い「王殺し」として伝説化し、ついに魔力を失うまでの波乱の人生を描く超大作。

ハリー・ポッターと比較する者も多いが、この作品は作者のRothfuss20年かけて書き上げたものであり、ハリー・ポッターから影響を受けたと思える部分はない。また正義感が強いという意味ではハリーと似ているものの、Kvotheは自分のサバイバルのためや嫌な奴への復讐のためであれば平然とルールを無視する欠陥がある。天才的な能力を持ちながらも、好きな女性の前では典型的に「自信のない少年」になってしまう人間的なヒーローに、読者はかえって親近感を覚え、魅了されることだろう。

Quill Award」受賞作。

●読みやすさ ★☆☆☆☆

英語のネイティブでない人が読みにくく感じるのは、彼の文章があまりにも詩的だからです。魔法のアクションが出てくるまでに相当読み進めなければならないので、最初の100ページくらいで投げ出したくなるかもしれません。また、これはKvotheの語りなので、途中で現在の宿屋の場面に戻ることがあり、それも障害になるかもしれません。

けれども、途中であきらめないでください。

取り付きにくいと感じる方には、一回目どんどん飛ばして読み、あらすじが理解できたらもう一度読む、という方法をお勧めします。

深刻な部分だけでなく、Kvotheの弟子らしきBastとのやりとりや文中の歌詞など、ユーモアに満ちた部分も沢山あります。

読みにくくても、読み返すたびに楽しめる、優れた作品です。邦訳されると失われてしまうよさを知るためにも、ぜひ原語で読んでください。

●ここが魅力!

近年読んだファンタジーの中で最も優れた作品。

大学で化学工学を専攻した経験がある作者ゆえに、フィクションの魔術に説得力があります。彼の文章を読んでいると、実際そこにいるかのように魔術がはっきりと見えてきます。また、意外なのは文章の美しさです。Kvotheの奏でる音楽の美しさ、宿屋をつつむ静けさ、Kvotheが恋する女性の描写、どれをとってもまるで抒情詩を読んでいるようで、うっとりします。単なるファンタジーではなく、文芸作品として扱われるべき作品です。

クリスマスに19歳の甥(アメリカ人)にプレゼントしたところ、これまで一度も電話をかけてきたことのなかった彼が学校から携帯で「今日いちにちずっと読んでいた。すごくいい」と興奮気味に報告してくれました。

●アダルト度 ★★☆☆☆

ハリー・ポッターとは異なり、大人を対象として書かれたものです。文章は取り付きにくいと思いますが、SF好きの子供であれば、十分楽しめる内容です。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Harry Potter by J.K. Rowling

Ender’s game by Orson Scott Card

The Left Hand of Darknessby Ursula K. Le Guin

The Blade Itself by Joe Abercrombie

The Billionaire’s Vinegar

作者:Benjamin Wallace

2008年初刊

ジャンル:ノンフィクション/食/歴史

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アメリカ第三代大統領トーマス・ジェファソンが所有していたといわれる1787 Château Lafite Bordeauxがロンドンのクリスティーズで競売にかけられる。当時、史上最高額(156,000ドル)で競り落とされたこのヴィンテージワインに対し、即座に「贋物」だという噂が広まる。疑いの中心は、謎のドイツ人収集家Hardy Rodenstockである。

クリスティーズのワイン専門家で名物競売人のMichael Broadbentはこのボトルにお墨付きを与えるが、その後もまれなヴィンテージワインが競売にかけられるたびにRodenstockの名前が浮かび上がる。 (さらに…)

Sphere

作者:Michael Crichton

1987年刊

ジャンル:SF/心理サスペンス・スリラー

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南太平洋の海底で300年から1000年前に地球に衝突したとみられる宇宙船が発見された。合衆国政府は、この宇宙船を調査するために数名の科学者を極秘に集める。海軍中佐、宇宙物理学者、女性動物学者、数学・論理学者、そして主人公の心理学者Norman Johnsonの五人は深海にもぐり、球形(sphere)の宇宙船を調査することになる。外界から切り離された深海で彼らが発見したのはUFOではなく、説明不可能な事実だった。人工の居住地で孤立した科学者たちに次々と恐ろしい出来事が起こり、心理的に追い詰められた彼らは互いを疑うようになる。どうやらすべての異常な現象はSphereが原因のようだ。この球形の物質はいったい何なのか?はたして彼らは生還することができるのか?

●読みやすさ ★★☆☆☆

マイケル・クライトンの文体は簡潔で会話も多く、読者を引き込むのが上手な書き手として有名です。ただし、専門用語や省略語なども頻繁に出てきますから、そこを「読みにくい」と感じる方がいるかもしれません。完璧に理解できなくても物語の展開を追うことはできますから、いちいち単語を調べずに先に進むことをお勧めします。

また、登場人物の紹介と状況の説明に費やされる最初の部分は退屈に感じるかもしれませんが、いったん奇妙な出来事が起きはじめると、途中でやめることができなくなります。最初のうちは軽く読み飛ばしましょう。

●ここが魅力!

なんといっても、説明不可能で不気味な出来事が次々に起こるハラハラどきどきの展開はクライトンならでは。人間の精神に関連した超常現象を扱っていても科学的に説得力があるのは作者が医師の資格を持つ科学者だからでしょう。

超常現象の謎だけでなく、登場人物の心理ドラマも加速度的に高まってきます。徹夜してでも読み終えたくなる、読み終えてもすぐには眠れない、そこがこの本の魅力です。

映画化もされていますが、(あまりできの良い作品ではないようなので)そちらは観ないことをお勧めします。

●アダルト度 ★★☆☆☆

中学生以上。

アメリカ人でも小学生が読まないのは、コンセプトを十分に理解できないのと悪夢を見る可能性があるからです。科学や人間の精神性といったサブジェクトに興味を持ち、すぐに怖がらない性格であれば小学校高学年から楽しめるでしょう。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Jurassic Parkby Michael Crichton

The Andromeda Strainby Michael Crichton

The Hostby Stephenie Meyer

I Am Legend by Richard Matheson

Jane Eyre

作者:Charlotte Brontë

1847年刊

ジャンル:英国文学/クラシック/ロマンス/ゴシックロマンス

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孤児のJaneは叔母や従兄から虐待され、10歳で慈善施設の学校Lowoodに送り込まれる。Lowoodで慢性的な餓えと学校の管理者による不条理な抑圧に耐える8年を過ごしたJaneは、外の世界を夢見て家庭教師の個人広告を新聞に載せる。

Janeが見つけたのは、Thornfield屋敷の主Mr. Rochesterが元愛人のフランス人オペラ歌手から引き取った少女の家庭教師の職だった。Mr. RochesterJaneの2倍ほど年上で容貌は醜く毒舌だ。しかもときおり暗い気分になり他人を寄せ付けない。けれども、JaneRochesterは互いだけが理解し合える知性や真摯さに惹かれる。

友情が恋愛感情に変わる兆しが見えたとき、心をかき乱す出来事が次々と起こる。夜中に不気味な笑い声が響き、誰かが眠るRochesterのベッドに火をつける。そしてJaneに秘密を打ち明けないRochesterは他の女性と結婚することをほのめかす。

●読みやすさ ★★☆☆☆

まず、クラシックは現代の小説に比べて読みにくい、ということをご承知ください。

けれども、これはクラシックな文芸作品のなかでは、もっとも読みやすい小説のひとつです。第一人称であることと、物語があちこちに飛ばないことが読みやすさに繋がっています。

“presentiment”, “effervesce”といった18世紀、19世紀特有の表現にときどき出くわすのとフランス語やドイツ語の会話が英語で説明されていないことに戸惑うかもしれませんが、だいたいの意味が想像できれば飛ばしても大丈夫です。

文章としては簡潔で現代の文法とあまり変わりません。Janeに感情移入もしやすいので、退屈することなく読み進むことができます。ふつうは「会話が多いと読みやすい」というのが常識ですが、この本では会話の部分のほうが(まわりくどくて)わかりにくいようです。でも、JaneRochesterの会話が醍醐味ですから、他を飛ばしても、そこだけはじっくり読んでくださいね。

●ここが魅力!

まずヒロインの個性。栄養失調で成長が止まり子供のような体型で平凡な顔立ち(plainと表現されている)のジェインは、どんなにつらい環境下でも他人の影響を退け、「自分らしさ」を失わないよう内面の戦いを続けます。常に「私はどういう人間なのか、どんな生き方をしたいのか」と問いかけるジェインは、彼女の倍の年齢のロチェスターよりもはるかに芯の強い人間として描かれています。異なる階級間の愛情が結婚にはつながらないのが常識で女性には対等の人権がなかった19世紀半ばに、こんなヒロインとロマンスを作り上げたシャーロット・ブロンテには脱帽です。

ヒロインだけでなく、ヒーローのロチェスターもこの時代には珍しいキャラクター。

二人の運命は永遠に引き裂かれるのかどうか、はらはらしながら読み進めるうちに英語で読んでいることすら忘れて目頭を熱くすることでしょう。

最初の3分の1、ロチェスターに出会うまでの部分は緩慢に感じるかもしれませんが、作者自身が慈善施設や家庭教師の体験をしていることを知って読むと、この部分も興味深く読むことができます。

●アダルト度 ★★☆☆☆

中・高校生以上向け。

私が始めてこの本に触れたのは小学校低学年のときで、「少年少女世界の名作文学」に載っていたものですが、ちっとも意味がわかりませんでした。ラブシーンはキス程度で非常にプラトニックで、そこが良いところです。でも、この本のよさを理解するためには多少の人生経験が必要かと思います。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

Rebecca」 by Daphne Du Maurier

Pride and Prejudice   by Jane Austen

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洋書ファンのあなたに

翻訳書もよいものですが、じかに原書を読むほうが感動できるものです。

原書を日本で入手するのは昔よりも簡単で安くなってきたようですね。けれども、書店であれこれ手にとって選ぶことができないのが難点です。

そこで、アメリカ在住で雑読の私が日本に住むみなさんのために本に関するいろいろな情報をお知らせしようと思いつきました。

将来はみなさんとブッククラブで意見交換などもできればうれしいです。

お気軽にご意見をお聞かせください。

book更新した情報は、洋書ニュースアーカイブカテゴリーでご確認ください。

bookあなたに適した本を探すためのヒント

 (後に『ジャンル別 洋書ベスト500』の刊行にあわせて「読みやすさ」などの表記を変えています。ご了承ください。)

●読みやすさ 

 読みにくい★☆☆☆☆から読みやすい★★★★★まで。必ずしも難易度とは関係ありません。

●ここが魅力!

 この本のどこが魅力なのか、どんな人に適しているのか、そんな情報です。

●アダルト度

 年齢に応じた本を読むことの重要性を考慮する方のための情報です。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

 ようやくお気に入りの本に出会ったら、同じような本を続けて読みたいものです。そんな方におすすめの情報です。

diamondがついているのは、とくにお勧めの本です。

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