アスペルガー症候群の患者の視点から書いた型破りの回想録- Look Me in the Eye: My Life With Asperger’s

John Elder Robison

2007年

ジャンル:ノンフィクション/医療・健康/回想録

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アスペルガー症候群は、日本では高機能自閉症として知られている知能障害がない自閉症である。ふつうの人は、他人の表情やしぐさから相手の考えていることを察知し、それに応じた対応をするものだが、アスペルガー症候群の患者は、表情やしぐさの意味を読み取ることができない。会話は、相手に合わせたやり取りができず、自分の関心のあることを長々と話し続ける傾向がある。また、目を合わせることが苦手で、話し相手から目をそらすのも特徴のひとつだ。

アスペルガー症候群を理解しない大人たちは、その態度を見て、うそをついているか、馬鹿にしていると勘違いし、「目を見て答えろ!(Look me in the eye)」と怒る。この本の題名はここから来ているのだ。

アスペルガー症候群の人々はこれらの症状のために他人となかなかコミュニケーションが取れない。誤解されていても、それを察知することも、弁護することもできない。彼らがなぜ奇異に思える行動を取るのか、これまで専門家による説明はあったが、患者本人によるものはまれなかった。

「Look Me in the Eye」は、日本であまり知られていないアスペルガー症候群を内面から説明するだけでなく、読みごたえがある感動的で痛快な回想録でもある。

Robisonは、ベストセラーで邦訳もされている回想録「Running with Scissors」の作者Augusten Burroughsの兄である。どちらも破綻した家庭の犠牲になり、多感な弟は破壊的な思春期を送り、兄のRobisonは親からも教師からも誤解された問題児(あるいは精神障害がある子)として扱われてきた。

家の抜け出してからのRobisonは、知能が高いアスペルガー症候群特有の異常なまでの集中力で優秀なエンジニアになり、ロックグループ「キッス」の炎を吹き出すギターを作るスペシャリストとして重宝されたりもした。

彼の思考回路のユニークさの一例として妻の選び方がある。ことに下記の部分には腰が抜けるほど笑った。

Unfortunately, when picking a mate from a set of three sisters, it is usually necessary to establish a relationship with one in order to meet the other two. That usually precludes a person from selecting a different sister once an initial choice has been made.

昔から甥のひとりがアスペルガーではないかと思っていた私が夫にこの本を読ませたところ、「まったくそのとおりだ」と驚いていた。夫が息子と良好な関係を抱けない弟にアスペルガーのことを尋ねたところ「考えたこともなかった」と答えたのでこの本を贈ったのだが、いまだに読んでいないということだ。

せっかく良い本があっても読まなくては意味がない。

●読みやすさ ★★★☆☆

現代の言葉で語るように書かれていますので、とても読みやすく感じます。

●ここが魅力!

なんといっても、自分とは思考回路が異なる他人の頭の中を覗き込むスリルがあります。

そして、本人は笑いを狙っているわけではないのですが、結果的にシチュエーションや考え方が型破りでものすごくおかしいのです。

●アダルト度 ★☆☆☆☆

さほど子供に読ませて困るところはありませんでした。

中学生くらいから十分理解でき、楽しめるでしょう。

●この本を楽しんだ方にはこんな本も……

「The Curious Incident of the Dog in the Night-time」by Mark Haddon

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