一度読んだら虜になる死刑囚で毒味役の少女のサバイバル Poison Study

Maria V. Snyder
2008年9月初刊
ファンタジー/SF/ロマンス/ヤングアダルト/冒険

(2015年追記)
私の翻訳で日本語版が2015年7月に発売されます(ハーパーコリンズ日本到来を記念するハーパーブックスの1冊です)。

(下記は2009年当時の記事)

SF、ファンタジー、ロマンス、歴史のカテゴリーが好きな高校生の娘とその友達から「面白そうな本を探してくれ」と依頼されて見つけた本。 

まだ十代の若い女性Yelenaは殺人罪を犯した死刑囚である。だが、コマンダーの毒味役を引き受ければ死刑を免れることができると選択を迫られる。死ぬまで職を離れることができない毒味役は、毎日解毒剤を飲まないと死ぬ毒を与えられているのでどちらにしても二度と自由にはならない身の上だ。 
Yelenaの上司はかつて悪名高い暗殺者のValekだ。Valekの厳しい要求、毎日死に直面する恐怖、彼女の暗殺を狙う敵、誰を信用してよいのかわからない孤独……、

Yelenaのサバイバルの試練に読者は息をつくのも忘れるだろう。 

中 世のようなこの世界には、不思議な毒や魔法があり、誰が味方で誰が敵かわからない。人を簡単に信じると死が待ち受けている。読後も作者が作り上げたこの不 思議な世界が脳裏に残って離れない。ただのロマンスやヤングアダルトのカテゴリーに入れるのはもったいないし、失礼だ。それくらい完成度が高い傑作であ る。 

私がこの本を勧めた高校生たちもそう思ったようで、(爆発的な人気の)「Twilight」より断然面白い!と言っていた。とくにValekは娘によると「(Twilightの)エドワードなんかより、ずっとHOT」という感想で、彼の年齢と職業を考慮すると母としてちょっと心配であるが……

●読みやすさ ★★★★☆

造語が沢山あるので、慣れない人はいちいち「これはどういう意味か?」と悩むかもしれません。わからない単語に出会ったら、「造語だろう」と無視することです。
英語で読んでいることを忘れるほど、引き込まれます。

●ここが魅力!

死 刑囚で毒味役の少女と暗殺者の上司という主人公の設定からして興味しんしん。その期待を裏切らないどころか、期待を超える展開に、何度も背筋をゾクゾクさ せること確約です。奇妙な毒の数々、プロの暗殺者、魔法使い……となんでもそろったこの不思議な世界から抜け出すのが嫌になります。
ロマンスの要素はあるのですが、甘くなくて厳しいところがさらなる魅力。ValeckはYalenaを殺そうとするのか、それとも守ろうとするのか、なかなかはっきりしないところもドキドキの要素。読んだ後でも何度も読み返したくなります。

●アダルト度 ★★★☆☆

レイプとか殺人のショッキングなシーンがあるので、高校になるまで待っていただきたいと思います。

●Study シリーズ

第二部:Magic Study

第三部:Fire Study

第四部 Shadow Study(2015年)

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

一度読んだら虜になる死刑囚で毒味役の少女のサバイバル Poison Study」への4件のフィードバック

  1. 緊張感のある展開でとても楽しめました。
    登場人物が魅力的で、特に主人公のYelenaに非常に好感がもてました。
    Twilightを読んでBellaにいらいらした後だと特に、自分でなんとかして困難な状況を乗り越えようとするYelenaの強さが心地よいです。
    難をいえば、とってつけたようなラブシーンは余計。
    でも出版社がハーレクインなので、出版社側からの圧力なんだろうなあ。

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  2. Maricaさん、こんにちは。
    私もそれ、おおいに賛成!
    基本的にどの本でも、ラブシーンが入らないほうがロマンチックだと思うのですよね。
    でもあるってことは好きな人がいるんだろうけれど…

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  3. 渡辺様、はじめまして。
    『洋書ベスト500』でPoison Studyを知り、その魅力にすっかり嵌って一気にMagic Study,Fire Studyも読んでしまいました。
    寝食も後回しになるほど中毒性のある作品に出逢えて幸せです。
    これからも渡辺様の書評を参考にして、読みだしたら止まらない本を見つけたいと思います。
    Poison Studyを紹介頂きありがとうございました!

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  4. Shizukaさま
    こちらこそ、とっても嬉しいコメント、ありがとうございます。
    著者とは以前にメールを交わしたことがあり、今年5月に初めてリアルでお会いしたときにも「日本で翻訳作品が出るようにまだ頑張ってますよ」と伝えたのでした。ふつうのファンタジーとして邦訳出版したら、男性でも楽しめると思うのですよね。
    これからも「読み出したら止まらない本」を一生懸命に探しますので、よろしく!

    いいね

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